あなたのお気に召すままに

舞々

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Episode19 幸せのランタン

幸せのランタン③

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「布団に入れて」
「はい」
 成宮先生が毛布の中にに入り込んでくれば、ベッドが少しだけ狭くなる。
俺は成宮先生の上に体を預ける感じでそっと寄り添った。
温かな成宮先生と布団に包まれて、思わず「ふふっ」と頬が緩んでしまう。
 こうやって触れ合っていても心地いい……って感じられる季節になったことが嬉しくて仕方ない。


「千歳さん、あったかくて気持ちいい」
「そうだな、あったかい」
 そんな俺を優しく抱き締め返してくれた。
 最近、いつも忙しい成宮先生となかなか一緒にいることができないから、こうやって傍にきてくれた時には受け止めてあげよう……そう決めていた。
 せめて、恋人の羽を休める場所でありたいから。


「これ、葵にあげる」
「え? なんだろう」
「ハロウィンだからさ、少しでも雰囲気出ればなって思って」
 少しだけ照れたような顔をしながら、きっと日中届いたであろう小さな箱を手渡してくる。
 ドキドキしながら箱を開けた瞬間、まるでひまわりの種を見つけたハムスターのように目を輝かせてしまった。


「あー! ジャック・オー・ランタンだ! 可愛い」
「だろ? お前、こういうの好きだと思って」
「はい、大好きです。病院で作ったランタンは腐っちゃったから……」
「だよな。よかった、気に入ってもらえて」
 成宮先生からのプレゼントは、カボチャの形をしたランタンだった。

 オレンジ色のカボチャにライトが灯れば、真っ暗な部屋が温かな色に染まる。
ユラユラ揺れるライトに、思わず二人で見入ってしまった。


「すごく綺麗ですね」
「ああ。すげー綺麗だ」
「ありがとうございます、千歳さん。このランタンなら腐らないですね」
「あぁ。こんなんで喜んでもらえるなんてな……」
 成宮先生が本当に幸せそうに笑うから、俺まで嬉しくて泣きたくなった。
 本当にこの人が好きで堪らない。そんな想いが溢れてしまって、苦しくなる時さえある。


「葵、trick or treat」
「はい。trick or treat」

 
 二人で微笑み合って、壁に映し出された影がピタリと重なる。
「なぁ、お菓子と悪戯……どっがいい?」
 成宮先生の子供みたいな表情を見れば、この人が何を望んでいるのか、どうしたら可愛い恋人でいられるのか……なんて、手に取るようにわかってしまう。
 ワガママな、でも優しいあなたのお気に召すままに。
 俺は幸せで幸せで……成宮先生の手を取って頬擦りをする。


「俺、悪戯のがいいです」
「本当に?」
「はい」
 思った通り成宮先生が嬉しそうな顔をする。
 そのまま、唇と唇がチュッと重なった。


「葵はどこに悪戯されたいの?」
「え?」
「ここ、とか?」
「あん……やぁ、やめて……」
 擽ったがりの俺の首筋を、いやらしく成宮先生のほっそりとした指が這い回る。それだけで、体が勝手に期待にをしてしまい、頬が熱くなって体が切なく疼き出す。
 そんな俺の反応に、成宮先生が満足そうに目を細めた。


「じゃあ、ここかな?」
「あッ、んふぅ、ヤダ……」
 スルりと鎖骨を撫で下ろして、既にぷっくりと膨らんだ胸の突起に触れる。その瞬間、体がピクンと大きく震えた。
 洋服の上から摩ったり、指で押し潰したり。意地悪く刺激を与え続けられた。
「あッ、あぅ、あぁ……ッ。嫌だぁ……」
「何で嫌なの?」
「だって、気持ち良くなっちゃう……」
「いいじゃん? 気持ち良くなれば」
 そのままキュッと両方の突起を摘まれる。
「あ、んぁ……あぁ!」
 あまりの快感に、思わず体を捩らせ軽く果ててしまった。


「こんなことして……千歳さんは責任とってくれるんですか?」
「構わないよ ?いくらでも責任とるぜ?」
 そのまま少しだけ強引に口付けられる。うっすら浮かんだ涙をペロッと舐めてくれた。
 チュルンと口内に舌が侵入してくれば、夢中で熱い舌を絡め合い、蜂蜜みたいに甘い唾液を口一杯に頬張った。
 それだけで、俺は蕩けてしまうのだ。


「ランタンの明かりがユラユラ揺れて……」
「ん?」
 肩で息をしながら、唾液に光る成宮先生の唇を見つめる。  
 その艶っぽさに下半身が熱くなるのを感じて、成宮先生の頭を抱き抱えた。
「俺、メチャクチャ興奮します……」
「いいねぇ。たまんねぇわ」
 まるでジャック・オー・ランタンみたいに、ニヤリと笑う成宮先生を見て、ゾクゾクッと背筋に甘い甘い電流が流れて行くのを感じた。


「ねぇ、千歳さん。いっぱい悪戯して?」
「こらこら、そんなに煽んなよ ……まだ仕事残ってるんだから」
「お願い……」
「ふふっ。仕方ねぇなぁ」


 それから俺たちは、どんな飴やお菓子より、甘い時間を過ごしたのだった。
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