23 / 39
本編
23. 気に入らない人 ※セレスティアside
しおりを挟む☆今回から3話、視点が変わります☆
☆
「今回はうまくいきましたわね……。これで、残るはアリスだけよ」
「それは良かったですね。ですが、これ以上はもうお付き合いできません。
あとはご自身で計画を進めてください」
ソフィアがトラウマを植え付けられた日の夕方、バルケーヌ公爵家にあるセレスティアの私室ではこんな会話が交わされていた。
しかしその会話も続かず、公爵令嬢の私室としては質素な様相となっているこの部屋から、侍女が部屋を出よう扉に手をかけていた。
しかし、彼女は床に崩れ落ちることになる。
「あら、私に逆らうつもりかしら? 私は貴女の心臓を止めることだって出来ますのよ?」
「もうしわけ、ありません……」
胸を抑え、痛みに耐える侍女に歩み寄るセレスティア。彼女のサファイアよりも深い青色の瞳は、ひどく冷え切っていた。
ちなみに、先の言葉は偽りであり、事実でもあった。
今は闇魔法による幻覚で激しい胸の痛みに襲われている侍女だが、その幻覚によって直接命を奪われることはない。しかし攻撃魔法としての闇魔法に抵抗することも出来ないから、セレスティアが殺意を持てば命を失うこともあり得る。
そのことに気付けない侍女は、涙を流しながら許しを請うことしかできない。
「分かればいいわ。あなたは唯一の私の味方ですもの」
「はい……」
バルケーヌ公爵家の長女として生を受けたセレスティアだったが、今の彼女に味方と言える味方ははいない。
表向きは味方のように振舞っている者たちは、脅しによって従えているだけなのだから。
生まれは恵まれている彼女は、お世辞にも恵まれているという状況ではなかった。
「1つの属性しか使えない無能の分際で偉そうにしないで頂戴」
「ほんと、悪魔みたいよね。紫の髪に紫の瞳って」
「王子の婚約者になれなかったのはお前の魔法の力が弱いからだ」
「お前は公爵令嬢だというのに、伯爵令嬢でしかないソフィア嬢は5つも適正があるのだぞ。我が家の恥だとは思わないのか!」
「ソフィア嬢が私の娘だったらどんなに良かったか」
そう、公爵家の長女とは思えないひどい言われに扱いを受けていた。
こうなった原因はセレスティア自身の態度にあったのだが、彼女自身が気付くことはない。
しかし周囲の者達は知っていた。
セレスティアはすぐに勉強を投げ出し、努力をしようとしない。
唯一真剣に学んだ闇魔法だって、使用人を脅すための道具に使うだけ。
そんな態度を取るものだから、彼女には誰も寄り付かなくなっていた。
しかし噂というものはセレスティアの耳にも届いていた。
(ソフィアがいなければ、アリスがいなければ……私はこんな惨めな思いをしなくて済んだのに)
ソフィアやアリスを称える噂を聞くたびに、妬み……そして怒りは増していった。
そして思いついた。
「そうだわ、ソフィアを脅してアリスとの縁を切らせましょう。出来るだけ無礼なほうがいいわよね。
公爵令嬢に対する無礼、修道院送りになるわね。ええ、完璧よ」
まずはソフィアを不幸に陥れる計画を。
そして、学院内でソフィアとアリスが話しているタイミングを狙ってトラウマを植え付けようとした。
しかし……。
(どうして魔法が効かないのよ!?)
計画は失敗に終わった。
しかし、同時にとある人物に一目惚れした。
(ああ、私もレオン様にあんな風に大事にされたいですわ……。今の婚約者なんて比べ物にならないくらいの美男だなんて、私にお似合いよね)
そんな自惚れをしてしまい、ますます盲目になったセレスティアは次の計画を思いつく。
ケヴィンにソフィアとの婚約を破棄させるという計画を。
222
あなたにおすすめの小説
『婚約破棄された令嬢ですが、王国は私抜きでは立てなかったようですね』
鷹 綾
恋愛
「愛しているのは彼女だ」
王太子ロネスにそう告げられ、婚約を破棄された侯爵令嬢エルゼリア・クローヴェル。
感情をぶつけることも、復讐を誓うこともなく、
彼女はただ――王宮を去った。
しかしその直後から、王国は静かに崩れ始める。
外交は滞り、判断は遅れ、市場は揺れ、
かつて「問題なく回っていた」はずの政務が、次々と行き詰まっていった。
一方、エルゼリアは帝国で新たな立場を得ていた。
帝国宰相ハインリヒ・ヴォルフの隣で、
彼女は再び“判断する側”として歩み始める。
やがて明らかになるのは、
王国が失ったのは「婚約者」ではなく、
判断を引き継ぐ仕組みそのものだったという事実。
謝罪も、復縁も、感情的なざまあもない。
それでも――
選ばれ、認められ、引き継がれていくのは、誰なのか。
これは、
捨てられた令嬢が声を荒げることなく、
世界のほうが彼女を必要としてしまった物語。
【完結】伯爵令嬢は婚約を終わりにしたい〜次期公爵の幸せのために婚約破棄されることを目指して悪女になったら、なぜか溺愛されてしまったようです〜
よどら文鳥
恋愛
伯爵令嬢のミリアナは、次期公爵レインハルトと婚約関係である。
二人は特に問題もなく、順調に親睦を深めていった。
だがある日。
王女のシャーリャはミリアナに対して、「二人の婚約を解消してほしい、レインハルトは本当は私を愛しているの」と促した。
ミリアナは最初こそ信じなかったが王女が帰った後、レインハルトとの会話で王女のことを愛していることが判明した。
レインハルトの幸せをなによりも優先して考えているミリアナは、自分自身が嫌われて婚約破棄を宣告してもらえばいいという決断をする。
ミリアナはレインハルトの前では悪女になりきることを決意。
もともとミリアナは破天荒で活発な性格である。
そのため、悪女になりきるとはいっても、むしろあまり変わっていないことにもミリアナは気がついていない。
だが、悪女になって様々な作戦でレインハルトから嫌われるような行動をするが、なぜか全て感謝されてしまう。
それどころか、レインハルトからの愛情がどんどんと深くなっていき……?
※前回の作品同様、投稿前日に思いついて書いてみた作品なので、先のプロットや展開は未定です。今作も、完結までは書くつもりです。
※第一話のキャラがざまぁされそうな感じはありますが、今回はざまぁがメインの作品ではありません。もしかしたら、このキャラも更生していい子になっちゃったりする可能性もあります。(このあたり、現時点ではどうするか展開考えていないです)
あなたの絶望のカウントダウン
nanahi
恋愛
親同士の密約によりローラン王国の王太子に嫁いだクラウディア。
王太子は密約の内容を知らされないまま、妃のクラウディアを冷遇する。
しかも男爵令嬢ダイアナをそばに置き、面倒な公務はいつもクラウディアに押しつけていた。
ついにダイアナにそそのかされた王太子は、ある日クラウディアに離縁を突きつける。
「本当にいいのですね?」
クラウディアは暗い目で王太子に告げる。
「これからあなたの絶望のカウントダウンが始まりますわ」
君を愛す気はない?どうぞご自由に!あなたがいない場所へ行きます。
みみぢあん
恋愛
貧乏なタムワース男爵家令嬢のマリエルは、初恋の騎士セイン・ガルフェルト侯爵の部下、ギリス・モリダールと結婚し初夜を迎えようとするが… 夫ギリスの暴言に耐えられず、マリエルは神殿へ逃げこんだ。
マリエルは身分違いで告白をできなくても、セインを愛する自分が、他の男性と結婚するのは間違いだと、自立への道をあゆもうとする。
そんなマリエルをセインは心配し… マリエルは愛するセインの優しさに苦悩する。
※ざまぁ系メインのお話ではありません、ご注意を😓
嘘をありがとう
七辻ゆゆ
恋愛
「まあ、なんて図々しいのでしょう」
おっとりとしていたはずの妻は、辛辣に言った。
「要するにあなた、貴族でいるために政略結婚はする。けれど女とは別れられない、ということですのね?」
妻は言う。女と別れなくてもいい、仕事と嘘をついて会いに行ってもいい。けれど。
「必ず私のところに帰ってきて、子どもをつくり、よい夫、よい父として振る舞いなさい。神に嘘をついたのだから、覚悟を決めて、その嘘を突き通しなさいませ」
セラフィーヌの幸せ結婚 ~結婚したら池に入ることになりました~
れもんぴーる
恋愛
貧乏子爵家のセラフィーヌは侯爵家嫡男のガエルに望まれて結婚した。
しかしその結婚生活は幸せなものではなかった。
ガエルは父に反対されている恋人の隠れ蓑としてセラフィーヌと結婚したのだ。
ある日ガエルの愛人に大切にしていたブローチを池に投げ込まれてしまうが、見ていた使用人たちは笑うだけで拾おうとしなかった。
セラフィーヌは、覚悟を決めて池に足を踏み入れた。
それをガエルの父が目撃していたのをきっかけに、セラフィーヌの人生は変わっていく。
*前半シリアス、後半コミカルっぽいです。
*感想欄で所々ネタバレしてしまいました。
感想欄からご覧になる方はご注意くださいませm(__)m
*他サイトでも投稿予定です
次代の希望 愛されなかった王太子妃の愛
Rj
恋愛
王子様と出会い結婚したグレイス侯爵令嬢はおとぎ話のように「幸せにくらしましたとさ」という結末を迎えられなかった。愛し合っていると思っていたアーサー王太子から結婚式の二日前に愛していないといわれ、表向きは仲睦まじい王太子夫妻だったがアーサーにはグレイス以外に愛する人がいた。次代の希望とよばれた王太子妃の物語。
全十二話。(全十一話で投稿したものに一話加えました。2/6変更)
白い結婚の末、離婚を選んだ公爵夫人は二度と戻らない』
鍛高譚
恋愛
白い結婚の末、「白い結婚」の末、私は冷遇され、夫は愛人を溺愛していた――ならば、もう要らないわ」
公爵令嬢 ジェニファー・ランカスター は、王弟 エドワード・クラレンス公爵 のもとへ政略結婚として嫁ぐ。
だが、その結婚生活は冷たく空虚なものだった。夫は愛人 ローザ・フィッツジェラルド に夢中になり、公爵夫人であるジェニファーは侮辱され、無視され続ける日々。
――それでも、貴族の娘は耐えなければならないの?
何の愛もなく、ただ飾り物として扱われる結婚に見切りをつけたジェニファーは 「離婚」 を決意する。
しかし、王弟であるエドワードとの離婚は容易ではない。実家のランカスター家は猛反対し、王宮の重臣たちも彼女の決断を 「公爵家の恥」 と揶揄する。
それでも、ジェニファーは負けない。弁護士と協力し、着々と準備を進めていく。
そんな折、彼女は北方の大国 ヴォルフ公国の大公、アレクサンダー・ヴォルフ と出会う。
温かく誠実な彼との交流を通じて、ジェニファーは 「本当に大切にされること」 を知る。
そして、彼女の決断は、王都の社交界に大きな波紋を呼ぶこととなる――。
「公爵夫人を手放したことを、いつか後悔しても遅いわ」
「私はもう、あなたたちの飾り人形じゃない」
離婚を巡る策略、愛人の凋落、元夫の後悔――。
そして、新たな地で手にした 「愛される結婚」。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる