苗床の魔女

Ruon

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苗床の魔女

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 それはある日突然、枯れ果てた地面から突如として水が噴き出したように。
 
 魔物が何も無いところから出現してから"外の世界"には魔物が我が物顔で跋扈するようになった。
 元々平穏でぬくぬくと育ってきた人間は突如として現れた魔物に対抗する術もなく、嬲り殺され、虐げられ、生命を踏み躙られた。
 
 魔物達は可能な限りの虐殺を人間に繰り返し行い、己らは世界を制する者なりと示した。
 抵抗すら出来ない人々は閉鎖都市と呼ばれる、魔物では到底よじ登れない防壁に囲まれた"内の世界"を作りあげ、そこで身を寄せ合って暮らすしかなかった。
 
 そんな形で"外の世界"と"内の世界"に隔てられた世界。
 美しかった快晴だった青空は腐った空気で淀み、太陽が見えなくなった。
 元気よく生い茂る広大な森は腐臭を放つ森と成り果て、常に霧がかかっていた。
 遠くからでも拝めた絶景の滝はもはや黒き汚水が流れる滝と成り果てていた。
 
 世界は死んだ。魔物の手に落ちた事により。
 それに気付いた人々は外に帰る事を諦めて"内の世界"で生きる事に専念した。
 見ていたあの世界はもはや、まやかしの中に消えていった幻の世界だったのだと思う事で、人々は納得するしかなかった。
 
 それから人々は蓋をされた世界で生きてきたが時折、外の世界に向かって物を捨てる人がいた。
 当時、特殊な魔法で外へと物を転送する物があった。
 外の世界はもはやゴミ箱同然。要らなくなった物は外へなんでも捨てられる。
 
 その中に赤子のひとつやふたつ、混じっていてもおかしくなかった。
 そんな状況が続いた数十年後、ある西の方角に広がる森に住まう豚のような姿をした醜いオーク族が人々が住まう閉鎖都市の外側を見ているとまだへその緒がついた元気な赤子がいた。
 
 知恵のあるオーク族はそれを持ち帰った。
 最初はどうするか迷った。しかし人の子はオーク族と違って魔法も扱え知能も高い。扱いさえ間違えなければなにかに使える可能性も高い。
 そう考えたオーク族はその赤子を大切に育てた、なにかに使えると信じて。
 
 
 
 
 西の森に流れ込む淀んだ空気。
 荒れ果てたその森はもはや人が足を踏み入れるような場所ではなく、木々や植物が鬱蒼と生い茂り、足を踏み入れると簡単に足元をすくわれ転がってしまいそうな場所だ。
 散策するなんて到底出来そうにもなく、少し歩けば植物系の魔物が蔓延っていて転んでいる間に捕まり、捕食にされてしまうだろう。
 だというのにそんな森の奥地に随分と前に放棄された図書館がある。
 いまだ破壊された痕跡もなく、当時の姿を残した貴重な建物はかつて此処には人が住んでいたのだと認識させられる。
 当然、知性を持たぬ魔物が図書館に巣食うはずもなく、もはや放棄されて久しい空き家には一人の少女が住んでいた。
 
 数年前、内の世界に閉じこもっていた人間の一人が孕んだ子供を外に捨てた。
 当然、生きる術を知らない赤子は衰弱死するかと思われたが近くを徘徊していたオーク族に捕まり、森に連れ帰られた。
 何かの有事に備えて大切に育てられた赤子の性別は女の子だった。
 性別やおおよその年齢が分かった事からオーク族を束ねる長はこの赤子を魔物として育てる事にした。
 そんな人間の子供が図書館に住まわされたのはつい最近の事で人の真似事を仕込まれ、それを模範するように生活し始めた。
 
 最初、図書館には古い本しかなく生活するにも不便な場所だったがオーク族の群れの中でも下っ端の者に連れられて人が捨てた物を拾いに行ったりと必要な物を共に探したおかけでそれとなく生活はできるようになった、
 朝昼晩、森に生息する植物系の魔物の触手を切ったのをかじって過ごし、水は森から離れたところにある川辺で汲んできている。
 それとなく、人らしい生活ができるようになった少女は今日も人らしい生活をする為に本を読んでいた。
 
 
 
 
 
「アーシャ、機嫌はいかがダ?」
 
 古びた扉を何度かノックして図書館に入ってきたのはオーク族の長だ。
 この森には知性を持たない魔物が多いが、その中でも人間には及ばないが微々たる知性を持つのがオーク族。
 オーク族の中でも時折、内の世界から出てきた人間を捉えて人間の生き様や習性を見て人とは何たるかを学んだ知性ある者がいた、それが現オーク族をまとめる長だ。
 アーシャと呼ばれた少女を拾い育てたのもその長だ。
 
「お父様、上々です」
 
 漆黒を彷彿させる黒の修道服で見に包んだアーシャは深々と長にお辞儀した。
 頭を下げた事により、銀糸の髪がふわりと揺れほのかに甘い顔が鼻についた。
 その顔は幼さ残るあどけない顔でありながらまるで全てを知っているかのような、無気力にも等しい顔を見せていた。
 
 そんな少女を前に、長は近寄り下腹部に人よりも一回り以上大きな手を押し当てる。
 
「……ふむ、初潮ハ?」
「いえ…全然…」
 
 ググッと下腹部を押した手はアーシャの返答を聞けば残念がるように離れた。
 長にとってアーシャを保護し、育てたのは有事に備えてという名目だが全ては子孫繁栄の為。
 オーク族は雄の個体しかいない為、外部から繁殖能力を有する雌を引き込むしかないが魔物同士では異形が生まれる。
 しかし、かつて他の魔物が外にうっかり出た人間の雌を捕まえ、苗床としたところ、立派な子孫が生まれたのを知った長は運良く拾った無知なアーシャを苗床にするべく、育てていた。
 
「では、アーシャ。初潮がアッタラ里に来ルようニ」
「はい、長様」
 
 図書館を出ていった長を見送ったアーシャは午後の茶菓子としてラフレシアという魔物のツルを用意して軋む机の上に置くと用意していた本を手に取り、読み始めた。
 
 女性の人体に関する本。
 十歳になって間もないアーシャには字を読むのはなかなか難しいものだったが挿入されている挿絵を見ながらアーシャはほんの少し、考えた。
 いずれ自分もオーク族の妻になるのだろう。そうしたら、このような知識はいらなくなってしまうのだろうが今のうちに身につけておいて損はない、と。
 
 (これを、こうして……)
 
 服の裾をたくし上げ、切れっ端で作られた下着を露わにするとそれを膝小僧の上までずり下ろし姿を見せた小さな割れ目に手を伸ばす。
 まだ小さな陰核に指を這わせてもなんとも言えない小さな刺激を感じるだけで快楽には直結しない。
 
「……これって、気持ちいい事、なのかな……」
 
 暫く擦っても何ともない事にアーシャはすぐに飽きてしまった。
 下着を履き直し、汚れた手を拭き直すと本を読み直し始めた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 それから暫く茶菓子を手に本を読み漁っていると下腹部にチクチクとした淡い痛みが走った。
 
 いつものように図書館内に併設されたトイレに駆け込むと下着にほんの少し、薄らと赤いシミが出来ているのに気付いたアーシャは本で読んでいた初潮だとすぐに分かった。
 
「初潮だ!早く長様に伝えないと!」
 
 そう言って大喜びしているのもほんの一瞬。急いで用意をすればアーシャは家を飛び出した。
 
 自分を拾って育ててくれた長に恩返しができる。
 ただ役に立てる事が嬉しくて早く見せたいと思い、走っていく。
 慣れた道のりを駆け足で走り、森の奥へ、奥へと向かっていると目の前が少しずつ靄のような霧に満ちていっているよにアーシャは気付いた。
 しかし、足を止めてはならない。森で足を止めたら他の魔物に捕まってしまう。
 急いで森を駆け抜けようと走り続けるが行き慣れたはずのオーク族の里に一向に辿り着かない。 
 
「あれ……この道じゃ……」
 
 いくら走っても走っても辿り着かない。
 行き慣れたはずの道がとても遠く感じ始めた頃、アーシャはついに息を切らし足元がもつれ始めた。
 そうこうしているうちに地面を這うツタに足を取られアーシャは大きく転んでしまう。
 
「いたッ!?な、なんでこんなにツタが……」
 
 足の踏み場がないほど、地面はツタで埋め尽くされ蠢いているのを見たアーシャは恐ろしい気持ちになった。
 早く長様に会いたい、こんな怖い森で一人で暮らしたくない───。
 本来なら森の奥にあるオーク族の里で暮らしていたのに人である事から隔離されたアーシャは何度も自分は魔物だと長に話して里に帰るよう頼み込んでいた。
 しかし、子供を孕める初潮を迎えるその日までは里に迎え入れる事はできないと拒まれていたアーシャはただ我慢していた。
 
 己が苗床になるべく、育てられてきた事なんて全く知らないアーシャは初潮を迎えれば里で暮らしても構わないという教えだけを信じて図書館で暮らしてきた。
 だから何があっても、里に向かおう。
 そう思ったアーシャが早く立ち上がろうとすると視界がぐらり、と大きく歪んだ。
 一体なんだ、と考える暇もないうちにアーシャの小さな身体が宙を舞った。
 
「────そんな…」
 
 驚きを隠せず、声を詰まらせたあとアーシャはそう呟いて目の前に現れた異形の何かに呑み込まれた。
 
 
 
 
 いったいここが何処なのか、分からない。
 以前、長様は獲物を見つけたら食らう植物系魔物がいると教えてくれた事があった。
 その魔物は嫌な臭いが苦手で外を出歩く時は必ず、嫌な臭いを纏うべきと何度も教えられたのを今思い出してしまった。
 ギュゥッと身体が痛いぐらい、強く締め付けられたアーシャは真っ赤な肉壁に爪を立てて身をよじった。
 
 (ここ、どこなの……?早く行かないといけないのに……っ)
 
 ただそれだけを考えて這うように身体を動かしていると身体中を這う、生温い何かがねっとりと粘液らしきものを滴らせてアーシャの秘所へと忍び寄ってきた。
 逃げようと身動ぎをしてもそう簡単にアーシャは逃げれなかった。肢体は何かに拘束されているようで動けず、息苦しさすら感じる。
 
 ───ああ、捕食された。
 
 それに気付いたアーシャは自分が植物系の魔物に丸呑みされたのだと理解すると悲壮な顔を見せた。
 逃げたくても呑まれたが最後、逃げれることなく骨の髄までしゃぶり尽くされる。
 殺されるんだと悟ったアーシャは必死に逃げようとするが魔法が打てるわけでも、超能力があるわけでもない少女はただ触手にされるがまま、触れられていく。
 
「や、ぁ…っそこは…っ…!」
 
 秘所に入るべく、下着の中に入ってきた触手は割れ目に沿って動き、陰核の下にある蜜壷に辿り着くと粘液を念入りに塗り込んでから中へと入っていく。
 
「ひぁ…ッ!?ふ、といっ、太い太いッ!!裂けちゃうぅ!!」
 
 先端こそ細い触手は奥に向かうにつれて太くなっていき簡単に小さな蜜壷の入口は拡げられていく。
 痛みがするはずだというのに粘液のせいなのか、定かではないが痛みを感じないアーシャは怖くなり「やめて!!」と必死に叫ぶ。
 しかし、相手は魔物。言葉を理解するわけでもなく止めることもなくアーシャの中に身勝手に侵入していく。
 うねりながらあっという間に奥にある小さな穴の入口に辿り着くと先端でコツコツとノックした後、無遠慮に突き入っていく。
 
「ひぎ…ッ!?しょ、しょちょーッ初潮迎えたばっかりだからぁっ!!」
 
 どうやらアーシャの言葉通り、初潮を迎えたばかりの雌を狙っているのか中が初々しい物だと判断した触手はずるりと中から引き抜いたかと思いきや、滴る粘液でジュワッとアーシャの衣服や下着を溶かした後、先端に小さな穴が着いた触手が再び蜜壷の中に入っていく。
 
「ぁ、ぁっまたっ、はいってぇ…!!」
 
 グチュッ、グチュッと卑猥な水音を立てながら侵入する触手はアーシャの奥にある袋の中に再び侵入するのが目的のようで遠慮なく突き進む。
 せめて、入られたくないと必死に中を締めたアーシャ。しかし、努力も虚しく押し潰すように無理矢理、穴を拡げ奥に再び侵入されれば得体の知れない液体と何かが流し込まれ始めた。
 
「ひぐッ、なッなにっ!?ぁっあ"ッ!?おなかっ、くるしぃ!!」
 
 粘り気のある水のような何か、そして確かに硬さのある何か。
 それが幾つも腹の奥に流し込まれてはアーシャは苦しそうに息を切らし始めた。「やめて」と必死に叫び、恐怖に怯えているとそんな口うるさいアーシャを抑え込むべく口に触手をねじ込まれては更に息苦しさに暴れる。
 
「う、ぶっぐ…!!ぅ、ぐ…!!」
 
 苦しい、気持ちよくなんてない。早く解放して───。
 そう願うしかないアーシャだったが口からも何かを流し込まれ始めると腹部と下腹部に異様な異物感が溜め込まれていく。
 溜めに溜め込まれ、異様なまでに膨らんだ腹部にアーシャは絶望感しか抱かない。
 腹部が膨らむとはどういう事なのか、いくら幼いアーシャでも本を読んでいたせいで嫌でも分かってしまう。
 
 口から引き抜かれ、奥をグリグリと押し上げる触手を見下ろしながらアーシャは必死に訴えかける。
 
「しょ、触手の赤ちゃんなんてっ、いらないからぁっ…!!」
 
 そう言って聞いてくれるわけがなく、執拗に奥を突き上げた後、気が済んだように引き抜かれた触手はアーシャの陰核や膨らんですらいない乳房の先端を触れて産まれる兆しを待っていた。
 
「ひ、ぐ…ぁ、あ…ッ、や、ば……で、るっ、でるぅぅうう…!!」
 
 産みたくないという意志とは裏腹に滴る蜜、そして蜜壷の中で収縮が始まり奥から孵化した触手の子がズルズルと下り始めた。
 必死に抵抗するも止めれるわけがなく、勝手に産まれ落ちる現実にただアーシャは悲しみを覚える。
 息を止めて我慢しよう────とするとアーシャの陰核に触手がまとわりつき、粘液を垂らし媚薬漬けにすると感じざるを得なくなれば中の収縮が強まり、より子供が産まれやすくなっていく。
 
「んぁ、あっ、らめっそこぉっ、あー、しゃ、のっそこらめぇ…!!」
 
 必要以上に擦られ、我慢すら全く出来なくなっているアーシャはダメと言いながら陰核を擦りあげられる快感にたまらず初めての絶頂を迎えた。
 すると中が強く収縮され、より触手が出やすくなると我慢する余裕すらないまま、アーシャは全ての触手を吐き出した。
 
 優れた苗床を見つけたと判断した触手はアーシャの陰核を刺激しながら再び蜜壷の中に触手を何本も突き立て通し、再び卵を流し込んでいく。
 
「いやぁっ!!あーしゃっ、うみたくないよぉ…!!」
 
 身を拘束されたままのアーシャは触手にされるがまま。
 乳房をまさぐられ、出ないはずの母乳を求める子の為に触手が先端に噛みつき、粘液を流し込んで出るようにすれば子供達は奪い合うようにアーシャの胸に吸い付いた。
 その間も卵を流し込まれ、二度目の産卵へとアーシャは導かれていく。
 産みたくないと必死に拒んでも身体はすっかり覚えこんでしまったようで再び孕み、アーシャの意志とは無関係に腹の中で卵を育てていった。
 
 何回目の出産かもはや数え切れなくなった頃、触手は趣向を変えるようにアーシャの蜜壷を押し広げた。
 
「な、なに……ッもう、許して……ッ」
 
 拡げられた蜜壷に大量の触手が入ってきた。
 そして奥にある小さな穴を掴んだ触手はグッと力強く引っ張り始めた。
 
「ひぎぃッ?!無理ッ無理ぃぃぃぃぃッ!!」
 
 ブチブチッと音を立てて引き抜かれ始めた子種を孕む為の袋。それが下りてくる感覚がすればアーシャは絶叫した。
 ズボッと体外に引きずり出されたソレを見てアーシャは涙を流した。こんなのでは長様に顔向けできない。
 そんな事を思う暇すら与えられず、より沢山の卵を植え付けられるようになったアーシャの穴により太い触手が突き立てられた。
 それを見てアーシャはまだまだ絶望が続くのだと泣き叫んだ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 アーシャが触手に捕まり、苗床になってから数日が経った。
 オーク族の長がアーシャの元へ訪問するべく、図書館に訪れるともぬけの殻である事に驚き、総動員でくまなく探索した。
 真実に気付いて逃げたのではないか、あるいは散歩に出かけて他の魔物に捕まったのではないか。
 ありとあらゆる事を考えて探すと異様に肥大化した植物を見つかった。
 本来ならそこまで肥大化するはずがない。何らかの理由で苗床を得たのだと結論付けた長は仲間たちと協力して栄養分を断ち、その膨みをかち割ると中から孕んだアーシャが発見された。
 もう何十回と出産を経験したアーシャ。
 すぐに保護されたがもはや手遅れで触手の愛撫と出産の快楽、そして薬に漬けられたアーシャはすっかり苗床に適した身体になっていた。
 
 しかし、オーク族も所詮アーシャを苗床としての道具として認識していなかった。
 家族同然としていた者は一人としておらず、苗床として出来上がっている事を都合よく思った長一行は直ちに里に連れ帰りその身を綺麗に清めた後、すぐに儀式が執り行われた。
 
「アーシャよ、目覚めよアーシャよ」
「………こ、こは……」
 
 司祭の声が響き渡り始めた頃にアーシャは目を覚ました。
 少し離れたところで大きな炎が燃え上がり、オーク達がアーシャを囲っている事がわかった。
 炎が燃え上がる焚き火で祈祷する長に目を向けると触手とは比べ物にならないほど、太く逞しい男根を出しているのに気付けばアーシャは目を見張った。
 
「い、いや…っ、もういやぁ…!!」
 
 散々触手に弄ばれたアーシャは拒んだ。例え育ててくれた長やオーク族の人達であったとしても、もう孕みたくなかった。
 しかしオーク達はアーシャを保護し、育ててきたのは全てこの日の為。
 繁殖手段を持たないオーク達にとってアーシャは唯一の苗床なのだ。
 
 長は清めの聖水を手にオーク達に抑え込まれ、怯えるアーシャに近寄ると広げられた足の間に立ち、開いた割れ目にそっと聖水を垂らした。
 
「───ひぎぃッ?!むりっ、むりぃいッ!!」
 
 ポタポタと滴り落ちた水滴は冷たいわりに焼けるような激痛をアーシャに与えた。小さな身体は猛烈な痛みに悶え痙攣し始めた。
 痛みから逃げようと腰を動かせばそれに気付いた周りのオークが抑え込み、より聖水を流し込めやすいように蜜壷を押し広げ水滴を直接中へと流し込む。
 
「アーシャよ、穢れを祓イ生まれ変わルのダ!!」
「あ"ぁぁぁぁあ"あッ!?!?!?」
 
 長は傾けていた古びた瓶の口をそのままアーシャの剥き出しになった子袋へと突っ込んだ。
 一気に劇薬が体内になだれ込んできたアーシャは耐え切れず悲鳴をあげて必死に逃げようとするが更に抑え込まれ、瓶の中身を全て飲み干すまで激痛に耐えさせられた。
 
 それで終わりかと思えば瓶を引き抜かれた後、解放されたアーシャに対しオーク達は長の命令を聞いてか触手の卵で膨らんだその腹を踏み始めた。
 
「ひぎぃいいッ!?ぐ、るひぃっ、ぐるじぃぃいいい"ッ!!!!」
 
 アーシャの悲鳴が里に響き渡る。
 オーク達が面白半分でアーシャの腹を踏んだり蹴ったりしていれば聖水の影響で卵は死滅したようで吐き出すかのように膨らんだ子袋から聖水と共に噴き出される。
 腹がヘコむまで延々とアーシャは虐げられる。
「おめェは汚ェ!!」とかつて優しく接してくれたオーク達に蹴られてはアーシャは必死に抵抗する。
 腹を踏むオークの足を掴んで退けようとすれば細い腕は弾くように蹴られ、二人がかりでのしかかられる。
 思わず嗚咽し、吐いていれば一人のオークに髪を掴まれて面白半分で引きずり回される。
 
「や、めてっ、やめてぇ…!!」
 
 痛みに顔が歪んでいく。
 どうして自分がこんな事をされなければならないのか。彼らに拾われたからなのか、育てられたからなのか。
 いっそう触手に呑まれて息絶えた方がマシだった────今ならそう思ってしまうアーシャは必死にこの地獄を耐えるしかなかった。
 
 
「静粛ニ。これより儀式ヲ行ウ」
 
 長の声が響いた時、オーク達はアーシャを虐げるのを止めた。
 ボロ雑巾のように汚れた身体に冷水をかけ、泥を落とせば長が獣の血で描かれた魔法陣の上にアーシャを転がした。
 
「う…っ、な、に…するの…?」
「今からアーシャハ、生マレ変わリ我らガオークの苗床ニなるのダ」
 
 そう言った長は肉棒に掛けれていた装飾を外した。
 男性器にしては酷く醜く、人間とは遥かに比べ物にならないほど大きくて長い一物をアーシャの股に擦り付けた。
 
「い、いや…っ、なえ、どこ…なりたくない……ッ」
 
 嫌なのに、怖いはずなのに身体が動けない。
 どうしてかと目だけで周りを見れる範囲で見渡せばオーク達が何やら怪しげな呪文を唱えた途端、魔法陣は赤黒く光り、アーシャの身体に煙がまとわりついていた。
 視界に靄がかかるように霞んでいく。
 術が強まれば強まるほど聖水を流し込まれ傷んだはずの奥が求めるように身体が熱く火照り疼いていく。
 まるで自分じゃないみたい───。
 
 
「ほぅら、アーシャ。アーシャの好キナモノが入ッタゾ」
「ぁ…す、きな…っん…ぁ…あッ」
 
 長の肉棒が引きずり出された子種を孕む袋の中に入ってくるとアーシャの恐怖に満ちた表情は恍惚とした表情に変化していく。
 外に出されたソレを中に突き戻すように腰を打ち付け、蜜壷の肉壁を擦り上げながら入っていく肉棒は容易に奥へと辿り着き緩まった口を再びこじ開け、中へと侵入すると少女にとって子ができる巣を乱暴に荒らし始めた。
 
「ひ、ぁっあ奥にっ、奥に響いてるぅうッ!!」
「おぉ、この締まりハ…!!」
 
 先程まで焼け爛れ締めつけすら感じなかった中は魔法陣の術のおかげか、凄まじい勢いで治癒能力を高め、締めつけを直ぐに取り戻し精を求めるようにキツく吸い付き始めた。
 それに長もご満悦なようで腰を激しく揺らしていけば搾り取られるのを必死に堪え、よりアーシャを苗床になるべき身体へと導いていく。
 
「あ、ぁッお、なかっ、お腹うず、いてるぅ…ッ、熱いのぉ…ッ!!」
 
 そうアーシャが言い始めた頃に下腹部に薄らと淫紋が現れ始めた。
 完全なる苗床に仕立て上げる為、その最後の一瞬まで抜かりなく長は腰を打ち続け、小さな少女の蜜壷から奥を激しく蹂躙し続ける。
 しかし、淫紋がなかなか定着しない事から苛立った長はオーク達により術を強化させ、アーシャの熟れた陰核を強くつまみ上げる。
 
「ひぁぁあああッ!?!?!?ら、らめぇっ、そこはぁ!!!」
 
 アーシャが甲高い嬌声を上げた瞬間、術は強まり魔法陣の輝きもより強まると淫紋は凄まじい勢いで定着し始めた。
 わずか数十秒で薄らだった淫紋もハッキリと下腹部に刻み込まれていった。
 
「フム、ならば仕上げダ。アーシャよ、肉体ヲ捨テ、我ラガ苗床になるのダ…!!」
「ひぁぁぁぁぁぁあああッ!!」
 
 長は陰核を摘んだまま、アーシャの奥を乱暴に突き上げれは最奥にドロッと濃厚な子種を注ぎ込んでいく。
 何年も溜め込まれたその子種を確実に孕ませる為に何度も奥を打ちつけ、余すことなくアーシャの中に染み込ませていけば長は肉棒を勢いよく引き抜いた。
 その際、肉壁の雁首が締まった口に引っかかり簡単に抜かなかったせいで子袋ごと、再び体外へと引きずり出した事により、オークの子種を孕んだ袋が姿を現した。
 
「ほほォ、流石ハ苗床……。この苗床が完成スルまで例ノ壺ニ…」
 
 生々しく体外に出された袋を手に取って子種が注ぎ込まれているのを確認した司祭は里の奥にある、かつて苗床を作るべく建てられた小屋に運ぶようにオーク達に伝えた。
 気を失っているアーシャは抱えられ運ばれた。運ばれた先にあるのは一つだけ大きな壺が置かれた古びた小屋だ。
 壺の中身は見慣れない触手が蠢いており、アーシャを落とせば重たい蓋で閉じ、長の命令が下るその時までアーシャを触手と薬で漬けた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 触手の海に放り込まれたアーシャ。
 目を覚ました当初は逃げようとしたが淫紋が魔法陣の術式と共に身体に刻み込まれたせいなのか、触れられるだけで酷く気持ちよく子袋を丁寧に扱かれながら体内に突き戻されるとアーシャは凄まじい絶頂を迎えてしまい、すぐに出る事を諦めた。
 触手の目的は胎内での子の生成を早めさせ、出産までの時間を縮める事。ゆえにアーシャの身体を徹底して管理するよう責め立て、より孕み産みやすい身体へと変えていく。
 そうして触手に犯されながら長の子を孕んだアーシャは十日後に壺から引き出され、出産を迎えた。
 
「は、ぁ…っもっと…産みたい…もっと気持ちよくして…っ」
 
 そしてすっかり出産という快楽にハマったアーシャは再び長やオーク達に犯され、子を孕むと壺の中に入れられ子を育てていく。
 それを何ヶ月も、何年も、何十年もアーシャは繰り返していく。
 最初は知性ある子が産まれていく事にオーク達も喜んだ。しかし、ある日外に放り出されているアーシャを見た一人のオークは言った。
 
「何年もアイツは子供ノままダ」
 
 あの儀式の時にアーシャが刻まれた淫紋。
 誰もが、ただ苗床になる術を掛けただけと思っていた。
 しかし、それはアーシャの身体の成長を止め、何年も子供のまま孕み産み続ける呪いの術だと今になって気付かされたのだ。
 すっかり長の望む、まるで淫魔のような存在に変わってしまったアーシャはただ性を貪りオーク達の苗床として、生かされていた。
 それにオーク達は飽きを感じながら変わらぬ苗床に子孫繁栄の為だと言ってぞんざいに扱った。
 それは長も同様だった。もはや壺が要らなくなったアーシャは紐で繋がれ里の中でただの性の捌け口として吊るさせていた。
 子供は放っておいても適当に産み落とす。あれだけの強い魔力を持ったアーシャの子供、ちょっとやそっと見ていなかったからと死ぬはずがない。
 そんな事から長やオーク達は今日もアーシャを使い捨ての性の捌け口として扱い、ろくな飯を与えずに見世物として吊るし続けた。
 
 
 
 
 
 
 
 それから何十年も先の、後の話。
 
 内の世界に閉じこもっていた人間達に勇者が生まれた。
 それはとても勇ましい少女で外の世界を臆することなく、自らの足で飛び出した少女だ。
 
 外に飛び立ち世界を旅する最中にたまたま立ち寄った西の森で聞いた、動物達が噂していた話。
『森の奥にはオークの苗床がいるらしい』
 
 まるで人のような言い方をされるソレに興味を示した勇者はオークを一掃し、苗床を確認しに行った。
 里の奥にある小屋で、大きな壺の前で多くの子供を抱えた淫魔のような愛くるしく雌の顔を見せる少女に出会った。
 人である事には間違いないらしい。
 
「なぁアンタさ、何してんのここで?」
 
 そう問いかけると少女は項垂れて無言だった。
 
「外のオーク共、皆殺しちゃったけどここで生きるの?死ぬの?」
 
 そうすかさず問いかけると少女は少し間を開けてから答えた。
 
「……分からない」
 
 意思疎通ができるようだ、それに気付いた勇者は腕に抱える赤子を払えば手を差し出した。
 
「生きたいのならこの手を取れ。アタシは勇者だからアンタを助けれる。こんなとこで一生苗床とか嫌でしょ?外見たくない?」
 
 苗床としての生き方しか忘れた少女はどうしていいか分からず困っていた。
 しかし、ここで生きていくのももはや限界で、生き方を忘れてしまった少女は差し出された手を取って立ち上がった。
 
「……」
「なんも言わないけど手取ったって事は同意ってことだよね?じゃ、今日から一緒に旅するってことで!」
 
 幼い身体には酷く傷がついていた。子供を産む為の道具であり彼らの道具として扱われた傷。
 深くは問いかけなかったが子供を捨てて里を共に出てきた少女はたったひとつだけお願いをしてきた。
 
「里を消して」
 
 もう帰りたくない、憎い思い出でもあるのだろうか。
 勇者はそれを「あいよ」と手短く返せば里に火を放って燃やした。
 もくもくと上がる黒い煙。それを見てから「ここから北に川辺があるんだ、そこで休もうぜ」と言って案内した。
 
 それはまるで知っているかのように、少女は横を並んで歩くと北へと北上してみずみずしい川の横で休んだ。



end
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