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番外編
6 戸惑い①
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杉本くんの突然の告白を受け入れてふわふわした気持ちで帰宅して、ひとりになり冷静になってみると俺はすぐに後悔した。簡単に新しい恋愛を始めてしまった自分があまりにも無責任なように思えたのだ。かと言ってなかった事にはしたくなくて、どうすればいいのか分からず付き合おうと言ったあの日以降彼に会いに花屋へは行けないでいた。
簡単なメッセージのやり取りはあるものの彼に会いに行かないまま一ヶ月が過ぎていて、そろそろ仕事が忙しいという言い訳も無理がある頃だ。
彼の告白を彼が言うようにその事実だけを心に留めるだけで知らん顔をする事はできた。だけどそれではいつか彼と縁が切れてしまうと思ったのだ。だから衝動的に付き合おうと言ってしまった。本当にそれで良かったのだろうか? 俺はもう彼のように純粋な愛情が分からなくなってしまっている。付き合おうと思ったのも正直彼がβだという理由が大きい。
βは『運命』と無関係――。それなのに得体の知れない想いに胸の奥がモヤモヤとして落ち着かないのはどうしてだろう。
こんな中途半端な状態で、俺は生涯彼を愛せるだろうか? そして彼も俺の事を愛し続けてくれるだろうか?
「あれ? 坂口さん」
そう声をかけてきたのは一条さんだ。ああ、今は婚約者と結婚して及川に姓が変わったんだっけ。先走った俺が番になる事を申し込んでフラれた相手だ。多分こうやって話をする事は彼の番がいい顔はしないのだろうけど、及川さんは顔に似合わず意外と強くて守られてばかりではいないタイプのようだ。あれ以来俺の事を気にしてくれているようで、何かと声をかけてくれるようになった。俺は彼が婚約者と番って初めて出社した時に心からの「おめでとう」を伝えた。それで俺が彼に番を申し込んだ本当の理由が分かったのだろう。だから彼は俺に対して警戒をしていない。
俺は彼の何を見ていたんだろう。俺と同じ……だなんてとんでもない。ましてやアイツとも違う。多分及川さんはαにただ守れる事をよしとしない。
そんな彼ならもしかしたら答えが分かるかもしれない――。
*****
仕事帰りに及川さんを飲みに誘って、自分でもまとまらない気持ちを酒の力を借りて吐露した。筋立てもなくあちこちに飛ぶ話なんて訊くだけで疲れるはずなのに、及川さんは嫌な顔ひとつせず最後まで静かに訊いてくれた。
とりあえず全てを話し終えて、及川さんは「そうですか」とひと言だけ。
「――俺は運命が怖い。だからβである彼と付き合う事を決めてしまったんではないかと、彼との未来を想像すればする程分からなくなってしまうんです。彼との交際は純粋な愛故のモノだったのかと――」
「ではその彼と付き合うのを止めますか? もしくはそのまま付き合ったとして、もしも坂口さんの方に『運命』が現れたらその彼を捨てますか?」
簡単なメッセージのやり取りはあるものの彼に会いに行かないまま一ヶ月が過ぎていて、そろそろ仕事が忙しいという言い訳も無理がある頃だ。
彼の告白を彼が言うようにその事実だけを心に留めるだけで知らん顔をする事はできた。だけどそれではいつか彼と縁が切れてしまうと思ったのだ。だから衝動的に付き合おうと言ってしまった。本当にそれで良かったのだろうか? 俺はもう彼のように純粋な愛情が分からなくなってしまっている。付き合おうと思ったのも正直彼がβだという理由が大きい。
βは『運命』と無関係――。それなのに得体の知れない想いに胸の奥がモヤモヤとして落ち着かないのはどうしてだろう。
こんな中途半端な状態で、俺は生涯彼を愛せるだろうか? そして彼も俺の事を愛し続けてくれるだろうか?
「あれ? 坂口さん」
そう声をかけてきたのは一条さんだ。ああ、今は婚約者と結婚して及川に姓が変わったんだっけ。先走った俺が番になる事を申し込んでフラれた相手だ。多分こうやって話をする事は彼の番がいい顔はしないのだろうけど、及川さんは顔に似合わず意外と強くて守られてばかりではいないタイプのようだ。あれ以来俺の事を気にしてくれているようで、何かと声をかけてくれるようになった。俺は彼が婚約者と番って初めて出社した時に心からの「おめでとう」を伝えた。それで俺が彼に番を申し込んだ本当の理由が分かったのだろう。だから彼は俺に対して警戒をしていない。
俺は彼の何を見ていたんだろう。俺と同じ……だなんてとんでもない。ましてやアイツとも違う。多分及川さんはαにただ守れる事をよしとしない。
そんな彼ならもしかしたら答えが分かるかもしれない――。
*****
仕事帰りに及川さんを飲みに誘って、自分でもまとまらない気持ちを酒の力を借りて吐露した。筋立てもなくあちこちに飛ぶ話なんて訊くだけで疲れるはずなのに、及川さんは嫌な顔ひとつせず最後まで静かに訊いてくれた。
とりあえず全てを話し終えて、及川さんは「そうですか」とひと言だけ。
「――俺は運命が怖い。だからβである彼と付き合う事を決めてしまったんではないかと、彼との未来を想像すればする程分からなくなってしまうんです。彼との交際は純粋な愛故のモノだったのかと――」
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