妻は六英雄だが俺はしがない道具屋です

どらごんまじっく

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悪意と敵意

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六英雄三人による戦闘が始まった……全く次元の違う戦いに、俺は見てることしかできそうになかった……いや、まだできることがある……ルーリエを助けないと……

俺はジアーノンに見つからないように、ルーリエに近づいた。
「ルーリエ、ルーリエ! こっちに来るんだ! ジアーノンは悪い奴だったんだよ」
「…………ヒュレル……そう……だけどジアーノンはそんなことは言ってなかったわよ」
「だから、悪人の張本人が自分で悪人なんて言うわけないだろ」
「そもそも悪人てなに? 物を盗む人? 人を傷つける人? ジアーノンは人に愛を与え、人に富を与える……それが悪人なの?」
ダメだ……ルーリエが何ってるかわからないよ……
「いいから、一緒に来るんだ!」
俺は強引に手を引いてルーリエを連れて行こうとした……

胸が熱いと感じた……そのあと、痺れるような痛みが走る……見ると、俺の胸から血が流れ出していた……
「え……どうして……」
ルーリエの手には、俺の血がついたナイフが握られていた……
「ジアーノンがヒュレルは悪い男だと言ったの……だからこれで殺せって……」
ルーリエは感情なくそう言った……

あまりの痛みに俺はその場に倒れこんだ……

「ヒュレル!」
俺のそんな姿を見つけたアリナがそう叫ぶ……

ふう……やばいな……血が溢れてる……このままだと死んじゃうぞ……そうだ……バックに止血ポーションがあったな……あれを使えば……
俺はなんとか立ち上がり、自分の部屋へと向かった……

しかし、やはりダメージが大きいのか、フラフラと倒れそうになった……だけど、それを支えるようにアリナが肩を貸してくれる。
「ヒュレル! どうしたんだ……その血は……」
「ルーリエに刺された……」
俺は朦朧としながらそう答える。

「くっ……ジアーノン……ルーリエに何をしたの!」
アリナは怒りの声をあげた……

「……アリナ……ジアーノンとの戦闘は大丈夫か……」
「今はゼロスが一人で抑えてくれてる……」
「そうか……信頼してるんだな……」
「ああ……良い仲間だ……」
「じゃあ、そんな仲間を見捨てたらダメだな、早く戦闘に戻ってくれ……」
「ヒュレル……貴方はどうするの! そのままだと……」
「俺は部屋に戻ればポーションがあるからなんとかなる……そんなに距離はないから大丈夫だよ」
それを聞いてアリナは少し悩んだが、ゼロス一人では今のジアーノン相手に長く持たないと判断したのかそれを受け入れてくれた。
「……ヒュレル……わかった……無理しないで!」
「ああ……」

クラクラとするが、部屋まではすぐそこだ……なんとかなると思う……
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