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十九話
タンガ・ロウ、参る!
しおりを挟むタンガ・ロウはうずうずしていた。
崖下で待機と言われて柄にもなく大人しくしていたが、西の空から大音量のラッパが鳴らされたかと思うと、聴いたこともない勇ましい音楽が流れ、なんと鉄で出来た機械が大群で空を飛んできたのだ。
「副官、この血湧き肉躍る音楽はなんだ?」
タンガ・ロウは指でリズムをとりながら聞いた。
「聴いた事もありませんが、なんというかこう、じっとしてられませんね……」
言い終わらないうちにタンガ・ロウが叫んだ。
「よし、出航!全速前進だ!」
「いや、ロキ殿に怒られますって!船壊すな言われたでしょう!」
「そのロキ殿の危機かもしれん!なぁ?弟よ!」
「ちょっと……まだしゃべれらい……」
「喋らんで良い、弟よ。さぁ!錨を上げろ!ロキ殿を助太刀するぞ!」
「あーあ、もう止められないわ……」
出陣の太鼓が連打され、ガレオン軍艦15隻が横陣一列でマタ・ウエンガを先頭に動き出す。
「将軍、せめて二列の後ろで!」
「副官、いいか?俺はもう将軍ではない、ただの海賊の頭だ!そしてロキ殿の配下だ!」
「ロキ殿!すぐに推参致す!!」
結界を抜け、激しく燃えるトレントの大群が視界に入ってくる。遠くの空高くB-52の機影が見えるが、勿論タンガ・ロウには何が飛んでいるかわからない。
「あのでかい怪物がこれをやったのか……」
タンガ・ロウはあまりの破壊力に驚いたが、更に進んで北側まで見通せる様になると、その地獄絵図に、持っていた望遠鏡を落としかけた。
「こ、これは現実なのか……」
地上は巨大な化け物が暴れ狂い、空は龍の大群が舞っている。
それを攻撃する見た事もない黒い金属の空飛ぶ何かと黒龍。
「ここは……地獄だ……、こんな地獄で俺たちに何が出来ると言うのか!」
もう、戦場に流れる勇壮な音楽が彼を奮い立たせる事はなかった。
その時、ドゴーンと言う轟音と共に巨大な火球が小さくなりつつあるB-52に飛んでいき、その一つを落とした。
望遠鏡でその火球が発射された方を見ると、途轍もなく巨大な象が三頭、暴れていた。
「副官、駄目だこれは、俺たちの出る幕は……無い!」
タンガ・ロウは潔く諦めた。こんな場所に居たら狙われなくとも流れ弾で船が沈みかねない。
同じく驚愕していた副官も漸く口を開いた。
「ま、全く、その様で……」
「アイちゃん、今、一瞬海にタンガの船が見えてすぐ居なくなったんだけど……」
ロキは巨大な象の化け物に黒龍で接近しながらアイーシャに言った。
「私は見てないですね……」
「んじゃ、気のせいか……」
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