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初めてのけんか?
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「なぁー、お前らってけんかしてんの?」
宮園が遠くに座る渚の方を顎でしゃくって言った。
「けんか…は、してないはず」
「なんだそれたよりないな。でも、お前ら最近まったくしゃべってない事ない?」
そう、宮園が言う通り俺と渚はここ一週間程まったく会話をしていなかった。
原因は分からない。渚がどうしてか眉間に皺を寄せて俺と口をきいてくれないのだ。
俺が話しかけても俺の方を見る事もなく、首を振っての返事だけ。
やっとキスできて恋人としての距離が少しは縮まったと思ったのに…。
俺何かしたっけ…?
今までだってけんかはした事はあった。だけどどれも小さいもので、渚はけんかした事自体すぐに忘れて笑顔になるのに、今回は違ったんだ。
渚の事をからかったり意地悪したりできるのは、俺が何をしても言っても決定的なけんかにはならないと思っているからで、こんな状態になるなら俺は…どうしていいのか分からない。
「じゃあさ、来週あるクラスのクリパお前ら二人部屋分ける?カラオケBOX大きい部屋がとれなくて二部屋に別れなきゃなんだよ」
「―――渚がのぞむな……」
「ダメに決まってるだろう?悪いけど、俺たち二人欠席でよろしく」
振り返ると渚が怒った顔でそんな事を言った。
「え?あ、あぁ――分かった。二人とも欠席な」
宮園は驚いた顔をしていたが「はいはい」と訳知り顔で頷いて、クリパのメンバー表から俺と渚の名前を消した。
渚らしくない我儘だった。
いつもならこれは俺のセリフで、渚は「しょうがないよ。終わったら二人でちょっとだけ遊ぼう?だから我慢しよ?」って困った顔して言うんだ。
なのに、なんで今日は?
渚は俺の手を掴むとぐいぐい引っ張って人気のない方に連れて行った。
「渚っ何?いきなりどうして」
「今年は、恋人になって初めてのクリスマスじゃん。クラスも大事だけど…二人っきりで、過ごしたいんだ。なのに哲ったらクラスのクリパ参加の方に名前書いてるし…!」
「――え…じゃあ怒ってたのって……」
「悪いか。俺だって哲の事…独り占め…した…ぃ」
怒りに任せてまくしたてていた渚だったけど、段々と冷静になって恥ずかしくなってきたのかしりつぼみになり真っ赤な顔をしてそっぽを向いた。
「そっか。そうだよな。はは」
なんだ。渚も俺の事ちゃんと好きじゃないか。
「何笑ってるの?」
口を尖らせて下から睨む渚。
ちゅっと尖らせた唇に唇を落とす。
「ひゃっ」
「もうね、そういう可愛い事ばっかりする渚が悪い。俺遠慮やめるわ。渚、覚悟しとくよーに」
「へ…?」
おまぬけな顔をする渚に少し大人のキスをする。
甘いあまい渚の口の中に舌を入れゆっくりと味わう。
渚は今起こっている事に頭が追い付かず息も絶え絶えだ。
腰も抜かしてしまっているようで、必死に俺にしがみついてくる。
寝た子を起こしたのは渚だからね?
こうして俺たちの初めてのけんか?は甘い綿あめのように口の中で溶けて消えていった。
-終-
宮園が遠くに座る渚の方を顎でしゃくって言った。
「けんか…は、してないはず」
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なのに、なんで今日は?
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「――え…じゃあ怒ってたのって……」
「悪いか。俺だって哲の事…独り占め…した…ぃ」
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「何笑ってるの?」
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ちゅっと尖らせた唇に唇を落とす。
「ひゃっ」
「もうね、そういう可愛い事ばっかりする渚が悪い。俺遠慮やめるわ。渚、覚悟しとくよーに」
「へ…?」
おまぬけな顔をする渚に少し大人のキスをする。
甘いあまい渚の口の中に舌を入れゆっくりと味わう。
渚は今起こっている事に頭が追い付かず息も絶え絶えだ。
腰も抜かしてしまっているようで、必死に俺にしがみついてくる。
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-終-
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