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未来へ
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それから時は過ぎ…… 人類は啓明結社が事を起こす前に光智の指示の元、宇宙船を見つけ出した。八咫烏やフリーメイソンが全力をあげ宇宙船の開発に取り組んだ。その甲斐もあり、人類は火星へと住む場所を移した。火星ではコロニーを築き、開拓を進めた。コロニーの中では花や緑といった自然を再現した施設も作られた。
やがて火星への移住を先導した者達がこの世を去ったころには、人類も少しずつ増加し居住地確保のために開拓範囲を広げていった。
そんなある日、コロニー内にある建設中の花畑に1人の少女が迷い込んだ。その少女は初めて花を見たのか「これは何? 綺麗ね~ 」と言って、うっとりと花を眺めていた。そこへ1匹の白い蝶がひらひらと飛んできて、少女は蝶を見つけると夢中で追いかけた。
花畑を管理していた男性が、そんな少女を見つけ「お嬢ちゃん、何処から入ったんだい?」と少女に声をかけた。その少女は振り返り男性と目が合うなり「あっ!」と言って走り出した。
男性が追いかけ少女を捕まえると「どうして逃げるんだ! ここへは誰と来たの?」と聞いた。しかし少女は何も返事をしない。男性が「何処に住んでるの? お父さんは? お母さんは?」と聞いても、少女はいっさい口を開こうとしない。困り果てた男性は、とりあえず警察に保護を求めた。
連絡を受け警察官が到着し少女をパトカーに乗せようとした時、少女が警察官の隙を見て逃げ出した。警察官が少女を追いかけると、少女は大きな岩山の隙間に逃げ込んで行った。警察官も少女を追って大きな岩山の隙間に入ると、そこには下へと続く道が続いていた。
警察官は下へと続く道を少女を探して進んで行くと、道の先に明かりが見えた。明かりの方へ進んで行くと急に視界が広がり、警察官の目の前には家やビルといった建物が並ぶ光景が飛び込んで来た。警察官は「何でこんな所に街が…… 」と言って、しばらくは呆然とその街を見つめていた。やがて警察官は我に返ると「大変な物を見つけてしまった!」と来た道を急いで引き返して行った。
少女は街へ戻ると屋敷へと入って行った。屋敷の玄関の前では、女性が恐い顔をしてたっていた。その女性は少女を見るなり「アン、何処行ってたの! 心配したんだからね!」と言った。アンは「ルナお姉ちゃん!」と言って泣きながら抱き着いた。
ルナは「どうしたの!? 」と聞くが、アンはただ泣くばかりだった。ルナが「泣いてちゃ解らないでしょ、ちゃんと話してごらんなさい!」と言うと、アンは「白いひらひらが飛んできて追いかけてたの、そしたらおじさんに見つかって連れて行かれそうになったの」と言った。
ルナはが「白いひらひらって……!? アン、まさか上に行ったの?」と聞くと、少女は「うん! いろんな色がいっぱいあって綺麗だったの!」と言った。ルナは「上には行っちゃいけないって言ったでしょ!」と声を荒げて言った。アンはびっくりして、また泣き出していまった。ルナが「逃げたとき、誰か着いてこなかった?」と聞くが、アンは泣きながら「わかんない!」と首を横に振るだけだった。
ルナは「もしかしたら見つかってしまったかも? 早く皆んなに知らせないと!」困った顔をして言った。それからアンに「泣いてないで中に入りなさい」と言うと、アンを連れて中に入り、ルナは階段を駆け上って行った。
ルナが「セレネ姉さん! 大変よ!」と部屋に駆け込むと、セレネは「どうしたの!? ノックもしないで!」と言った。ルナが「アンが見つかったの!」と言うと、セレネは「見つかって良かったじゃない」と言った。アンは「そうじゃなくて、アンが地上に居る外から来た人達に見つかって、もしかしたらこの場所が知られてしまったかもしれないの」と言った。セレネは「何ですって!? それは不味い事になったわね……」と言った。
セレネが「急いで長老を呼んで!」と言うと、ルナは「解った!」と言って部屋を飛び出して行った。
しばらくすると、セレネの部屋のドアをノックする音がした。セレネが返事をする前にドアが勢いよく開き「姫様、話しはルナ様から聞きました。大変な事になりましたな……」と言った。セレネは「外から来た者とは関わってはいけないと言う、先祖からの言い伝えを守ってきたのに…… どうしたら良いの?」と言った。
長老は「とりあえず皆を避難させる事が先決かと! もし外から来た者達が攻めて来るような事になれば……」と言った。セレネが「攻めて来るような事になれば……?」と聞くと、長老は「黒龍にて向かい打つしかありますまい」と言った。セレネが「先祖からの言い伝えで、黒龍を争い事に使ってはならないと……」と言うと、「皆を守るのが我々の役目、そんな悠長な事を言っている場合ですか!」と言った。
セレネは「ルナ! とにかく皆んなを避難させて! あとは相手の出方を待ちましょう」と言った。ルナが「1人じゃ対応しきれないよ!」と言うと、長老が「騎士団の者にも手伝わせます」と言った。ルナと長老が部屋を出ようとすると、セレネが長老を呼び止め「念のため黒龍の手配をお願い!」と言ってから「ルナ! 気をつけて!」と言った。
ルナが「うん! お姉ちゃんも避難しないと!」と言うと、セレネは「私はまず、外から来た者と話し合うために残らないと!」と言った。ルナが「大丈夫なの?」と聞くと、セレネは「これはプリンセスとしての役目だから…… もしもの時は、あとをお願いね!」と言った。ルナは「お姉ちゃんも気をつけて!」と言うと、長老に「急ぎましょ!」と言って飛び出して行った。
街の人々が地下シェルターへの避難が終わり、街の入口には昔し火星を焼き尽くした黒龍が2体配備された。そこへ1個小隊ほどの武装した者達が街の入口へと差し掛かった。彼らは黒龍を見上げると「これはいったい何なんだ……?」と呆気に取られた。
やがて兵士の1人が「これは兵器なのか?」と口走ると、皆は一斉に戦闘態勢に入った。それを見た黒龍側にも緊張が走った時、兵士の後ろから「武装を解除せよ!」との声がした。兵士が「でも……」と言うと、声の主は「我々は争いに来た訳では無い! あくまでも話し合いに来たのだ!」と言った。
声の主は兵士にそこで待つように指示すると、黒龍の元へと歩いて行った。その男は黒龍の直ぐ側まで行くと「私はアニムスのラングストーンと言います、そちらの代表と話がしたい!」と言った。すると黒龍の後ろに控えていた騎士団の1人がラングストーンの方へ歩いて来た。
ラングストーンは「突然で申し訳無いが、我々は貴方がたと争いに来た訳ではありません、どなたか代表の方と話しをしたい」と言った。騎士団の者は「話し合いですと……?」と言って少し間を置き「ただいま確認を取ります、お待ちください」と言うと、騎士団の1人を呼び、何やら耳打ちをした。耳打ちされた者は何度かうなづくと街の奥へと走って行った。
しばらく待っていると、騎士団の者が再びラングストーンの前に来て「姫様がお会いになるとの事です、ただし貴方様1人でお願いします」と言った。それを聞いた兵士が「せめて私だけでも同行する訳には……」と言うのを制し、ラングストーンは「私が1人で行く!」と言った。「でも……」と言う兵士に、ラングストーンは「心配するな」と言った。
騎士団の者は「では案内します、こちらへ……」と言って歩き出した。そのあとをラングストーンが着いて行き、2人は屋敷の中へ
と入って行った。ラングストーンが屋敷に入ると、階段を上がった先にある部屋へと通された。部屋に入ると、そこには椅子に腰掛けた女性と、その側に老人が立っていた。
ラングストーンが「初めてまして、ラングストーンです」と自己紹介をすると、老人は
「私は長老のモーガン、こちらがニヴルヘイムの姫君でセレネ様でございます」と言った。セレネは立ち上がると「セレネです」と軽く会釈をした。
モーガンが「姫様の安全のため、このような非礼申し訳無い」と言うと、ラングストーンは「承知しております」と言った。モーガンは「とりあえず、お掛けください」と言ってラングストーンに席を勧め、自分は向かいの席へと座った。そしてラングストーンとセレネが隣りに座るのを見計らうって「それでお話しと言うのは……」と切り出した。
ラングストーンは「率直に言えば、我々としてはこの星での共存を希望します」と言った。セレネが「では我々と争うつもりは無いと……?」と言うと、ラングストーンは「我々の先祖は生まれ育った星を奪われ、この星へと逃げて来ました。その悔しさを知った我々が貴方がたに同じ事をするつもりもありません」と言った。
モーガンが「では、この星を出て行って頂きたい!」と言うと、ラングストンは「我々は長い年月をかけコロニーを築いてきました。先住民が居ると解っていれば、他に移住先を探したのでしょうが、いまとなってはそれも難しい……」と言った。
セレネは「私達の先祖は、外から来た者が原因で戦争が悪化し、この星のほとんどの者が滅びたと聞いています。なので外から来た者と干渉する事を禁じられているのです」と言った。ラングストーンは「干渉するなと言われるのであれば、干渉するつもりはありません。ただコロニーでの生活は承諾願いたい」と言った。
セレネが「私達に干渉しないで頂けるなら……」と言うと、ラングストーンは「とは言え、お互い生活する上で今後不具合が生じる事もあるかと思います。今後の話し合いで追い追い決めて行ければと……」と言った。モーガンが「そういった事であれば、我々の方でも話し合わなければなりません」と言うと、ラングストーンは「もちろん承諾しております、今日はとりあえず挨拶だけで準備が出来たころ場を設けたいと思います」と言った。
ラングストーンは「待たせている者達も心配しているので、今日はこの辺で」と立ち上がり「また日を改めて伺います、我々でもお役に立つこともあるかと思われますので、宜しくお願いします」と言った。モーガンは「承知しました、外の者に送らせます」と言って騎士団を呼んだ。
モーガンはラングストーンを見送ると「一時はどうなる事かと思いましたが、友好的で助かりましたな」と言った。セレネは「紳士的な人でしたね、早く皆んなに知らせないと」と言った。モーガンは「皆のこと忘れてました」と言うと、騎士団を呼び「皆に避難解除の知らせを!」と言った。
それから幾度と無く話し合いの場が設けられ、アニムスとニヴルヘイムの間で平和協定が結ばれた。
アニムスとニヴルヘイムが交流を深めると、古い書物などから火星へ黒龍の元となる兵器を持ち込んだ人物が抛筌斎と呼ばれていた事、地球を奪い人類を火星に追いやった者達の祖先も抛筌斎であった事が判明した。
お互いの歴史を知ると、アニムスとニヴルヘイムの交流は更に活発化した。アニムスはニヴルヘイムの子供達に遊ぶ場所を提供したり、ニヴルヘイムは地上の開拓に力を貸した。
地上の開拓にニヴルヘイムが黒龍を出すようになると、アニムスがそれまでに開拓する際、発掘された物が黒龍だと知る。黒龍がトリニティを元に研究して作られた物だと知ったアニムスの科学者が黒龍の研究に乗りだした。
やがてアニムス内部で論争が始まった。ある者が「この黒龍があれば、地球を取り返せるのではないか?」と言い始めたのだ。ある者は「いま更取り返して何になる、それに能力の無い我々では黒龍を操る事も出来ないではないか!」と言った。すると「だったらニヴルヘイムに協力を仰げば良い!」と言う者がいた。
アニムス側からニヴルヘイムへ協力の依頼をするがセレネは「そんな過去の復讐でニヴルヘイムの人を危険にさらす気は無い!」と断った。しかしアニムス側は「地球を取り返す事が出来れば、地上をニヴルヘイムに返す事も出来るし、何より共通の敵ではないか!」と喰い下がった。
セレネは「そんな事は考えず、お互いこの星で共存して行けは良いではないですか!」と断る一方、ニヴルヘイム内部でも地上での生活に憧れる者もおり「アニムスに協力しても良いのでは?」と考える者がいた。
反対するセレネをよそに、アニムスとニヴルヘイムでは地球に対して憎悪が膨らみ、復讐への炎が燃え広がって行った。
一方地球では、長田や慶福といった人類への復讐に立ち上がった者達もこの世を去り、残された者たちによって平和が保たれていた。
しかし突如として、渋谷上空に黒い物体が現れた。
「あれは何?」電車から外を眺めていた女子高生が空を指差す。隣りにいた女子高生が「どれ?」と言って指差した方向を見上げると、黒い影があっという間に大きくなり、渋谷の町に降り立った。
その黒い物体は、渋谷の町を焼き尽くし多くの犠牲者を出した。
火星では、ニヴルヘイムの科学者であるルシフェル博士の先導でアニムスへの協力に乗り出し、あの火星を焼き尽くした黒い龍を地球へと送り込んだ。
そしてアニムス連邦を発足させた。やがて地球に、アニムス連邦を名乗る組織から宣戦布告が記された声明が送られた。
地球では、防衛対策本部が設置され、白虎、玄武を軸にプロビデンス防衛軍を設立した。
この時より地球を掛けた大戦、ラグナロクへと突入した。
それから幾度となく、地球は黒龍に襲われたが、その都度性能で勝る白虎、玄武の活躍によって地球は護られていた。
それでも被害が無い訳ではなく、親を亡くし孤児となった子供達は、施設に預けられた。
施設で生活する子供達にとって「将来、白虎や玄武を従えるんだ、そして両親を殺した悪い奴らをやっつけるんだ」と白虎、玄武はヒーローの様な存在となり、心の支えとなっていた。
やがて火星への移住を先導した者達がこの世を去ったころには、人類も少しずつ増加し居住地確保のために開拓範囲を広げていった。
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花畑を管理していた男性が、そんな少女を見つけ「お嬢ちゃん、何処から入ったんだい?」と少女に声をかけた。その少女は振り返り男性と目が合うなり「あっ!」と言って走り出した。
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連絡を受け警察官が到着し少女をパトカーに乗せようとした時、少女が警察官の隙を見て逃げ出した。警察官が少女を追いかけると、少女は大きな岩山の隙間に逃げ込んで行った。警察官も少女を追って大きな岩山の隙間に入ると、そこには下へと続く道が続いていた。
警察官は下へと続く道を少女を探して進んで行くと、道の先に明かりが見えた。明かりの方へ進んで行くと急に視界が広がり、警察官の目の前には家やビルといった建物が並ぶ光景が飛び込んで来た。警察官は「何でこんな所に街が…… 」と言って、しばらくは呆然とその街を見つめていた。やがて警察官は我に返ると「大変な物を見つけてしまった!」と来た道を急いで引き返して行った。
少女は街へ戻ると屋敷へと入って行った。屋敷の玄関の前では、女性が恐い顔をしてたっていた。その女性は少女を見るなり「アン、何処行ってたの! 心配したんだからね!」と言った。アンは「ルナお姉ちゃん!」と言って泣きながら抱き着いた。
ルナは「どうしたの!? 」と聞くが、アンはただ泣くばかりだった。ルナが「泣いてちゃ解らないでしょ、ちゃんと話してごらんなさい!」と言うと、アンは「白いひらひらが飛んできて追いかけてたの、そしたらおじさんに見つかって連れて行かれそうになったの」と言った。
ルナはが「白いひらひらって……!? アン、まさか上に行ったの?」と聞くと、少女は「うん! いろんな色がいっぱいあって綺麗だったの!」と言った。ルナは「上には行っちゃいけないって言ったでしょ!」と声を荒げて言った。アンはびっくりして、また泣き出していまった。ルナが「逃げたとき、誰か着いてこなかった?」と聞くが、アンは泣きながら「わかんない!」と首を横に振るだけだった。
ルナは「もしかしたら見つかってしまったかも? 早く皆んなに知らせないと!」困った顔をして言った。それからアンに「泣いてないで中に入りなさい」と言うと、アンを連れて中に入り、ルナは階段を駆け上って行った。
ルナが「セレネ姉さん! 大変よ!」と部屋に駆け込むと、セレネは「どうしたの!? ノックもしないで!」と言った。ルナが「アンが見つかったの!」と言うと、セレネは「見つかって良かったじゃない」と言った。アンは「そうじゃなくて、アンが地上に居る外から来た人達に見つかって、もしかしたらこの場所が知られてしまったかもしれないの」と言った。セレネは「何ですって!? それは不味い事になったわね……」と言った。
セレネが「急いで長老を呼んで!」と言うと、ルナは「解った!」と言って部屋を飛び出して行った。
しばらくすると、セレネの部屋のドアをノックする音がした。セレネが返事をする前にドアが勢いよく開き「姫様、話しはルナ様から聞きました。大変な事になりましたな……」と言った。セレネは「外から来た者とは関わってはいけないと言う、先祖からの言い伝えを守ってきたのに…… どうしたら良いの?」と言った。
長老は「とりあえず皆を避難させる事が先決かと! もし外から来た者達が攻めて来るような事になれば……」と言った。セレネが「攻めて来るような事になれば……?」と聞くと、長老は「黒龍にて向かい打つしかありますまい」と言った。セレネが「先祖からの言い伝えで、黒龍を争い事に使ってはならないと……」と言うと、「皆を守るのが我々の役目、そんな悠長な事を言っている場合ですか!」と言った。
セレネは「ルナ! とにかく皆んなを避難させて! あとは相手の出方を待ちましょう」と言った。ルナが「1人じゃ対応しきれないよ!」と言うと、長老が「騎士団の者にも手伝わせます」と言った。ルナと長老が部屋を出ようとすると、セレネが長老を呼び止め「念のため黒龍の手配をお願い!」と言ってから「ルナ! 気をつけて!」と言った。
ルナが「うん! お姉ちゃんも避難しないと!」と言うと、セレネは「私はまず、外から来た者と話し合うために残らないと!」と言った。ルナが「大丈夫なの?」と聞くと、セレネは「これはプリンセスとしての役目だから…… もしもの時は、あとをお願いね!」と言った。ルナは「お姉ちゃんも気をつけて!」と言うと、長老に「急ぎましょ!」と言って飛び出して行った。
街の人々が地下シェルターへの避難が終わり、街の入口には昔し火星を焼き尽くした黒龍が2体配備された。そこへ1個小隊ほどの武装した者達が街の入口へと差し掛かった。彼らは黒龍を見上げると「これはいったい何なんだ……?」と呆気に取られた。
やがて兵士の1人が「これは兵器なのか?」と口走ると、皆は一斉に戦闘態勢に入った。それを見た黒龍側にも緊張が走った時、兵士の後ろから「武装を解除せよ!」との声がした。兵士が「でも……」と言うと、声の主は「我々は争いに来た訳では無い! あくまでも話し合いに来たのだ!」と言った。
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ラングストーンは「突然で申し訳無いが、我々は貴方がたと争いに来た訳ではありません、どなたか代表の方と話しをしたい」と言った。騎士団の者は「話し合いですと……?」と言って少し間を置き「ただいま確認を取ります、お待ちください」と言うと、騎士団の1人を呼び、何やら耳打ちをした。耳打ちされた者は何度かうなづくと街の奥へと走って行った。
しばらく待っていると、騎士団の者が再びラングストーンの前に来て「姫様がお会いになるとの事です、ただし貴方様1人でお願いします」と言った。それを聞いた兵士が「せめて私だけでも同行する訳には……」と言うのを制し、ラングストーンは「私が1人で行く!」と言った。「でも……」と言う兵士に、ラングストーンは「心配するな」と言った。
騎士団の者は「では案内します、こちらへ……」と言って歩き出した。そのあとをラングストーンが着いて行き、2人は屋敷の中へ
と入って行った。ラングストーンが屋敷に入ると、階段を上がった先にある部屋へと通された。部屋に入ると、そこには椅子に腰掛けた女性と、その側に老人が立っていた。
ラングストーンが「初めてまして、ラングストーンです」と自己紹介をすると、老人は
「私は長老のモーガン、こちらがニヴルヘイムの姫君でセレネ様でございます」と言った。セレネは立ち上がると「セレネです」と軽く会釈をした。
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ラングストーンは「率直に言えば、我々としてはこの星での共存を希望します」と言った。セレネが「では我々と争うつもりは無いと……?」と言うと、ラングストーンは「我々の先祖は生まれ育った星を奪われ、この星へと逃げて来ました。その悔しさを知った我々が貴方がたに同じ事をするつもりもありません」と言った。
モーガンが「では、この星を出て行って頂きたい!」と言うと、ラングストンは「我々は長い年月をかけコロニーを築いてきました。先住民が居ると解っていれば、他に移住先を探したのでしょうが、いまとなってはそれも難しい……」と言った。
セレネは「私達の先祖は、外から来た者が原因で戦争が悪化し、この星のほとんどの者が滅びたと聞いています。なので外から来た者と干渉する事を禁じられているのです」と言った。ラングストーンは「干渉するなと言われるのであれば、干渉するつもりはありません。ただコロニーでの生活は承諾願いたい」と言った。
セレネが「私達に干渉しないで頂けるなら……」と言うと、ラングストーンは「とは言え、お互い生活する上で今後不具合が生じる事もあるかと思います。今後の話し合いで追い追い決めて行ければと……」と言った。モーガンが「そういった事であれば、我々の方でも話し合わなければなりません」と言うと、ラングストーンは「もちろん承諾しております、今日はとりあえず挨拶だけで準備が出来たころ場を設けたいと思います」と言った。
ラングストーンは「待たせている者達も心配しているので、今日はこの辺で」と立ち上がり「また日を改めて伺います、我々でもお役に立つこともあるかと思われますので、宜しくお願いします」と言った。モーガンは「承知しました、外の者に送らせます」と言って騎士団を呼んだ。
モーガンはラングストーンを見送ると「一時はどうなる事かと思いましたが、友好的で助かりましたな」と言った。セレネは「紳士的な人でしたね、早く皆んなに知らせないと」と言った。モーガンは「皆のこと忘れてました」と言うと、騎士団を呼び「皆に避難解除の知らせを!」と言った。
それから幾度と無く話し合いの場が設けられ、アニムスとニヴルヘイムの間で平和協定が結ばれた。
アニムスとニヴルヘイムが交流を深めると、古い書物などから火星へ黒龍の元となる兵器を持ち込んだ人物が抛筌斎と呼ばれていた事、地球を奪い人類を火星に追いやった者達の祖先も抛筌斎であった事が判明した。
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セレネは「そんな事は考えず、お互いこの星で共存して行けは良いではないですか!」と断る一方、ニヴルヘイム内部でも地上での生活に憧れる者もおり「アニムスに協力しても良いのでは?」と考える者がいた。
反対するセレネをよそに、アニムスとニヴルヘイムでは地球に対して憎悪が膨らみ、復讐への炎が燃え広がって行った。
一方地球では、長田や慶福といった人類への復讐に立ち上がった者達もこの世を去り、残された者たちによって平和が保たれていた。
しかし突如として、渋谷上空に黒い物体が現れた。
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火星では、ニヴルヘイムの科学者であるルシフェル博士の先導でアニムスへの協力に乗り出し、あの火星を焼き尽くした黒い龍を地球へと送り込んだ。
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地球では、防衛対策本部が設置され、白虎、玄武を軸にプロビデンス防衛軍を設立した。
この時より地球を掛けた大戦、ラグナロクへと突入した。
それから幾度となく、地球は黒龍に襲われたが、その都度性能で勝る白虎、玄武の活躍によって地球は護られていた。
それでも被害が無い訳ではなく、親を亡くし孤児となった子供達は、施設に預けられた。
施設で生活する子供達にとって「将来、白虎や玄武を従えるんだ、そして両親を殺した悪い奴らをやっつけるんだ」と白虎、玄武はヒーローの様な存在となり、心の支えとなっていた。
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バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
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