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最終Episode 星に願いを
星に願いを④
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小さな箱から、コンドームを取り出して、それの封を口で噛み切ろうとした成宮先生の腕を、思わず掴んだ。
それを見た成宮先生が、ビックリしたように目を見開いた。
「どうした?」
「つ……け……で……」
「ん? なに?」
「お願い、ゴムつけないでください……そのまま挿れて……?」
「葵……今日どうした? 何かあった?」
成宮先生が不安そうに俺の頬を撫でてきたから、首を横に振る。
「ごめんなさい。でも今日は、千歳さんをちゃんと感じたい。ゴム越しじゃなくて、直に感じたい……」
言っておいて、顔から火が出そうな程恥ずかしくなってくる。
「だから……お願いつけないで……」
「お前……ヤバすぎるだろ……」
「それから、中に出して……?」
「は……?」
「お願い、中に……」
一瞬成宮先生が泣きそうな顔をしたから、驚いてしまった。
「わかった。葵……本当に可愛い。大好き」
「俺も、成宮先生が大好きです」
深く深く結ばれて、俺は多幸感に満たされる。
俺はそのまま己の腹に精を吐き出し、成宮先生は俺の中に、その欲望を吐き出した。
成宮先生自身から精液が吐き出される、ドクンドクという拍動と、温かい液体が自分の体内に放出されたのを感じ……。
俺は、何とも言えない満足感に包まれて、そっとお腹を摩った。
正面からそっと抱きしめてもらえば、愛おしくて泣きそうになる。
「千歳さん、好きです」
涙ぐみながら一生懸命想いを伝えれば、
「照れんだろうが……馬鹿が」
って照れ臭そうに笑った。
空に浮かんでる満月みたいに真ん丸な優しいその笑顔に、俺は胸がギュッと締め付けられる。
だってあんまりにも無邪気で、綺麗で、かっこよくて、優しかったから。
『お前の彼氏の精子、メチャクチャ勢いありそうだから、数打ってればいつか妊娠しそうじゃね?』
柏木の言葉が、ふと脳裏を過る。
本当にそうだったらいいのに。
俺の中から、精液を掻き出そうとする成宮先生の手を制止した。
「大丈夫だから……出さないでください」
「だって、このままじゃ腹が痛くなるぞ?」
「大丈夫だから、このままがいい」
「葵……」
「大丈夫です」
成宮先生が、そっとキスしてくれたのを感じながら、俺は意識を手放した。
◇◆◇◆
気付いた時には、俺はベッドに寝かされていた。
「もう、朝か……」
目を擦りながらリビングに向かえば、成宮先生がすでに朝食の準備を終えていた。
「お、おはようございます」
そっと声をかければ、成宮先生がニヤリと笑う。
「おはよう、エロい葵」
「えっ!?」
その瞬間、昨日の自分の醜態がリアルに思い起こされ……絶句してしまった。
おはよう、どころの騒ぎじゃない。俺はこの場から消えなくてはならい存在だったんだ。
「いいから、こっちこい」
おいでおいでをされたから、逃亡することを諦め、俺は素直に成宮先生の傍に向かった。
「ほら、ここ」
指差されたのは成宮先生の膝の上。
してる最中に膝に股がることはあるものの、こうも改まって膝に乗れ、と言われると恥ずかしくなる。
「葵、抱っこ」
優しく両腕を目の前で広げられたから、照れながらも膝の上乗る。所謂、アヒル座りで向かい合った。
手の置き場に困ったから、とりあえず成宮先生の肩の上に手を置いたら、俺の腰に両腕を回してギュッと抱き締めてくれた。
「葵……昨日お前おかしかったじゃん? でさ、俺気になったから、周りの人にちょこっとだけ、葵のこと聞いてみたんだよ。そしたら……柏木が教えてくれた」
「え!? 柏木に聞いたんですか!?」
「あぁ。柏木に聞いちゃった」
あまりにも恥ずかしくて、心臓がバクバク鳴り響く。俺を抱き締めている成宮先生に、その音がバレるんじゃないかって、ヒヤヒヤした。
嫌だ、本当に恥ずかしい。
「お前、俺の子供を産みたいんだって?」
その瞬間、時が止まったように感じた。
このことは、成宮先生には知られたくなかったから。だって、こんな非現実的なことを俺が考えているって知ったら、貴方はきっと困るでしょう?
俺は貴方を困らせたくなんかないんだ。
「オペの動画を見てた時に言ってたこと……本気だったんだな?」
成宮先生の声のトーンが下がったのを感じて、俺は焦ってしまった。
成宮先生が困っている、と思ったから。
どうしよう、どうしようって焦ってみるものの、いい答えなんて思い付くはずもなく……成宮先生の頬を撫でることしかできなかった。
「あの時、ちゃんと真面目に聞いてやれなくて……本当にごめんな」
泣きそうな顔で俺を見上げるから、心が締めつけられた。
「なぁ葵……」
成宮先生が俺の体をそっと離して、真剣な顔をしながら俺を見つめた。
思わず、その瞳に吸い込まれそうになってしまう。
「きっと何年か後に、医学や科学が今よりもっともっと進歩して、同性同士でも子供が授かれる時代が来る、って俺は信じてる」
「……千歳さん……」
「その頃までには、きっと同性のカップルだって社会的に認められているはずだから……」
本当に珍しく成宮先生の瞳に涙が浮かんだから、慌てて洋服の袖で拭ってやる。
「だから……だから、それまで、俺の傍にいろよ?」
「千歳さん……」
「なぁ、傍にいろよ。好きだから」
俺の胸に顔を埋めて声を震わせる成宮先生。
あまりにも愛しくて、そっと抱き締めた。
「ずっとずっと、傍にいます」
もらい泣きしそうになったから、慌てて鼻をすすった。
「千歳さんの傍にいますから……」
「いつか、俺の子供を産んでな……」
「はい」
遥か昔から伝わる、ジンクス。
流れ星に願いを託せば、その願いは叶うとされている。
きっと、そんな夢物語みたいなジンクスに、刹那の流星に、人々は叶わぬ願いを託してきたんだろう。
そして、そんな古代から伝わるジンクスに願いを託しながらも、最新の医療技術や科学技術が願いを叶えてくれる。
そんなのも、面白いって思うんだ。
それを見た成宮先生が、ビックリしたように目を見開いた。
「どうした?」
「つ……け……で……」
「ん? なに?」
「お願い、ゴムつけないでください……そのまま挿れて……?」
「葵……今日どうした? 何かあった?」
成宮先生が不安そうに俺の頬を撫でてきたから、首を横に振る。
「ごめんなさい。でも今日は、千歳さんをちゃんと感じたい。ゴム越しじゃなくて、直に感じたい……」
言っておいて、顔から火が出そうな程恥ずかしくなってくる。
「だから……お願いつけないで……」
「お前……ヤバすぎるだろ……」
「それから、中に出して……?」
「は……?」
「お願い、中に……」
一瞬成宮先生が泣きそうな顔をしたから、驚いてしまった。
「わかった。葵……本当に可愛い。大好き」
「俺も、成宮先生が大好きです」
深く深く結ばれて、俺は多幸感に満たされる。
俺はそのまま己の腹に精を吐き出し、成宮先生は俺の中に、その欲望を吐き出した。
成宮先生自身から精液が吐き出される、ドクンドクという拍動と、温かい液体が自分の体内に放出されたのを感じ……。
俺は、何とも言えない満足感に包まれて、そっとお腹を摩った。
正面からそっと抱きしめてもらえば、愛おしくて泣きそうになる。
「千歳さん、好きです」
涙ぐみながら一生懸命想いを伝えれば、
「照れんだろうが……馬鹿が」
って照れ臭そうに笑った。
空に浮かんでる満月みたいに真ん丸な優しいその笑顔に、俺は胸がギュッと締め付けられる。
だってあんまりにも無邪気で、綺麗で、かっこよくて、優しかったから。
『お前の彼氏の精子、メチャクチャ勢いありそうだから、数打ってればいつか妊娠しそうじゃね?』
柏木の言葉が、ふと脳裏を過る。
本当にそうだったらいいのに。
俺の中から、精液を掻き出そうとする成宮先生の手を制止した。
「大丈夫だから……出さないでください」
「だって、このままじゃ腹が痛くなるぞ?」
「大丈夫だから、このままがいい」
「葵……」
「大丈夫です」
成宮先生が、そっとキスしてくれたのを感じながら、俺は意識を手放した。
◇◆◇◆
気付いた時には、俺はベッドに寝かされていた。
「もう、朝か……」
目を擦りながらリビングに向かえば、成宮先生がすでに朝食の準備を終えていた。
「お、おはようございます」
そっと声をかければ、成宮先生がニヤリと笑う。
「おはよう、エロい葵」
「えっ!?」
その瞬間、昨日の自分の醜態がリアルに思い起こされ……絶句してしまった。
おはよう、どころの騒ぎじゃない。俺はこの場から消えなくてはならい存在だったんだ。
「いいから、こっちこい」
おいでおいでをされたから、逃亡することを諦め、俺は素直に成宮先生の傍に向かった。
「ほら、ここ」
指差されたのは成宮先生の膝の上。
してる最中に膝に股がることはあるものの、こうも改まって膝に乗れ、と言われると恥ずかしくなる。
「葵、抱っこ」
優しく両腕を目の前で広げられたから、照れながらも膝の上乗る。所謂、アヒル座りで向かい合った。
手の置き場に困ったから、とりあえず成宮先生の肩の上に手を置いたら、俺の腰に両腕を回してギュッと抱き締めてくれた。
「葵……昨日お前おかしかったじゃん? でさ、俺気になったから、周りの人にちょこっとだけ、葵のこと聞いてみたんだよ。そしたら……柏木が教えてくれた」
「え!? 柏木に聞いたんですか!?」
「あぁ。柏木に聞いちゃった」
あまりにも恥ずかしくて、心臓がバクバク鳴り響く。俺を抱き締めている成宮先生に、その音がバレるんじゃないかって、ヒヤヒヤした。
嫌だ、本当に恥ずかしい。
「お前、俺の子供を産みたいんだって?」
その瞬間、時が止まったように感じた。
このことは、成宮先生には知られたくなかったから。だって、こんな非現実的なことを俺が考えているって知ったら、貴方はきっと困るでしょう?
俺は貴方を困らせたくなんかないんだ。
「オペの動画を見てた時に言ってたこと……本気だったんだな?」
成宮先生の声のトーンが下がったのを感じて、俺は焦ってしまった。
成宮先生が困っている、と思ったから。
どうしよう、どうしようって焦ってみるものの、いい答えなんて思い付くはずもなく……成宮先生の頬を撫でることしかできなかった。
「あの時、ちゃんと真面目に聞いてやれなくて……本当にごめんな」
泣きそうな顔で俺を見上げるから、心が締めつけられた。
「なぁ葵……」
成宮先生が俺の体をそっと離して、真剣な顔をしながら俺を見つめた。
思わず、その瞳に吸い込まれそうになってしまう。
「きっと何年か後に、医学や科学が今よりもっともっと進歩して、同性同士でも子供が授かれる時代が来る、って俺は信じてる」
「……千歳さん……」
「その頃までには、きっと同性のカップルだって社会的に認められているはずだから……」
本当に珍しく成宮先生の瞳に涙が浮かんだから、慌てて洋服の袖で拭ってやる。
「だから……だから、それまで、俺の傍にいろよ?」
「千歳さん……」
「なぁ、傍にいろよ。好きだから」
俺の胸に顔を埋めて声を震わせる成宮先生。
あまりにも愛しくて、そっと抱き締めた。
「ずっとずっと、傍にいます」
もらい泣きしそうになったから、慌てて鼻をすすった。
「千歳さんの傍にいますから……」
「いつか、俺の子供を産んでな……」
「はい」
遥か昔から伝わる、ジンクス。
流れ星に願いを託せば、その願いは叶うとされている。
きっと、そんな夢物語みたいなジンクスに、刹那の流星に、人々は叶わぬ願いを託してきたんだろう。
そして、そんな古代から伝わるジンクスに願いを託しながらも、最新の医療技術や科学技術が願いを叶えてくれる。
そんなのも、面白いって思うんだ。
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