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Episode2 離れ離れの夜に
離れ離れの夜に②
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「あーーー!! 何やってんだよ、俺は……」
俺は机に突っ伏して頭を掻きむしる。成宮先生に流されたとは言え、職場で何てことを……。後悔してもしきれない。できることなら、今朝の記憶を消し去ってしまいたかった。
そんな感情とは裏腹に、中途半端に火照ってお預けを食らってしまった体が、切なく疼いて仕方がない。つい先程まで、成宮先生に虐められていた後孔が、彼を求めて止まないのだ。
そんな俺に気付いたのか、成宮先生はニヤニヤと嬉しそうな顔をして近付いてきては、腰を撫でてみたり、尻を触ってみたりとセクハラを繰り返している。
その挙句に、
「帰ったら可愛がってやるよ」
と甘く耳打ちされて、一瞬で顔が火照るのを感じた。「からかわないでください!」と言い返したいのに、ギュッと目を閉じて耐えることしかできない。
だって、俺は成宮先生に可愛がってもらいたくて仕方ないんだ。
「だから、今日は早く帰ってこいよ」
最後に頭をクシャっと撫でられれば、素直に頷いてしまう自分がいた。
とは言ったものの、医師や看護師が定時で仕事を終わらせられるはずなんかない。もうすぐ帰れる……とホッと息をつく瞬間に、大概ハプニングは発生する。これは、もう医療現場あるあるだろう。
今日もそろそろ帰ろうかと荷物をまとめ出した瞬間、PHSの呼び出し音が鳴った。慌てて病室に駆け込んで処置をすれば、命に別状はなく……安堵の溜息をつく。
そして時計を見れば、もう夜の九時。約三時間のサービス残業だ。
さぁ、帰って成宮先生に抱いてもらうぞ! なんて元気は綺麗に消え去っていた。とにかく早く帰って寝たい……その一心で、俺は最後の気力を振り絞って帰路についた。
帰りの電車の中で爆睡した俺は、重たい体に鞭打って改札口へと向かう。
「あ、雨だ……傘ないや……」
電車に乗ってる時には気付かなかったけど、空からは大きな雨粒が落ちてきていた。
こんなに頑張って働いたのに、ずぶ濡れで帰らなきゃいけないんだろうか。そう思うと泣けてくる。
タクシー乗り場には、長蛇の列ができているし、近くのコンビニへ寄るのも面倒くさい。諦めてパーカーのフードを被った瞬間、
「こら、傘もささないで風邪でもひいたらどうすんだよ?」
突然、力強く腕を引かれる。慌てて振り向けば、私服姿の成宮先生が立っていた。
「成宮先生……」
「ほら帰るぞ?」
ぶっきらぼうに傘を手渡してくる。
「わざわざ迎えに来てくれたんですか?」
嬉しくて、思わず成宮先生の顔を覗き込んだ。もしそうだとしたら、凄く嬉しい。だけど、成宮千歳 がそんな可愛らしい男の訳がないんだ。
「はぁ?何言ってんの?最近コンビニで発売になったプリンが美味いから買いに来ただけ」
「あ、そうですか……」
「そうに決まってんだろ。わざわざお前を迎えなくるわけないじゃん。ほら、帰るぞ」
俺にクルリと背を向けて、さっさと歩き出してしまう。そんな成宮先生の背中を、俺は必死に追いかけた。
でもね、先生。俺は知ってます。
ダイエット中の先生は、最近甘い物を控えているということを。何やかんやで、俺を迎えに来てくれたんですよね……。
ありがとうございます。
「もう少し人気のない場所に行ったら、こっちの傘に入ってきてもいいぞ?」
「本当ですか? 嬉しいなぁ」
「今日は残業を頑張ったから、特別だ」
「はい。ありがとうございます」
どんな顔をしてこんな事を言っているのかが気になって、先生の顔を覗き込んでみたけど、傘に隠れてその表情を見ることは出来なかった。
「ほら、俺の傘に来い」
少し歩いてから、成宮先生に優しく肩を抱かれ、二人で一つの傘をさして自宅へと向かったのだった。
俺は机に突っ伏して頭を掻きむしる。成宮先生に流されたとは言え、職場で何てことを……。後悔してもしきれない。できることなら、今朝の記憶を消し去ってしまいたかった。
そんな感情とは裏腹に、中途半端に火照ってお預けを食らってしまった体が、切なく疼いて仕方がない。つい先程まで、成宮先生に虐められていた後孔が、彼を求めて止まないのだ。
そんな俺に気付いたのか、成宮先生はニヤニヤと嬉しそうな顔をして近付いてきては、腰を撫でてみたり、尻を触ってみたりとセクハラを繰り返している。
その挙句に、
「帰ったら可愛がってやるよ」
と甘く耳打ちされて、一瞬で顔が火照るのを感じた。「からかわないでください!」と言い返したいのに、ギュッと目を閉じて耐えることしかできない。
だって、俺は成宮先生に可愛がってもらいたくて仕方ないんだ。
「だから、今日は早く帰ってこいよ」
最後に頭をクシャっと撫でられれば、素直に頷いてしまう自分がいた。
とは言ったものの、医師や看護師が定時で仕事を終わらせられるはずなんかない。もうすぐ帰れる……とホッと息をつく瞬間に、大概ハプニングは発生する。これは、もう医療現場あるあるだろう。
今日もそろそろ帰ろうかと荷物をまとめ出した瞬間、PHSの呼び出し音が鳴った。慌てて病室に駆け込んで処置をすれば、命に別状はなく……安堵の溜息をつく。
そして時計を見れば、もう夜の九時。約三時間のサービス残業だ。
さぁ、帰って成宮先生に抱いてもらうぞ! なんて元気は綺麗に消え去っていた。とにかく早く帰って寝たい……その一心で、俺は最後の気力を振り絞って帰路についた。
帰りの電車の中で爆睡した俺は、重たい体に鞭打って改札口へと向かう。
「あ、雨だ……傘ないや……」
電車に乗ってる時には気付かなかったけど、空からは大きな雨粒が落ちてきていた。
こんなに頑張って働いたのに、ずぶ濡れで帰らなきゃいけないんだろうか。そう思うと泣けてくる。
タクシー乗り場には、長蛇の列ができているし、近くのコンビニへ寄るのも面倒くさい。諦めてパーカーのフードを被った瞬間、
「こら、傘もささないで風邪でもひいたらどうすんだよ?」
突然、力強く腕を引かれる。慌てて振り向けば、私服姿の成宮先生が立っていた。
「成宮先生……」
「ほら帰るぞ?」
ぶっきらぼうに傘を手渡してくる。
「わざわざ迎えに来てくれたんですか?」
嬉しくて、思わず成宮先生の顔を覗き込んだ。もしそうだとしたら、凄く嬉しい。だけど、成宮千歳 がそんな可愛らしい男の訳がないんだ。
「はぁ?何言ってんの?最近コンビニで発売になったプリンが美味いから買いに来ただけ」
「あ、そうですか……」
「そうに決まってんだろ。わざわざお前を迎えなくるわけないじゃん。ほら、帰るぞ」
俺にクルリと背を向けて、さっさと歩き出してしまう。そんな成宮先生の背中を、俺は必死に追いかけた。
でもね、先生。俺は知ってます。
ダイエット中の先生は、最近甘い物を控えているということを。何やかんやで、俺を迎えに来てくれたんですよね……。
ありがとうございます。
「もう少し人気のない場所に行ったら、こっちの傘に入ってきてもいいぞ?」
「本当ですか? 嬉しいなぁ」
「今日は残業を頑張ったから、特別だ」
「はい。ありがとうございます」
どんな顔をしてこんな事を言っているのかが気になって、先生の顔を覗き込んでみたけど、傘に隠れてその表情を見ることは出来なかった。
「ほら、俺の傘に来い」
少し歩いてから、成宮先生に優しく肩を抱かれ、二人で一つの傘をさして自宅へと向かったのだった。
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