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第一章〜異世界転移と雑貨屋開店〜
右手に宿る炎
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…ここは何処だ?
暗闇の中を漂う感覚。まるで湯船に浸かっているかのような暖かさを全身に感じる。
この暖かさは体内巡るマナか?それがゆっくりと右腕に集まっていく。
全てのマナが集まると右腕は徐々に紅く染まり熱を帯びていく。その熱は更に高まり眩い閃光を放ち出す。熱い…全身が焼けるように熱い…
「ぐっ…ハァッハァッハァッ…ここは?」
目を開けると目から涙を流す後輩の姿が見える。
「良かった…死んだんじゃ無いかと思ったじゃ無いですか!心配したんですからね!」
うぐっ…く…苦しい…抱きつきのは嫌じゃ無いが加減してくれ
意識は戻ったが体があちこち痛い
「あっ!すいません!」
「痛ってー!突き飛ばすな!今後頭部打ったぞ!」
「元気そうで良かったです店長。結構心配したんですよ」
冗談っぽく言ってはいるがマギも心配してくれたようだ。申し訳ない。
あ!そういえばエルダートレントはどうした?うっかり燃やしちまったけど素材はドロップしたのか?
エルダートレントがいた跡には美しく艶のある木材が横たわっていた。持ち上げるとものすごく軽いのにかかわらず密度が高いように感じる。
あ…
俺の右手は傷は無いものの火傷の痕が燃える炎のように描かれていた。
ゆっくりと指から肘、肩にかけての関節の動きを確認する。
見た目以外の変化はなさそうだ。意識を失っている間に見た夢のように右腕にマナを少し込めてみると紅く輝き出す。徐々に込めるマナを増やしていくと右腕が炎に包まれる。しかし全く熱さは感じない。
「これは…破壊された魔法石のかけらが右腕に埋まったままポーションで治療したせいで肉体に吸収された?大丈夫なんですか?」
俺自身は特に問題はない。右手に炎を宿すなんて何処の厨二病だよ。これで片方の眼に何か特別な力が宿ったりしたら厨二病患者確定だな…
「あ…あ…セ…センパイ…う、うしろ…」
泉は震える手で俺の背後を指差す。振り返るとそこには人の数倍はある黒い蜘蛛が木の幹に張り付いていた。
アレがアラクネーか?アラクネーって上半身が人型で下半身が蜘蛛じゃなかったっけ?アレじゃ単なるデカい蜘蛛じゃん!怖ぇよ!
「センパイ…一応言っておきますがアラクネーはもともと織物の才能がある女性で、調子に乗って女神様に織物勝負を挑んで神の怒りをかって蜘蛛の姿にされたんですよ。私虫は苦手なんであとよろしくお願いしますー。」
脱兎の如く走り去る泉。
「あれ?足に何か糸が…きゃぁぁあ!」
そのまま上に引っ張り上げられ宙吊りになる泉。その隣にはいつの間にか宙吊りにされていた瓶底眼鏡の魔法使いがいた。
静かだと思っていたらそんなとこにいたのか…
「ちょっとー!またですかー!これじゃ前回と一緒じゃないですかー!」
すぐに2人の元に駆けつけようとすると何かに左腕が引っ張られる。目を向けると左腕にアラクネーの糸がついている。右手で掴み引きちぎろうとするもびくともしない。
咄嗟に右腕にマナを集中させ真紅の炎を纏わせると簡単に糸が切れる。
どうやらこの炎は自身以外への効果はあるらしい。
「キィィキィイ!」
俺の右手に宿る炎を見て警戒しているのか威嚇しながら距離を取るアラクネー。俺の炎じゃ遠距離攻撃は出来ない。マギが簀巻すまきにされている糸を焼き切り救出する。
「店長…ありがとうございます…私に任せてください」
マギは杖で体を支えながら立ち上がるも、体はふらついていて今にも倒れそうだ。俺は背後からマギの体を支え一緒に杖を握りアラクネーの方向に向ける。
マギは自身のマナを杖に送り込む。
それに共鳴してか俺の右腕が真っ赤に輝き杖から太陽の様な閃光を放つ炎の球が轟音をたてながら放たれる。
「キィィィァァァアッ!」
甲高い叫び声を上げながら爆散するアラクネー。凄まじい威力だ。
エルダートレントとの戦いでマギが放った炎の魔法の比じゃない。
激しく燃え塵ちりとなったアラクネーの跡には美しい半透明の糸が転がっていた。
「何なのあの魔法…あんな美しい炎は初めてです!まるで小型の太陽を再現したかのような圧倒的な威力!……店長」
なんだこっちをにらんで怖いぞ
マギは俺の体に飛びつき俺の背中に組み付いてきた。何だ何をする気だよ!
「帰ったら私の研究に付き合ってもらいます!これでまた魔道の頂きいただきに一歩近づくのですよ!」
ヤバい!なんか変なスイッチが入ってるぞコイツ!
助けて泉!
「ふーん。何か楽しそうですねセンパイ…」
全然楽しくねぇよ!
色々トラブルはあったが何とか必要な素材は集まった。
一旦店に帰ろう…俺は疲れたよ
店に帰ると問答無用でマギに半裸にさせられ俺の体を検査確認する。くすぐったいのであんまりペタペタ触らないで欲しいんだが…
「ちょっと動かないで下さい!ん~魔法石が完全に肉体と一体化してますね。切開しても取り出すのは不可能ですよこれ」
怖いこと言うなよ。摘出手術なんて恐ろしいことしたくないぞ。
「今のところ動きや体調に異常がないので様子見しますか?変にいじっても怖いですし。一応今後も定期的にチェックさせて下さいね」
えぇ…俺毎回マギの前で半裸にならないといけないの?
そんな趣味は無いんだが…
そんなやりとりをしていると泉が俺に歩み寄ってくる。
「センパイ!ちょっとお話しがあります!」
暗闇の中を漂う感覚。まるで湯船に浸かっているかのような暖かさを全身に感じる。
この暖かさは体内巡るマナか?それがゆっくりと右腕に集まっていく。
全てのマナが集まると右腕は徐々に紅く染まり熱を帯びていく。その熱は更に高まり眩い閃光を放ち出す。熱い…全身が焼けるように熱い…
「ぐっ…ハァッハァッハァッ…ここは?」
目を開けると目から涙を流す後輩の姿が見える。
「良かった…死んだんじゃ無いかと思ったじゃ無いですか!心配したんですからね!」
うぐっ…く…苦しい…抱きつきのは嫌じゃ無いが加減してくれ
意識は戻ったが体があちこち痛い
「あっ!すいません!」
「痛ってー!突き飛ばすな!今後頭部打ったぞ!」
「元気そうで良かったです店長。結構心配したんですよ」
冗談っぽく言ってはいるがマギも心配してくれたようだ。申し訳ない。
あ!そういえばエルダートレントはどうした?うっかり燃やしちまったけど素材はドロップしたのか?
エルダートレントがいた跡には美しく艶のある木材が横たわっていた。持ち上げるとものすごく軽いのにかかわらず密度が高いように感じる。
あ…
俺の右手は傷は無いものの火傷の痕が燃える炎のように描かれていた。
ゆっくりと指から肘、肩にかけての関節の動きを確認する。
見た目以外の変化はなさそうだ。意識を失っている間に見た夢のように右腕にマナを少し込めてみると紅く輝き出す。徐々に込めるマナを増やしていくと右腕が炎に包まれる。しかし全く熱さは感じない。
「これは…破壊された魔法石のかけらが右腕に埋まったままポーションで治療したせいで肉体に吸収された?大丈夫なんですか?」
俺自身は特に問題はない。右手に炎を宿すなんて何処の厨二病だよ。これで片方の眼に何か特別な力が宿ったりしたら厨二病患者確定だな…
「あ…あ…セ…センパイ…う、うしろ…」
泉は震える手で俺の背後を指差す。振り返るとそこには人の数倍はある黒い蜘蛛が木の幹に張り付いていた。
アレがアラクネーか?アラクネーって上半身が人型で下半身が蜘蛛じゃなかったっけ?アレじゃ単なるデカい蜘蛛じゃん!怖ぇよ!
「センパイ…一応言っておきますがアラクネーはもともと織物の才能がある女性で、調子に乗って女神様に織物勝負を挑んで神の怒りをかって蜘蛛の姿にされたんですよ。私虫は苦手なんであとよろしくお願いしますー。」
脱兎の如く走り去る泉。
「あれ?足に何か糸が…きゃぁぁあ!」
そのまま上に引っ張り上げられ宙吊りになる泉。その隣にはいつの間にか宙吊りにされていた瓶底眼鏡の魔法使いがいた。
静かだと思っていたらそんなとこにいたのか…
「ちょっとー!またですかー!これじゃ前回と一緒じゃないですかー!」
すぐに2人の元に駆けつけようとすると何かに左腕が引っ張られる。目を向けると左腕にアラクネーの糸がついている。右手で掴み引きちぎろうとするもびくともしない。
咄嗟に右腕にマナを集中させ真紅の炎を纏わせると簡単に糸が切れる。
どうやらこの炎は自身以外への効果はあるらしい。
「キィィキィイ!」
俺の右手に宿る炎を見て警戒しているのか威嚇しながら距離を取るアラクネー。俺の炎じゃ遠距離攻撃は出来ない。マギが簀巻すまきにされている糸を焼き切り救出する。
「店長…ありがとうございます…私に任せてください」
マギは杖で体を支えながら立ち上がるも、体はふらついていて今にも倒れそうだ。俺は背後からマギの体を支え一緒に杖を握りアラクネーの方向に向ける。
マギは自身のマナを杖に送り込む。
それに共鳴してか俺の右腕が真っ赤に輝き杖から太陽の様な閃光を放つ炎の球が轟音をたてながら放たれる。
「キィィィァァァアッ!」
甲高い叫び声を上げながら爆散するアラクネー。凄まじい威力だ。
エルダートレントとの戦いでマギが放った炎の魔法の比じゃない。
激しく燃え塵ちりとなったアラクネーの跡には美しい半透明の糸が転がっていた。
「何なのあの魔法…あんな美しい炎は初めてです!まるで小型の太陽を再現したかのような圧倒的な威力!……店長」
なんだこっちをにらんで怖いぞ
マギは俺の体に飛びつき俺の背中に組み付いてきた。何だ何をする気だよ!
「帰ったら私の研究に付き合ってもらいます!これでまた魔道の頂きいただきに一歩近づくのですよ!」
ヤバい!なんか変なスイッチが入ってるぞコイツ!
助けて泉!
「ふーん。何か楽しそうですねセンパイ…」
全然楽しくねぇよ!
色々トラブルはあったが何とか必要な素材は集まった。
一旦店に帰ろう…俺は疲れたよ
店に帰ると問答無用でマギに半裸にさせられ俺の体を検査確認する。くすぐったいのであんまりペタペタ触らないで欲しいんだが…
「ちょっと動かないで下さい!ん~魔法石が完全に肉体と一体化してますね。切開しても取り出すのは不可能ですよこれ」
怖いこと言うなよ。摘出手術なんて恐ろしいことしたくないぞ。
「今のところ動きや体調に異常がないので様子見しますか?変にいじっても怖いですし。一応今後も定期的にチェックさせて下さいね」
えぇ…俺毎回マギの前で半裸にならないといけないの?
そんな趣味は無いんだが…
そんなやりとりをしていると泉が俺に歩み寄ってくる。
「センパイ!ちょっとお話しがあります!」
応援ありがとうございます!
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