鍵っ子少年のはじめて

Ruon

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鍵っ子少年のはじめて

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───夕方5時45分。

 決まってこの時間になると薄暗くなる夜道を一人で歩く少年がいる。
 学校からそのまま塾に行った帰りだろうか。背中に背負うリュックサックのファスナーに夕日に反射してキラキラと輝く鍵がついているのが遠くからでも視認できる。
 自宅であるマンションまで歩いて帰る少年の後をつけていくと鍵を開けて中に入ろうとしているのを少し離れたところから観察する。
 この少年の両親は共働きでおよそ八時近くまで帰ってこない。
 今、乗り込むしかない───そう考えるよりも、思うよりも先に中に入っていく少年の後を、決して足音を立てて気付かれないように慣れた足取りで近寄ると扉を閉める寸前でドアノブに手をかけ、こじ開ける。

「え……っ!?」

 少年に驚く暇も与えることなく、声を上げようとする口を抑えつけて押し入ると予め指紋がつかないように手袋をはめた片手を後ろに回せば扉を静かに閉め、ガチャリと鍵をかける。
 ここまでは順調。後は目的を果たすだけ。
 この計画的な犯行へと至ったこの男は以前からこの家に住まう少年ナツキを犯したいという強い願望があった。
 予め入念に下調べは済ませている。両親は共働き、実の姉は独り立ちして家にいない。
 制限時間はたったの二時間ほどしかないが犯すには充分、絶好のチャンスだった。見知らぬ男が家に入ってきて強い危機感を覚え、怯えるナツキに目の前に目が隠れるほど深く被った帽子から覗く鋭い瞳を向けるとビクンッと大きく肩が跳ね上がった。
 怖いのだろう。怖い、と思われる方が此方としては好都合だ。
 顔を見られないように輪郭を隠す為につけている黒いマスグ越しにくぐもった声を出して、脅す。

「……酷い事されたくなかったら大人しく部屋に案内しろ。分かったか?」
「ひっ……!! わ、分かりました……っ」

 肩に掛ける持ち運びに便利なやや小ぶりなスポーツバッグから携帯用のサバイバルナイフを取り出すとナツキにチラつかせる。
 殺すつもりは微塵たりともないが此方が優位であるという事を誇示する為に、これで強い危機感を抱かせると予想通り、ナツキは再びビクッと身体を震わせたあと、男を自分の部屋へと案内した。
 ここまで想定通り、なんんら狂いもなく進んている。サバイバルナイフを折り畳んでポケットにしまえば男は痕跡を残さないように靴を脱いで袋に入れてから鞄にしまい、家に上がる。
 この日のために買った新品の靴下で部屋に向かうとナツキの部屋らしい、男の子のおもちゃや大人しい木目調の棚、戦隊物のマットが敷かれた勉強机や衣装をしまうタンスなどがあった。

「へぇ、ナツキらしい子供っぽい部屋だな」
「……っ」

 思った事を口にしたがナツキは怖かったのか、縮こまったままで黙り込んでいた。
 返事がないのは予想していたがここまで効果覿面かと思えばそんな小さく怯えるナツキを試すべく、ベッドを探し、窓側に男の子が使う事を想定しているであろうポップな宇宙柄がプリントされたベッドを見つける。
 ちょうどナツキは中学生になったばかりだ。それにしては幼稚すぎるベッドを見ながら男は上布団を剥ぐとナツキを手招く。
 手招かれるとナツキはほんのわずか、行くべきかどうか迷っている様子を見せたが決して男が優しそうに見えない事、このまま待たせたら殺されるかもしれないと思えばナツキはおそるおそる、ゆっくりと近寄ってきた。
 ベッドに腰掛ける男の前に立つと、男はナツキの着ている白いTシャツに手を掛けると裾の方からたくし上げ、裾を持たせて胸元まで露わにさせるとマシュマロのように柔らかく弾力のある平らな胸を撫でる。
 大人とは違い、柔らかい肌は肌触りがよく、いつまでも触っていたくなる。しかし二時間あまりしか時間がない事を思い出せばなだらかな胸の頂きにある小さな突起に指先を伸ばせばキュッと摘みあげる。

「ん…っ!」

 ほんのりと薄紅色に染まる小さな突起───即ち乳首を摘みあげられては変な感覚がし、ナツキは身動ぐと「や、やめてください……っ」とか細い声を漏らしながら手を退かそうと腕を動かす。
 だが、裾を掴んだ状態で阻止しようとするなんて不可能な事で露わになっている両方の乳首を摘ままれてはビクッと腰が跳ねた。

「なんだ、感じているのか?」
「か、感じて……っ?」

 感じているか、と聞かれてもどういう意味なのか分からない。
 気持ちいい、というどういう基準なのか分からず、ナツキは困った顔を見せていると男は微笑みながらコリコリと摘まみ、こねくり回す。
 この小さく、さくらんぼのように瑞々しく実った乳首を見ているとしゃぶりつきたくなる────が、顔を見られては覚えられる可能性はある。

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