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第1章 陰キャの日常
【001】登校
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六月二日月曜日。携帯のアラームで目が覚めた。今日からまた退屈な学校に行かなくてはならない。かと言って、休日が退屈で無かったのかと言えば、そういうわけでも無い。そうだ、自分の人生自体が退屈なのは今に始まった事ではない。僕は友達がいた事も無ければ、家族以外の誰かと必要最低限以上のコミュニケーションを取ったこともない。何か特技があるわけでもなく、むしろ苦手なことの方が多い自分だ。しかし、自分で言うのもアレだが、僕は不思議な事にいじめを受けてはいない。なぜこんな僕がいじめられないのか。それはすごく簡単な事で、僕はいじめられすらしない存在と化しているからだ。僕はクラスの皆の名前を完璧に覚えているが、クラスの皆は僕の名前なんて適当にしか覚えていない。つまり僕は、恐らくどの学校にもいるであろう陰キャなのである。
朝食を済ませ、僕は学校に向かう。もちろん一人で。何を考えるわけでもなく、いつもの橋を渡り、いつもの角を曲がる。学校につくと熱血体育教師として名高い飯田教諭が校門に立っていた。生徒一人一人に名前を呼び挨拶をしている。もちろん、僕にだって挨拶をしてくるだろう。
『おはよう、下川!』
案の定、声を掛けられた。ごく普通の朝の挨拶と言えるが、飯田教諭は一つ重要な事を間違えている。それは、僕の名前だ。僕の名前は下川ではなく、下総だ。下総昇(しもうさのぼる)だ。しかし、間違いを指摘するわけでも無く、蚊の鳴くような小さな声で僕は返事をした。多分聞こえていない。
下駄箱で外履きから上履きに履き替える。この自分の背丈より高い下駄箱がこの学校の生徒の多さを物語っている。生徒が多ければ多いほど僕の陰キャ偏差値は上がっていく。大体僕の陰キャ偏差値は七十くらいだろうか。上位二.三%。全く嬉しく無い。この少子化社会に全校生徒数約千人、各学年十クラスを誇るこの県立南中学校においての僕の存在価値は無いに等しいだろう。
朝食を済ませ、僕は学校に向かう。もちろん一人で。何を考えるわけでもなく、いつもの橋を渡り、いつもの角を曲がる。学校につくと熱血体育教師として名高い飯田教諭が校門に立っていた。生徒一人一人に名前を呼び挨拶をしている。もちろん、僕にだって挨拶をしてくるだろう。
『おはよう、下川!』
案の定、声を掛けられた。ごく普通の朝の挨拶と言えるが、飯田教諭は一つ重要な事を間違えている。それは、僕の名前だ。僕の名前は下川ではなく、下総だ。下総昇(しもうさのぼる)だ。しかし、間違いを指摘するわけでも無く、蚊の鳴くような小さな声で僕は返事をした。多分聞こえていない。
下駄箱で外履きから上履きに履き替える。この自分の背丈より高い下駄箱がこの学校の生徒の多さを物語っている。生徒が多ければ多いほど僕の陰キャ偏差値は上がっていく。大体僕の陰キャ偏差値は七十くらいだろうか。上位二.三%。全く嬉しく無い。この少子化社会に全校生徒数約千人、各学年十クラスを誇るこの県立南中学校においての僕の存在価値は無いに等しいだろう。
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