妻は六英雄だが俺はしがない道具屋です

どらごんまじっく

文字の大きさ
63 / 90

東へ向かう二人5日目 アリナ視点

しおりを挟む
「ごめんなさいね、今日はこことここの部屋しか空いてないの」
宿屋のおばちゃんが指差した二つの部屋は一部屋を間に挟んだ場所で、隣同士ではなかった……
「そ……そうですか……ちょっと他の宿も行ってみますので……」
「そうかい、その時には空いてないかもしれないよ」
「ごめんなさい」

そう言っておばちゃんの宿を後にした……
「どうした、空いてなかったのか」
ゼロスが手ぶらで出てくる私を見てそう聞いてきた。
「うん……その先にも宿があるからちょっと言ってみようよ……」
また嘘を付いてしまった……

次で隣同士の部屋が空いてたのでそこに入った──

「ゼロス……ちょっと聞いていい」
「何だ、腹いっぱいでそれ食えねえのか」
「違うわよ……あのさぁ、私の部屋……どうかな……覗いて楽しい?」
「何聞いてんだよ……もしかしてお前、覗かれ楽しいとか思ってんじゃねえだろな」
「なぁ……そんなことあるわけないでしょ! ちょっとサービスしてあげてるからどうかなって聞いただけよ!」
「ふん、あれがサービスかよ、あんな子供騙しで俺が興奮するとでも思ったのかよ」
「子供騙しですって……いいわ、わかりました! 今日は絶対に興奮させてみせるから覚悟しなさい!」
「へん、無理、無理、どうやっても不可能だ」
「今のうちに言ってなさい!」

ふざけたこと言って……私がどれだけ恥ずかしい思いをして下着を見せてると思ってるのよ……何が子供騙しよ……今日はあっと言わせてみせるんだから……

部屋に戻ると砂時計を逆さにして、時間を測る……まだ、覗きの時間まではあるけど、私はすぐに下着姿になった……

砂時計の砂が全て落ちた……私は砂時計をもう一度逆さに返して、ゼロスの部屋の壁に向かってたった……そしてそのまま体をクネクネといやらしくくねらせながら、下着をゆっくり外していった……

ヒュレルは美乳と言ってくれる形の良い乳房があらわになる……よほど恥ずかしいのか、私の乳首はすでにピンと立っていた……やだ……これをゼロスに見られている……そう考えると強烈に恥ずかしくなってきた……

さらに下の下着にも手をかける……それをゆっくり下ろしていこうとした……
ドンドンドンっ!
激しくドアを叩く音が響いた。
「おい! アリナ! ここを開けろ!」
やだ……ゼロス……どうしてくるのよ……もしかして私の裸に興奮して襲いにきたの……
少し躊躇したが、このままだとドアを壊されそうな勢いだったので、仕方なく開けた……ドアを開けると、勢いよく入ってきたゼロスは、白いシーツを私に投げた。
「馬鹿野郎! それで体を隠しやがれ!」
「ど……どうしたのよゼロス……私の裸……見たくないの……」
「本当に大馬鹿やろうだな! お前は六英雄のアリナだろ! 俺の好きなアリナは、気品があって、清潔で、誰にでも優しい女神のようなやつなんだよ! 男が覗いてるのに、情婦みたいに服を脱ぐような真似なんて絶対にしねえ!」

その言葉は、私の中にあった全てのゼロスのイメージを叩き壊した……
「だ……だって……私……」
「いいか、俺がお前の部屋を覗きにたいのは、女の裸が見たいからじゃねえんだよ、俺はアリナを見たいから覗いてるんだ……それはちょっとした仕草や、寝顔やあくびする姿なんだよ……」
驚いた……本当に私はゼロスを理解してなかったようだ……もしかしてゼロスは純粋に私を思ってくれてるの? 私を大事に思っているの? そうだとすれば私……
「ごめん……私が悪かったわ……」
そう謝罪すると、ゼロスに笑顔が戻った……
「わかりゃいいのよ、でもよ、俺に抱かれる為に裸になるっていうなら喜んで見てやるぜ」
「バカ……」
どうしたんだろ……私のドキドキが止まらない……あんなに不快だったゼロスの笑顔が今はたまらなく愛おしく見えてしまった……
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

私の推し(兄)が私のパンツを盗んでました!?

ミクリ21
恋愛
お兄ちゃん! それ私のパンツだから!?

プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?

九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。 で、パンツを持っていくのを忘れる。 というのはよくある笑い話。

自習室の机の下で。

カゲ
恋愛
とある自習室の机の下での話。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

処理中です...