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本編
7. 偽りの噂
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『辛い時こそ一人で抱え込まずに、信用できる人に相談した方がいいわ。その方が楽になるから』
ふと、いつの日かお母様に言われた言葉が脳裏に浮かんだ。
思い返せば、その通りだったことは何度もあった。
だから今のこの苦しみだって打ち明ければ楽になると思う。
でも、アリスを巻き込んでしまったら距離を取られてしまうかもしれない。
そんな不安が出てきてしまったら、打ち明けようだなんて思えなかった。
「……ところで、アリスは何の用で来たの?」
「暇というのは建前で、気になることがあるから確認しに来たのよ」
気まずい沈黙を誤魔化すように問いかけると、そんな言葉が返ってきた。
それも、私に心配そうな目を向けながら。
「気になること……?」
「聞かれるとまずいから、中で話してもいいかしら?」
「ええ」
私は頷くと、アリスを玄関の中へと案内した。
歩いている途中、何か良くない事なのかと不安になってしまったけれど、アリスの口から出てきた言葉は重要には聞こえないものだった。
「この前、貴女がセレスティア様と仲がいいという噂を耳にしたのだけど、本当かしら?」
「そんなこと天と地がひっくり返ってもあり得ないわ! あの方は私が関わりたくないタイプよ?」
なんならケヴィンの浮気相手だ。敵視することはあっても仲良くなることは絶対に、あり得ない。
あり得ない噂に少し怒りが湧いてしまって、普段よりも強い口調で否定する。
そんな私の様子に、アリスは苦笑を浮かべていた。
それからすぐに真剣な表情になると、こんなことを口にした。
「やっぱり、あの噂は誰かが意図的に流したものね」
「でも、そんな噂を流して得する人っているのかしら?」
「得はしないかもしれないけど、ソフィアの評判を下げることは出来るはずよ。彼女、かなりの性悪だから……」
アリスは私が誰かに目をつけられたのではないかと心配しているらしい。
でも、私はそうは思っていなかった。それに、ケヴィン様の浮気と関係しているのか気になってしまった。
誰かと敵対するような行動は避けていたから。
それでも怒りを買ってしまった可能性はゼロではない。その些細な怒りが大きな嫌がらせのきっかけになることも珍しくない。
でも、仲の良かった私達を引き離そうとしている人がいたら?
浮気したのはケヴィン様だけれど、そうするように仕向けた人がいるなら、その人も許せないわ。
「でも、地位の差を考えると性悪女に絡まれてる可哀そうな令嬢って見えなくもないのよね……」
「そうよね……」
セレスティア様は公爵令嬢だけれど、私は伯爵令嬢。普通なら反抗出来る相手ではない。
だから、見る人が見ればアリスの言った通りの考えになるはず。
詰めが甘いのか、それも織り込み済みなのか。
後者だとしたら厄介ね。
「とりあえず、用心はした方がいいわ。ソフィアを虐めの加害者にするための下準備かもしれないから」
「ええ、いつも以上に気を付けるわ」
頷く私。
この時にはもう、誰かの嫌がらせだとほぼ確信していた。
筆頭公爵家の令嬢で、王太子殿下の婚約者でもあるアリスが味方で本当に良かったわ。
「こっちが本題なのだけれど、魔法学の課題が全然わからないから教えてもらえないかしら?」
「どう考えてもさっきのが本題よね!?」
「ただの噂よりも目前に迫る危機の方が重要よ! お邪魔してもいいかしら?」
私の突っ込みをスルーして、屋敷に上がる許可を出すよりも早く歩き出すアリス。
大げさな表現に苦笑しながら、応接室に通す私だった。
ふと、いつの日かお母様に言われた言葉が脳裏に浮かんだ。
思い返せば、その通りだったことは何度もあった。
だから今のこの苦しみだって打ち明ければ楽になると思う。
でも、アリスを巻き込んでしまったら距離を取られてしまうかもしれない。
そんな不安が出てきてしまったら、打ち明けようだなんて思えなかった。
「……ところで、アリスは何の用で来たの?」
「暇というのは建前で、気になることがあるから確認しに来たのよ」
気まずい沈黙を誤魔化すように問いかけると、そんな言葉が返ってきた。
それも、私に心配そうな目を向けながら。
「気になること……?」
「聞かれるとまずいから、中で話してもいいかしら?」
「ええ」
私は頷くと、アリスを玄関の中へと案内した。
歩いている途中、何か良くない事なのかと不安になってしまったけれど、アリスの口から出てきた言葉は重要には聞こえないものだった。
「この前、貴女がセレスティア様と仲がいいという噂を耳にしたのだけど、本当かしら?」
「そんなこと天と地がひっくり返ってもあり得ないわ! あの方は私が関わりたくないタイプよ?」
なんならケヴィンの浮気相手だ。敵視することはあっても仲良くなることは絶対に、あり得ない。
あり得ない噂に少し怒りが湧いてしまって、普段よりも強い口調で否定する。
そんな私の様子に、アリスは苦笑を浮かべていた。
それからすぐに真剣な表情になると、こんなことを口にした。
「やっぱり、あの噂は誰かが意図的に流したものね」
「でも、そんな噂を流して得する人っているのかしら?」
「得はしないかもしれないけど、ソフィアの評判を下げることは出来るはずよ。彼女、かなりの性悪だから……」
アリスは私が誰かに目をつけられたのではないかと心配しているらしい。
でも、私はそうは思っていなかった。それに、ケヴィン様の浮気と関係しているのか気になってしまった。
誰かと敵対するような行動は避けていたから。
それでも怒りを買ってしまった可能性はゼロではない。その些細な怒りが大きな嫌がらせのきっかけになることも珍しくない。
でも、仲の良かった私達を引き離そうとしている人がいたら?
浮気したのはケヴィン様だけれど、そうするように仕向けた人がいるなら、その人も許せないわ。
「でも、地位の差を考えると性悪女に絡まれてる可哀そうな令嬢って見えなくもないのよね……」
「そうよね……」
セレスティア様は公爵令嬢だけれど、私は伯爵令嬢。普通なら反抗出来る相手ではない。
だから、見る人が見ればアリスの言った通りの考えになるはず。
詰めが甘いのか、それも織り込み済みなのか。
後者だとしたら厄介ね。
「とりあえず、用心はした方がいいわ。ソフィアを虐めの加害者にするための下準備かもしれないから」
「ええ、いつも以上に気を付けるわ」
頷く私。
この時にはもう、誰かの嫌がらせだとほぼ確信していた。
筆頭公爵家の令嬢で、王太子殿下の婚約者でもあるアリスが味方で本当に良かったわ。
「こっちが本題なのだけれど、魔法学の課題が全然わからないから教えてもらえないかしら?」
「どう考えてもさっきのが本題よね!?」
「ただの噂よりも目前に迫る危機の方が重要よ! お邪魔してもいいかしら?」
私の突っ込みをスルーして、屋敷に上がる許可を出すよりも早く歩き出すアリス。
大げさな表現に苦笑しながら、応接室に通す私だった。
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