21 / 42
結果的に
しおりを挟む
店員と女性客に見送られて、綾音と宗助が洋菓子専門店を出た時には、お昼を過ぎていた。
スイーツを食べたお腹は満腹だ。
「美味しかったです。ありがとうございます、宗助さん」
「……ああ」
スイーツを堪能して満足している綾音に、宗助は喜んでもらえてよかったと安堵。そして、わざとらしい咳払いを一つ。
「それで綾音。この後なんだが」
せっかくの綾音との初デート。宗助としてはこのまま終わらせたくはない。もう少しだけ綾音と一緒にいたい。
デート目的を果たしたその後、エルマと相談してまで考えたお誘いの言葉を言おうと、宗助は口を開いた。
「そうですね。食後の運動に、大通りの方を歩きませんか?」
先に綾音に言われてしまった。
「………そうだな。そうしようか」
まだ綾音と一緒にいられることに、宗助は素直に嬉しく思うが、綾音に先手を越されたりするのは、ちょっとばかし悔しい。ので、宗助は勝負に出る。
「綾音」
「はい」
何でしょうかと小首をかしげる綾音の手を、宗助は取る。そして、綾音から手を繋いできた時とは違う、綾音と自分の指を絡め合う、恋人繋ぎ。
「行こう」
綾音の手を引いて、宗助は大通りの方へと歩き出す。
「…………もう帰っていい?」
遠い目をしたニールは、楽しそうな連れの女性陣に尋ねる。
スイーツに二人のいちゃつき、胸やけがする。スイーツを頼まずに、珈琲だけにしておけばよかったと、ニールは二度目の後悔中。
『ダメ(よ・です)』
アラアラまあまあとそれは楽しそうに、追跡続行するエルマとアンネに、ニールの拒否権はない。
余談だが、店の外で様子を窺っていた二人の追跡組。フルールは女性陣と同じ反応、ノウゼンはニールと同じく帰りたい。
そんな追跡組を気にすることなく、宗助と綾音は大通りに向かって行く。もちろん手は恋人繋ぎのままで、通りすがる道行く人が二度見。
『……………………』
通行人の驚きや注目に、綾音と宗助は反応せず、互いに無言。勢いで行動したのはいいが、どうしたらいいかと宗助は混乱。
お誘いが成功したその後、エルマと考えた会話文が宗助にはあったのだが、吹っ飛んでしまった。しかも、手を繋いでからの綾音の反応がない。不安になった宗助は、そっと綾音の様子を窺う。
綾音はどうしたらいいかと戸惑って、宗助と繋がれた手をみていた。嫌がっているようには見えないので、一安心して宗助の手が緩む。
「あっ」
宗助が緩めた手に綾音が僅かに握り返す。思わず宗助が振り返ると綾音と目が合う。
「綾音?」
「い、いえ、あの、その……」
宗助に名前を呼ばれて、自分のした無意識の行動に驚き、頬を真っ赤に染めていく。
思いついたら一直線に走るが、そのまま走りすぎないのが宗助。それはいいことなのかの判断に悩むところだが、結果的に、後悔するようなことにはなっていないのが宗助だった。
スイーツを食べたお腹は満腹だ。
「美味しかったです。ありがとうございます、宗助さん」
「……ああ」
スイーツを堪能して満足している綾音に、宗助は喜んでもらえてよかったと安堵。そして、わざとらしい咳払いを一つ。
「それで綾音。この後なんだが」
せっかくの綾音との初デート。宗助としてはこのまま終わらせたくはない。もう少しだけ綾音と一緒にいたい。
デート目的を果たしたその後、エルマと相談してまで考えたお誘いの言葉を言おうと、宗助は口を開いた。
「そうですね。食後の運動に、大通りの方を歩きませんか?」
先に綾音に言われてしまった。
「………そうだな。そうしようか」
まだ綾音と一緒にいられることに、宗助は素直に嬉しく思うが、綾音に先手を越されたりするのは、ちょっとばかし悔しい。ので、宗助は勝負に出る。
「綾音」
「はい」
何でしょうかと小首をかしげる綾音の手を、宗助は取る。そして、綾音から手を繋いできた時とは違う、綾音と自分の指を絡め合う、恋人繋ぎ。
「行こう」
綾音の手を引いて、宗助は大通りの方へと歩き出す。
「…………もう帰っていい?」
遠い目をしたニールは、楽しそうな連れの女性陣に尋ねる。
スイーツに二人のいちゃつき、胸やけがする。スイーツを頼まずに、珈琲だけにしておけばよかったと、ニールは二度目の後悔中。
『ダメ(よ・です)』
アラアラまあまあとそれは楽しそうに、追跡続行するエルマとアンネに、ニールの拒否権はない。
余談だが、店の外で様子を窺っていた二人の追跡組。フルールは女性陣と同じ反応、ノウゼンはニールと同じく帰りたい。
そんな追跡組を気にすることなく、宗助と綾音は大通りに向かって行く。もちろん手は恋人繋ぎのままで、通りすがる道行く人が二度見。
『……………………』
通行人の驚きや注目に、綾音と宗助は反応せず、互いに無言。勢いで行動したのはいいが、どうしたらいいかと宗助は混乱。
お誘いが成功したその後、エルマと考えた会話文が宗助にはあったのだが、吹っ飛んでしまった。しかも、手を繋いでからの綾音の反応がない。不安になった宗助は、そっと綾音の様子を窺う。
綾音はどうしたらいいかと戸惑って、宗助と繋がれた手をみていた。嫌がっているようには見えないので、一安心して宗助の手が緩む。
「あっ」
宗助が緩めた手に綾音が僅かに握り返す。思わず宗助が振り返ると綾音と目が合う。
「綾音?」
「い、いえ、あの、その……」
宗助に名前を呼ばれて、自分のした無意識の行動に驚き、頬を真っ赤に染めていく。
思いついたら一直線に走るが、そのまま走りすぎないのが宗助。それはいいことなのかの判断に悩むところだが、結果的に、後悔するようなことにはなっていないのが宗助だった。
0
あなたにおすすめの小説
英雄の番が名乗るまで
長野 雪
恋愛
突然発生した魔物の大侵攻。西の果てから始まったそれは、いくつもの集落どころか国すら飲みこみ、世界中の国々が人種・宗教を越えて協力し、とうとう終息を迎えた。魔物の駆逐・殲滅に目覚ましい活躍を見せた5人は吟遊詩人によって「五英傑」と謳われ、これから彼らの活躍は英雄譚として広く知られていくのであろう。
大侵攻の終息を祝う宴の最中、己の番《つがい》の気配を感じた五英傑の一人、竜人フィルは見つけ出した途端、気を失ってしまった彼女に対し、番の誓約を行おうとするが失敗に終わる。番と己の寿命を等しくするため、何より番を手元に置き続けるためにフィルにとっては重要な誓約がどうして失敗したのか分からないものの、とにかく庇護したいフィルと、ぐいぐい溺愛モードに入ろうとする彼に一歩距離を置いてしまう番の女性との一進一退のおはなし。
※小説家になろうにも投稿
兄様達の愛が止まりません!
桜
恋愛
五歳の時、私と兄は父の兄である叔父に助けられた。
そう、私達の両親がニ歳の時事故で亡くなった途端、親類に屋敷を乗っ取られて、離れに閉じ込められた。
屋敷に勤めてくれていた者達はほぼ全員解雇され、一部残された者が密かに私達を庇ってくれていたのだ。
やがて、領内や屋敷周辺に魔物や魔獣被害が出だし、私と兄、そして唯一の保護をしてくれた侍女のみとなり、死の危険性があると心配した者が叔父に助けを求めてくれた。
無事に保護された私達は、叔父が全力で守るからと連れ出し、養子にしてくれたのだ。
叔父の家には二人の兄がいた。
そこで、私は思い出したんだ。双子の兄が時折話していた不思議な話と、何故か自分に映像に流れて来た不思議な世界を、そして、私は…
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
大丈夫のその先は…
水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。
新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。
バレないように、バレないように。
「大丈夫だよ」
すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m
借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる
しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。
いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに……
しかしそこに現れたのは幼馴染で……?
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
【完結】番である私の旦那様
桜もふ
恋愛
異世界であるミーストの世界最強なのが黒竜族!
黒竜族の第一皇子、オパール・ブラック・オニキス(愛称:オール)の番をミースト神が異世界転移させた、それが『私』だ。
バールナ公爵の元へ養女として出向く事になるのだが、1人娘であった義妹が最後まで『自分』が黒竜族の番だと思い込み、魅了の力を使って男性を味方に付け、なにかと嫌味や嫌がらせをして来る。
オールは政務が忙しい身ではあるが、溺愛している私の送り迎えだけは必須事項みたい。
気が抜けるほど甘々なのに、義妹に邪魔されっぱなし。
でも神様からは特別なチートを貰い、世界最強の黒竜族の番に相応しい子になろうと頑張るのだが、なぜかディロ-ルの侯爵子息に学園主催の舞踏会で「お前との婚約を破棄する!」なんて訳の分からない事を言われるし、義妹は最後の最後まで頭お花畑状態で、オールを手に入れようと男の元を転々としながら、絡んで来ます!(鬱陶しいくらい来ます!)
大好きな乙女ゲームや異世界の漫画に出てくる「私がヒロインよ!」な頭の変な……じゃなかった、変わった義妹もいるし、何と言っても、この世界の料理はマズイ、不味すぎるのです!
神様から貰った、特別なスキルを使って異世界の皆と地球へ行き来したり、地球での家族と異世界へ行き来しながら、日本で得た知識や得意な家事(食事)などを、この世界でオールと一緒に自由にのんびりと生きて行こうと思います。
前半は転移する前の私生活から始まります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる