7 / 11
エピソード 3(1)
しおりを挟む
予想通り、翌日からお客が一人も来なくなった。
俺がホールに出ていても一人も、だ。
おじい様は「あいつらの嫌がらせに違いない」と言ったが、それ以外考えられなかった。
このまま黙って見ていては店はたちまち立ち行かなくなり、売りたくなくても最悪の形で売らざるを得なくなるだろう。
「タカシさん、ごめんね。大変な事に巻き込んじゃって…」
花音はそう言ってすまなそうな顔をした。
辛いのは自分たちだろうに、ただ厄介になっているだけの俺を何で気遣えるんだ?
あぁ父親と重ねて見ているからなのか?
そう思うと胸がちりりと痛んだ。
「俺は、花音の父親ではないぞ」
言うつもりなんてなかった。
そんな事を言ってしまえば大事な花音が傷つくのは分かっていた。
「え?タカシさんの事父さんだなんて思ってないよ?」
きょとんとした顔で花音は言った。
「しかし、おじい様が…」
「じいちゃんがそんな事言ったの?そりゃあ最初にホールに立つタカシさん見た時は父さんかと思ってびっくりしたけど、タカシさんと父さんでは全然違うよ。タカシさんめっちゃ恰好いいじゃん。ふふ」
頬を真っ赤にしながら言うものだから俺の頬も熱を持つ。
「俺ね、タカシさんの事好きだよ。すごく年上でやる事なす事スマートで完璧なのに皿洗いができなかったり、ドヤ顔してみたり、そんなタカシさん恰好よくって可愛いと思うんだ。店がこんな事になってもタカシさんにどこにも行かないでって思ってる。我儘でごめんね」
「そうか」
あぁ、俺は既に一番欲しいモノを手に入れていたんだな。
温かくて優しい愛情を。
その夜俺は花音を抱きしめて眠り、翌朝まだ眠る愛しい人のその頭にキスを落とすと一人家を出た。
愛していたよ花音。俺の生涯で唯一の人。
俺がホールに出ていても一人も、だ。
おじい様は「あいつらの嫌がらせに違いない」と言ったが、それ以外考えられなかった。
このまま黙って見ていては店はたちまち立ち行かなくなり、売りたくなくても最悪の形で売らざるを得なくなるだろう。
「タカシさん、ごめんね。大変な事に巻き込んじゃって…」
花音はそう言ってすまなそうな顔をした。
辛いのは自分たちだろうに、ただ厄介になっているだけの俺を何で気遣えるんだ?
あぁ父親と重ねて見ているからなのか?
そう思うと胸がちりりと痛んだ。
「俺は、花音の父親ではないぞ」
言うつもりなんてなかった。
そんな事を言ってしまえば大事な花音が傷つくのは分かっていた。
「え?タカシさんの事父さんだなんて思ってないよ?」
きょとんとした顔で花音は言った。
「しかし、おじい様が…」
「じいちゃんがそんな事言ったの?そりゃあ最初にホールに立つタカシさん見た時は父さんかと思ってびっくりしたけど、タカシさんと父さんでは全然違うよ。タカシさんめっちゃ恰好いいじゃん。ふふ」
頬を真っ赤にしながら言うものだから俺の頬も熱を持つ。
「俺ね、タカシさんの事好きだよ。すごく年上でやる事なす事スマートで完璧なのに皿洗いができなかったり、ドヤ顔してみたり、そんなタカシさん恰好よくって可愛いと思うんだ。店がこんな事になってもタカシさんにどこにも行かないでって思ってる。我儘でごめんね」
「そうか」
あぁ、俺は既に一番欲しいモノを手に入れていたんだな。
温かくて優しい愛情を。
その夜俺は花音を抱きしめて眠り、翌朝まだ眠る愛しい人のその頭にキスを落とすと一人家を出た。
愛していたよ花音。俺の生涯で唯一の人。
2
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦
雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、
隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。
しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです…
オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が
なかたのでした。
本当の花嫁じゃない。
だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、
だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という
お話です。よろしくお願いします<(_ _)>
もう一度言って欲しいオレと思わず言ってしまったあいつの話する?
藍音
BL
ある日、親友の壮介はおれたちの友情をぶち壊すようなことを言い出したんだ。
なんで?どうして?
そんな二人の出会いから、二人の想いを綴るラブストーリーです。
片想い進行中の方、失恋経験のある方に是非読んでもらいたい、切ないお話です。
勇太と壮介の視点が交互に入れ替わりながら進みます。
お話の重複は可能な限り避けながら、ストーリーは進行していきます。
少しでもお楽しみいただけたら、嬉しいです。
(R4.11.3 全体に手を入れました)
【ちょこっとネタバレ】
番外編にて二人の想いが通じた後日譚を進行中。
BL大賞期間内に番外編も完結予定です。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
禁断の祈祷室
土岐ゆうば(金湯叶)
BL
リュアオス神を祀る神殿の神官長であるアメデアには専用の祈祷室があった。
アメデア以外は誰も入ることが許されない部屋には、神の像と燭台そして聖典があるだけ。窓もなにもなく、出入口は木の扉一つ。扉の前には護衛が待機しており、アメデア以外は誰もいない。
それなのに祈祷が終わると、アメデアの体には情交の痕がある。アメデアの聖痕は濃く輝き、その強力な神聖力によって人々を助ける。
救済のために神は神官を抱くのか。
それとも愛したがゆえに彼を抱くのか。
神×神官の許された神秘的な夜の話。
※小説家になろう(ムーンライトノベルズ)でも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる