エメラルドの宝石姫

夜乃桜

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結果的に

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店員と女性客に見送られて、綾音と宗助が洋菓子専門店を出た時には、お昼を過ぎていた。
スイーツを食べたお腹は満腹だ。

「美味しかったです。ありがとうございます、宗助さん」
「……ああ」

スイーツを堪能して満足している綾音に、宗助は喜んでもらえてよかったと安堵。そして、わざとらしい咳払いを一つ。

「それで綾音。この後なんだが」

せっかくの綾音との初デート。宗助としてはこのまま終わらせたくはない。もう少しだけ綾音と一緒にいたい。
デート目的を果たしたその後、エルマと相談してまで考えたお誘いの言葉を言おうと、宗助は口を開いた。

「そうですね。食後の運動に、大通りの方を歩きませんか?」

先に綾音に言われてしまった。

「………そうだな。そうしようか」

まだ綾音と一緒にいられることに、宗助は素直に嬉しく思うが、綾音に先手を越されたりするのは、ちょっとばかし悔しい。ので、宗助は勝負に出る。

「綾音」
「はい」

何でしょうかと小首をかしげる綾音の手を、宗助は取る。そして、綾音から手を繋いできた時とは違う、綾音と自分の指を絡め合う、恋人繋ぎ。

「行こう」

綾音の手を引いて、宗助は大通りの方へと歩き出す。

「…………もう帰っていい?」

遠い目をしたニールは、楽しそうな連れの女性陣に尋ねる。
スイーツに二人のいちゃつき、胸やけがする。スイーツを頼まずに、珈琲だけにしておけばよかったと、ニールは二度目の後悔中。

『ダメ(よ・です)』

アラアラまあまあとそれは楽しそうに、追跡続行するエルマとアンネに、ニールの拒否権はない。
余談だが、店の外で様子を窺っていた二人の追跡組。フルールは女性陣と同じ反応、ノウゼンはニールと同じく帰りたい。
そんな追跡組を気にすることなく、宗助と綾音は大通りに向かって行く。もちろん手は恋人繋ぎのままで、通りすがる道行く人が二度見。

『……………………』

通行人の驚きや注目に、綾音と宗助は反応せず、互いに無言。勢いで行動したのはいいが、どうしたらいいかと宗助は混乱。
お誘いが成功したその後、エルマと考えた会話文が宗助にはあったのだが、吹っ飛んでしまった。しかも、手を繋いでからの綾音の反応がない。不安になった宗助は、そっと綾音の様子を窺う。
綾音はどうしたらいいかと戸惑って、宗助と繋がれた手をみていた。嫌がっているようには見えないので、一安心して宗助の手が緩む。

「あっ」

宗助が緩めた手に綾音が僅かに握り返す。思わず宗助が振り返ると綾音と目が合う。

「綾音?」
「い、いえ、あの、その……」

宗助に名前を呼ばれて、自分のした無意識の行動に驚き、頬を真っ赤に染めていく。
思いついたら一直線に走るが、そのまま走りすぎないのが宗助。それはいいことなのかの判断に悩むところだが、結果的に、後悔するようなことにはなっていないのが宗助だった。
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