妻は六英雄だが俺はしがない道具屋です

どらごんまじっく

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西の神殿 アリナ視点

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朝早くに泊まった宿のある町を出発して、その日のうちに私たちは西の神殿に到着した……

馬車の中ではずっと昨日の自分の痴態について考えてしまった……さすがにあれはショックである……ゼロスの体に反応するだけならまだしも、イッてしまうとは完全にアウトであろう……これはトラウマレベルの失態になりそうであった……

西の神殿では、神官長のメルキが出迎えてくれる……大神官はどうしたのか聞くと、悲しい訃報を聞かされた。
「そうか……賊達と戦闘になって……」
「はい……勇敢にも戦ったのですが……敵の中に恐ろしく強い者がいまして……」
「わかったわ、ありがとう……大神官のご冥福を祈ります」

西の神殿でも、私たちは歓迎された……今日はゆっくり休んで、明日には再封印を行おうと考えたのだが、それをゼロスが反対する。
「北の神殿のことを忘れたのかよ、すぐに再封印なんてしないで、ちゃんと調べてからの方がいいじゃねえか」
私のミスで足に大怪我を負ったゼロスの言葉は正論であった……私は謝罪してそれを了承する。

神殿のお風呂はどこも広くて綺麗だ……お湯には聖なる力があると昔から考えられていることから、大きく、沢山のお湯を用意していると聞いているが、それが本当かどうかはわからない。

今日はゼロスが途中で入ってきてもいいように、タオルを持参していた……それを持って湯船に浸かって疲れを癒す……暖かい湯に浸かっていると、昨日の痴態を一時的にも忘れさせてくれる……

やはりと言うか、しばらくすると騒がしく数人の人物が女湯に入ってくる……
「あら、アリナさん、先に来てたんですね」
そう声をかけてきたのはフリージアであった……
「来るんなら誘ってくださいよ~」
セシルがそう言う……
「ふん、そうだな、私を誘うほど面識がないが、声をかければ考えるぞ」
女山賊もそう言ってくる……あれ……ゼロスの姿が見えない……どうしたんだろ……

「ゼロスはどうしたの?」
思わずそう聞いてしまった。
「ゼロス様は今日は落ち着いて入りたいから男湯に行くと行ってしまわれました」
「そう……」
あれ……なぜ残念に思っているんだ私……こんなの、ゼロスの事を待っていたみたいではないの……自分の考えが恐ろしくなり、慌てて首を振ってそれを否定する。


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