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僕のかわいいこぐまさま
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もしもまた薫さんに反応してしまっても、僕では薫さんをどうこうする事なんてできないんだし、そもそも薫さんは僕に反応していなかった。だから大丈夫。
なんて随分と自分に都合のいい言い訳だと苦笑するが、それでもやっぱり会いたいんだ。
念の為抑制剤を前もって飲み、緊急抑制剤も手に握りしめている。
奏と一緒に及川家に行くと薫さんはすぐに僕を隔離部屋へと連れて行った。勿論奏は抜きで二人きりだ。
ドキドキと胸が高鳴るのを抑えられない。
薫さんは僕から少し距離をとった場所に立った。
大丈夫。ドキドキとはするけどこないだみたいな反応はしていない――。やっぱりあれは何かの間違いだった……?
安心しかけたところで薫さんは
「彼方君、あの日キミは俺に反応したように見えた」
ギクリとなる。
やっぱりそういう話だよね……。
僕の顔面から色が抜けていくのが自分でも分かった。
薬を握りしめる指も冷たく、凍ってしまったかのように動かない。
薫さんの話――。
もしかしたらもう二度と薫さんにも奏にも関わるなって言うのかな?
だとしたら……辛いなぁ――。
「えーっとそうじゃなくてね?彼方君、俺を上から順番に見てみて?」
「……」
上から……?
僕は言われるがまま薫さんの頭のてっぺんから徐々に下に向って視線を――。
ひゅっと喉が鳴った。
ある一点に視線がたどり着いた途端、またあの時のように激しい動悸とぶわりと広がる僕のフェロモン。
「はっは……っかはっ!?」
息が……っ
呼吸が上手くできなくて苦しい。
「彼方君目を閉じてっ落ち着いてっ。大丈夫だから――。ゆっくり息をして……」
言われた通りにすると段々楽になっていく呼吸。
切なく苦しい想いも段々落ち着いていく。
「あーこれは確定かなぁ……」
「確定……?」
「今彼方君は俺のお腹を見て反応したよね?」
「――――はい」
そうなのだ。確かに僕は薫さんのお腹を見て反応した。
顔でも他の部分でもない。僕が反応したのは薫さんのお腹限定なのだ。
「それで、何で分かったかと言うとね、こないだ彼方君がヒートになった翌日身体がおかしくて病院に行ったら妊娠してますって言われたんだ。妊娠16週だって」
「おめでとう……ございます?」
照れたようにはにかみながらそう言う薫さん。
赤ちゃんはおめでたいけど、今関係ある事なんだろうか?
「だからね。彼方君は俺に反応したんじゃなくて、俺のお腹の子に反応してしまったんだと思うんだ」
「――――は?」
あまりにも荒唐無稽な……。
まだ生まれてもいない子に『運命』でも感じたとでも言うの……?
「とても珍しい事だと思うし俺もすぐには信じられなかったんだけど、彼方君に自分の存在を知って欲しかったんだと思うんだ。ほら、楓君の子どもだし?生まれる前から自分の番に執着しちゃったんじゃないかなー?って」
なんだそれ?なんだそれ?――――なんだそれ!?
『運命』?
生れる前から僕が欲しいって?
そんなの……愛おしくて堪らない――っ。
僕の『愛』は全てキミの物だったから誰の事も好きにならなかった――?
僕は震える手で薫さんのお腹にそっと触れた。とくんとキミが僕の手に応えた気がした。
不思議と自分の番がそこに居ると思うと過剰に反応する事はなく、ただただ愛おしいと感じるだけだった。
早くでておいで……僕の愛しい番――。愛しているよ。
-おわり-
なんて随分と自分に都合のいい言い訳だと苦笑するが、それでもやっぱり会いたいんだ。
念の為抑制剤を前もって飲み、緊急抑制剤も手に握りしめている。
奏と一緒に及川家に行くと薫さんはすぐに僕を隔離部屋へと連れて行った。勿論奏は抜きで二人きりだ。
ドキドキと胸が高鳴るのを抑えられない。
薫さんは僕から少し距離をとった場所に立った。
大丈夫。ドキドキとはするけどこないだみたいな反応はしていない――。やっぱりあれは何かの間違いだった……?
安心しかけたところで薫さんは
「彼方君、あの日キミは俺に反応したように見えた」
ギクリとなる。
やっぱりそういう話だよね……。
僕の顔面から色が抜けていくのが自分でも分かった。
薬を握りしめる指も冷たく、凍ってしまったかのように動かない。
薫さんの話――。
もしかしたらもう二度と薫さんにも奏にも関わるなって言うのかな?
だとしたら……辛いなぁ――。
「えーっとそうじゃなくてね?彼方君、俺を上から順番に見てみて?」
「……」
上から……?
僕は言われるがまま薫さんの頭のてっぺんから徐々に下に向って視線を――。
ひゅっと喉が鳴った。
ある一点に視線がたどり着いた途端、またあの時のように激しい動悸とぶわりと広がる僕のフェロモン。
「はっは……っかはっ!?」
息が……っ
呼吸が上手くできなくて苦しい。
「彼方君目を閉じてっ落ち着いてっ。大丈夫だから――。ゆっくり息をして……」
言われた通りにすると段々楽になっていく呼吸。
切なく苦しい想いも段々落ち着いていく。
「あーこれは確定かなぁ……」
「確定……?」
「今彼方君は俺のお腹を見て反応したよね?」
「――――はい」
そうなのだ。確かに僕は薫さんのお腹を見て反応した。
顔でも他の部分でもない。僕が反応したのは薫さんのお腹限定なのだ。
「それで、何で分かったかと言うとね、こないだ彼方君がヒートになった翌日身体がおかしくて病院に行ったら妊娠してますって言われたんだ。妊娠16週だって」
「おめでとう……ございます?」
照れたようにはにかみながらそう言う薫さん。
赤ちゃんはおめでたいけど、今関係ある事なんだろうか?
「だからね。彼方君は俺に反応したんじゃなくて、俺のお腹の子に反応してしまったんだと思うんだ」
「――――は?」
あまりにも荒唐無稽な……。
まだ生まれてもいない子に『運命』でも感じたとでも言うの……?
「とても珍しい事だと思うし俺もすぐには信じられなかったんだけど、彼方君に自分の存在を知って欲しかったんだと思うんだ。ほら、楓君の子どもだし?生まれる前から自分の番に執着しちゃったんじゃないかなー?って」
なんだそれ?なんだそれ?――――なんだそれ!?
『運命』?
生れる前から僕が欲しいって?
そんなの……愛おしくて堪らない――っ。
僕の『愛』は全てキミの物だったから誰の事も好きにならなかった――?
僕は震える手で薫さんのお腹にそっと触れた。とくんとキミが僕の手に応えた気がした。
不思議と自分の番がそこに居ると思うと過剰に反応する事はなく、ただただ愛おしいと感じるだけだった。
早くでておいで……僕の愛しい番――。愛しているよ。
-おわり-
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