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45. 水魔法と同じ見た目
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あれからしばらくして。
兵士達が全力で捜査した結果、こことは別の旅館でお義母様が見つかった。
でも、その報告が届いてから一切の連絡が途絶えているらしい。
私もイアン様も、発見した兵士達が洗脳魔法にかかったと予想して、私達も捜索に出ることにした。
城壁を超える門を守っている兵士は私が作り出した水に浸っているから大丈夫だと思うけれど、いつ突破されるか分からないから早く見つけたい。
「――イアン様、この辺りですよね?」
「ああ。情報が正しければここで合っている」
そう言われ、私は魔法の痕跡を追う魔法を起動させる。儀式魔法は本来なら一瞬で起動させられないけれど、水魔法を使うと可能になるらしい。
他の人が同じことをしないのが不思議だ。
「……闇魔法の痕跡が見えました。向こうです!」
「分かった」
方向を示すと、イアン様はすぐに足を踏み出す。
向かったのは路地裏で、奥に進むにつれて嫌な気配が漂ってくる。
ひんやりとした空気まで漂ってきて、文字通り私は小さく震えた。
「あれ……連絡が途絶えた兵士ですよね?」
「その通りだが、今は敵だと思った方が良い。あの目は洗脳にかかっている」
「では、どうするのですか?」
「こうするだけだ」
小声で言葉を交わすと、イアン様は何かを取り出し路地の奥へと放り投げる。
すると、やや遅れてガラスが割れる音が響いた。
「に、逃げろ!」
続けて聞こえてきたのは、元お義父様の声。
兵士達は路地の奥へと向かい、入れ替わるようにして元お義母様が姿を見せた。
彼女の顔は私の知っている頃より丸くなっている。似顔絵とは少し違うから、兵士達が見つけられたのは本当にすごいと思った。
「……イアン様」
「アイリス、手を貸して欲しい」
「は、はい」
どうして良いのか分からず咄嗟に頷くと、彼は私の手を握った。
そして、空いている方の手を前に突き出すと、元お義父様が大きく口を開く。
「イリヤ! アイリスを洗脳しろ!」
「無理よ! 私の魔法は通らないのよ!?」
「つべこべ言わずにやれ!」
元お義父様は剣を抜き、元お義母様に突きつける。
それを見て、私は光の防御魔法をもう一つ起動した。
「魔力を借りるよ」
「ど、どうすればいいのですか?」
「左手に光の魔力を込めて」
「……こうですか?」
魔法はそのままに、イアン様に言われた通り魔力を込める。
すると、左手から魔力が吸われていく感覚がした。
遅れてイアン様から強い冷気まで漂ってきて、感じていた不安が強くなる。
それでも手を離さないでいると、イアン様の前に湯気を立てる魔法陣が現れた。
見た目は私の水魔法と同じ。けれど、水ではない何かだ。
「服従しなさい!」
「お断りだ!」
直後、元お義母様の手から紫色の靄が現れ、私達に向かってくる。
イアン様の手から黄色い靄が現れたのはほぼ同時で、直後に紫色の靄はお義母様に跳ね返った。
「……今の、何ですか?」
「魔法を跳ね返す儀式魔法だよ。この感じ、成功したみたいだ」
イアン様がそう口にすると、元お義母様の動きが止まる。
私を睨みつけていた視線は外れ、まるで生気を宿していないように見えた。
元お義父様も何が起きたのか分からないようで一瞬だけ固まり、立ち直ると剣を構えたまま私達に突っ込んでくる。
「アイリス、下がって」
「は、はい」
「殿下、我々にお任せを!」
「俺が戦うことに意味がある。一撃目は手を出すな」
「分かりました」
慌てて護身用の短剣を取り出すと、冷静な声が聞こえた。
だから彼の言葉を信じて、護衛の兵士達の中まで下がる。
その直後、剣と剣がぶつかる音が響き、元お義父様の手にあったはずの剣が柄だけを残して消えていた。
すると兵士達が元お義父様に飛び掛かり、あっという間に地面へと押さえつける。
私の両隣の兵士だけは前に出ず、少し離れてたところから警戒している様子。
お義母様はこの間も一切動かずに、明後日の方向に視線を向けていた。
あの目は洗脳されている兵士達にそっくり。でも、イアン様は闇魔法を使えないはずだから、何がどうなっているの理解出来ない。
でも、一つだけ分かることがある。
あんなに暗殺に悩まされ、生活の自由さえも奪われていたのに、決着が一瞬でついたから私の理解が追い付いていないのよね……。
兵士達が全力で捜査した結果、こことは別の旅館でお義母様が見つかった。
でも、その報告が届いてから一切の連絡が途絶えているらしい。
私もイアン様も、発見した兵士達が洗脳魔法にかかったと予想して、私達も捜索に出ることにした。
城壁を超える門を守っている兵士は私が作り出した水に浸っているから大丈夫だと思うけれど、いつ突破されるか分からないから早く見つけたい。
「――イアン様、この辺りですよね?」
「ああ。情報が正しければここで合っている」
そう言われ、私は魔法の痕跡を追う魔法を起動させる。儀式魔法は本来なら一瞬で起動させられないけれど、水魔法を使うと可能になるらしい。
他の人が同じことをしないのが不思議だ。
「……闇魔法の痕跡が見えました。向こうです!」
「分かった」
方向を示すと、イアン様はすぐに足を踏み出す。
向かったのは路地裏で、奥に進むにつれて嫌な気配が漂ってくる。
ひんやりとした空気まで漂ってきて、文字通り私は小さく震えた。
「あれ……連絡が途絶えた兵士ですよね?」
「その通りだが、今は敵だと思った方が良い。あの目は洗脳にかかっている」
「では、どうするのですか?」
「こうするだけだ」
小声で言葉を交わすと、イアン様は何かを取り出し路地の奥へと放り投げる。
すると、やや遅れてガラスが割れる音が響いた。
「に、逃げろ!」
続けて聞こえてきたのは、元お義父様の声。
兵士達は路地の奥へと向かい、入れ替わるようにして元お義母様が姿を見せた。
彼女の顔は私の知っている頃より丸くなっている。似顔絵とは少し違うから、兵士達が見つけられたのは本当にすごいと思った。
「……イアン様」
「アイリス、手を貸して欲しい」
「は、はい」
どうして良いのか分からず咄嗟に頷くと、彼は私の手を握った。
そして、空いている方の手を前に突き出すと、元お義父様が大きく口を開く。
「イリヤ! アイリスを洗脳しろ!」
「無理よ! 私の魔法は通らないのよ!?」
「つべこべ言わずにやれ!」
元お義父様は剣を抜き、元お義母様に突きつける。
それを見て、私は光の防御魔法をもう一つ起動した。
「魔力を借りるよ」
「ど、どうすればいいのですか?」
「左手に光の魔力を込めて」
「……こうですか?」
魔法はそのままに、イアン様に言われた通り魔力を込める。
すると、左手から魔力が吸われていく感覚がした。
遅れてイアン様から強い冷気まで漂ってきて、感じていた不安が強くなる。
それでも手を離さないでいると、イアン様の前に湯気を立てる魔法陣が現れた。
見た目は私の水魔法と同じ。けれど、水ではない何かだ。
「服従しなさい!」
「お断りだ!」
直後、元お義母様の手から紫色の靄が現れ、私達に向かってくる。
イアン様の手から黄色い靄が現れたのはほぼ同時で、直後に紫色の靄はお義母様に跳ね返った。
「……今の、何ですか?」
「魔法を跳ね返す儀式魔法だよ。この感じ、成功したみたいだ」
イアン様がそう口にすると、元お義母様の動きが止まる。
私を睨みつけていた視線は外れ、まるで生気を宿していないように見えた。
元お義父様も何が起きたのか分からないようで一瞬だけ固まり、立ち直ると剣を構えたまま私達に突っ込んでくる。
「アイリス、下がって」
「は、はい」
「殿下、我々にお任せを!」
「俺が戦うことに意味がある。一撃目は手を出すな」
「分かりました」
慌てて護身用の短剣を取り出すと、冷静な声が聞こえた。
だから彼の言葉を信じて、護衛の兵士達の中まで下がる。
その直後、剣と剣がぶつかる音が響き、元お義父様の手にあったはずの剣が柄だけを残して消えていた。
すると兵士達が元お義父様に飛び掛かり、あっという間に地面へと押さえつける。
私の両隣の兵士だけは前に出ず、少し離れてたところから警戒している様子。
お義母様はこの間も一切動かずに、明後日の方向に視線を向けていた。
あの目は洗脳されている兵士達にそっくり。でも、イアン様は闇魔法を使えないはずだから、何がどうなっているの理解出来ない。
でも、一つだけ分かることがある。
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