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俺は迷惑なΩ
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この世界は男女の他にそれぞれにα、β、Ωと6種類の性が存在していた。
αは全てにおいて他性よりもずば抜けて優秀で、人類の頂点に立ち、全てを導き守る者だった。
αは頂点に立つ者として常に緊張状態であったし色々な事を一人で抱え込む癖があり、誰にも相談できず孤独になりがちでいつも癒しを求めていた。
βは人口の大半を占めるが全てにおいて平均的。可もなく不可もなく。
βは能天気な人間が多く、αに任せておけばオールオッケーそう考える者が殆どだった。
それと合わせてβは自分たちには大したことなんてできないけれど、せめてαの大事な癒しであるΩの事を守り二人が幸せでいられるよう手助けしよう、そう思っていた。
βは義理堅く、αとΩの事が大好きだった。
αも口には出さないがそんな能天気で頑張り屋なβの事を認めていた。
支配する側とされる側、というわけではなく両者の間には確かな信頼関係があった。
Ωは男性であっても妊娠が可能であり、その他の能力においてはαやβよりも劣るとされていた。だからといって決して貶められる存在などではなく、Ωは男女ともに美しく、Ωフェロモンに唯一影響を受けるαであっても発情期に誘発され襲うなんて事はない。通常時より大分幸せな気分になるだけだ。
Ωのフェロモンはαを優しく癒した。
Ωは濃さに違いはあるものの年中フェロモンを香らせている。
それに対してαのフェロモンはΩと番う時のみ香る物で、番う際お互いが出すフェロモンが合わさり新しい香りを生み出す。そしてそれが二人の香りになるのだ。そうなってしまえば番の二人以外にはその香りは嗅ぎ取れなくなる。
そういう意味でも『二人の香り』なのだ。
二人の香りを作り出し一生その香りに包まれて過ごす事がαにとってもΩにとっても一番の幸せであった。
αは好みのフェロモンを持つΩに自分を番に選んでもらえるように猛烈にアピールする。高校を卒業してしまえば世界が広がりライバルが増えると考え、在学中になんとか選んでもらえるようにαは必死だ。
そういう事情もあってαとΩは高校大学と若くして番う事が殆どだった。
Ωは複数のαに求められてもただ一人のαしか選ばない。
そう、この世界ではΩはαを選ぶ立場なのだ。
そういう訳で、この世界においてΩはみんなから守られ『愛される者』であった。
*****
「……うっ!」「ぎゃっ!」「―――!」「異臭が……っ!」
顔を真っ青にさせてばたばたと倒れていくαたち。
「――おまっ…発情……期、―――か?!」
友人Aはそう言うとそのままばたりとその場に倒れてしまった。
「―――あー…ごめーん。発情期だわ…」
と言ったものの周りにいるαは全て意識がない。βだけがどこかうっとりとした表情でこちらを見ていた。
どういう事かというと、俺は臼井氷花17歳、Ωだ。
αが屍化してしまった原因は俺のフェロモンにある。
俺はそこそこ名の知れた家の長男だし、見た目だって少し釣り目でキツイ印象を与えるものの泣きぼくろは魅力的だ。我ながらエロいと思う。
Ωにしては勉強だって運動だってできる。性格だってそう悪くはないと思うんだ。
なのに一つだけ致命的な欠点があった。フェロモンが他のΩより独特…というか、強烈……というか―――ハッキリ言うととても臭い。
Ωのフェロモンは発情期であっても平常時よりは濃くなるものの優しく香るはずなのだ。なのに俺のフェロモンは……世界一臭いとされる『ラフレシア』の香りで、毎回発情期にはこんな風に屍の山を築く事になる。
強烈すぎて俺の発情期のフェロモンを嗅いでしまったαは、しばらく鼻がバカになって他のΩのフェロモンを嗅ぎ取る事ができなくなるらしい。
抑制剤?そんなΩに負担をかけるような物はこの世界に存在するはずがなかった。
Ωのフェロモンに癒しを求めるαにとって俺のフェロモンは迷惑でしかなかった。
俺は迷惑なΩなのだ。
Ωはそのフェロモンでαを幸せにする。
ではΩの幸せは?
それはαと番ってαのフェロモンと自分のフェロモンをかけ合わせて新しい二人だけの香りを作り出す事。
だというのに俺の香りはラフレシアだ。誰も幸せなんか感じやしない。
こんな臭いフェロモンを好きだと言って自分のフェロモンと合わせてくれるαなんているはずがなかった。
だけど、それでも俺には唯一の希望とも言える人がいた。
小さい頃、まだ二次性も分からない頃俺の香りを好きだと言ってくれた人。
フェロモンなんて香るはずもなかったけどいい香りだって言ってくれたんだ。
すぐに海外に行ってしまって今は連絡もつかないし、いつ戻ってくるのかも分からない。
だけど俺はずっと彼が戻って来るのを待っている。
彼の存在があったから俺はくさらずにすんでいるのだ。
本当なら自分のフェロモンが臭いだなんて簡単には認めたくない事だし、αと番う事を諦めなくちゃいけないなんて耐えられるはずがなかった。
だけど俺には彼がいるから、いつか俺の事を迎えに来てくれるはずだから。
だから俺はあまり落ち込まずにいられるんだ。
たっくん早く迎えに来てくれないかなぁ。
αは全てにおいて他性よりもずば抜けて優秀で、人類の頂点に立ち、全てを導き守る者だった。
αは頂点に立つ者として常に緊張状態であったし色々な事を一人で抱え込む癖があり、誰にも相談できず孤独になりがちでいつも癒しを求めていた。
βは人口の大半を占めるが全てにおいて平均的。可もなく不可もなく。
βは能天気な人間が多く、αに任せておけばオールオッケーそう考える者が殆どだった。
それと合わせてβは自分たちには大したことなんてできないけれど、せめてαの大事な癒しであるΩの事を守り二人が幸せでいられるよう手助けしよう、そう思っていた。
βは義理堅く、αとΩの事が大好きだった。
αも口には出さないがそんな能天気で頑張り屋なβの事を認めていた。
支配する側とされる側、というわけではなく両者の間には確かな信頼関係があった。
Ωは男性であっても妊娠が可能であり、その他の能力においてはαやβよりも劣るとされていた。だからといって決して貶められる存在などではなく、Ωは男女ともに美しく、Ωフェロモンに唯一影響を受けるαであっても発情期に誘発され襲うなんて事はない。通常時より大分幸せな気分になるだけだ。
Ωのフェロモンはαを優しく癒した。
Ωは濃さに違いはあるものの年中フェロモンを香らせている。
それに対してαのフェロモンはΩと番う時のみ香る物で、番う際お互いが出すフェロモンが合わさり新しい香りを生み出す。そしてそれが二人の香りになるのだ。そうなってしまえば番の二人以外にはその香りは嗅ぎ取れなくなる。
そういう意味でも『二人の香り』なのだ。
二人の香りを作り出し一生その香りに包まれて過ごす事がαにとってもΩにとっても一番の幸せであった。
αは好みのフェロモンを持つΩに自分を番に選んでもらえるように猛烈にアピールする。高校を卒業してしまえば世界が広がりライバルが増えると考え、在学中になんとか選んでもらえるようにαは必死だ。
そういう事情もあってαとΩは高校大学と若くして番う事が殆どだった。
Ωは複数のαに求められてもただ一人のαしか選ばない。
そう、この世界ではΩはαを選ぶ立場なのだ。
そういう訳で、この世界においてΩはみんなから守られ『愛される者』であった。
*****
「……うっ!」「ぎゃっ!」「―――!」「異臭が……っ!」
顔を真っ青にさせてばたばたと倒れていくαたち。
「――おまっ…発情……期、―――か?!」
友人Aはそう言うとそのままばたりとその場に倒れてしまった。
「―――あー…ごめーん。発情期だわ…」
と言ったものの周りにいるαは全て意識がない。βだけがどこかうっとりとした表情でこちらを見ていた。
どういう事かというと、俺は臼井氷花17歳、Ωだ。
αが屍化してしまった原因は俺のフェロモンにある。
俺はそこそこ名の知れた家の長男だし、見た目だって少し釣り目でキツイ印象を与えるものの泣きぼくろは魅力的だ。我ながらエロいと思う。
Ωにしては勉強だって運動だってできる。性格だってそう悪くはないと思うんだ。
なのに一つだけ致命的な欠点があった。フェロモンが他のΩより独特…というか、強烈……というか―――ハッキリ言うととても臭い。
Ωのフェロモンは発情期であっても平常時よりは濃くなるものの優しく香るはずなのだ。なのに俺のフェロモンは……世界一臭いとされる『ラフレシア』の香りで、毎回発情期にはこんな風に屍の山を築く事になる。
強烈すぎて俺の発情期のフェロモンを嗅いでしまったαは、しばらく鼻がバカになって他のΩのフェロモンを嗅ぎ取る事ができなくなるらしい。
抑制剤?そんなΩに負担をかけるような物はこの世界に存在するはずがなかった。
Ωのフェロモンに癒しを求めるαにとって俺のフェロモンは迷惑でしかなかった。
俺は迷惑なΩなのだ。
Ωはそのフェロモンでαを幸せにする。
ではΩの幸せは?
それはαと番ってαのフェロモンと自分のフェロモンをかけ合わせて新しい二人だけの香りを作り出す事。
だというのに俺の香りはラフレシアだ。誰も幸せなんか感じやしない。
こんな臭いフェロモンを好きだと言って自分のフェロモンと合わせてくれるαなんているはずがなかった。
だけど、それでも俺には唯一の希望とも言える人がいた。
小さい頃、まだ二次性も分からない頃俺の香りを好きだと言ってくれた人。
フェロモンなんて香るはずもなかったけどいい香りだって言ってくれたんだ。
すぐに海外に行ってしまって今は連絡もつかないし、いつ戻ってくるのかも分からない。
だけど俺はずっと彼が戻って来るのを待っている。
彼の存在があったから俺はくさらずにすんでいるのだ。
本当なら自分のフェロモンが臭いだなんて簡単には認めたくない事だし、αと番う事を諦めなくちゃいけないなんて耐えられるはずがなかった。
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