男子高校生たちの

ハリネズミ

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「渚?何かあった?」
学校からの帰り道押し黙るオレに哲が声をかけた。

「ん…。哲…あのさ、今日―――うちに来れる?」
「わかった。帰りに何か買っていくか?」
「―――…買ってく…」
「へ?」
驚き目を見開く哲。
なんでそんなにびっくりするの?
だってオレたち付き合ってるんだから…おかしくないでしょう?
涙目で哲を見つめる。

「アレって…アレの事だよな?」
「うん。哲は嫌?」
もう恥ずかしいなんて言っていられない。
このままなんて嫌だ。
触れるだけのキスだけなんて嫌だ。
もっともっと哲に触れたいし触れられたい。

哲の為とかじゃなくて、オレ自身が哲の事を求めてる。
だから頑張らなくちゃ。

「嫌なわけない」
哲の返事にほっとする。
面倒な事してまで身体を繋げる必要ないって思われてたらって思っちゃうんだ。
ゆっくりいこうって言ってくれたけど、哲の事信じてるけど…でも、不安になる。

オレたちは無言で薬局でアレを買い、どこか早足でオレの家に向かった。

部屋に入ると哲はまだ躊躇っているようだった。
オレは上着を脱ぎネクタイを外し、シャツのボタンを一つひとつ外していく。
哲のごくりと唾を飲みこむ音が聞こえた。
オレは構わずシャツを脱ぎズボンも脱いで下着一枚の姿になった。
「――渚…」
オレの裸体を見つめ熱のこもった声でオレの名前を呼ぶ哲。
その声にオレもぞくりと震えた。
「オレ…自分で……シてみた…んだけど」
「は?」
戸惑い気味だった哲の顔つきが急に怖い顔になった。

「自分でシたってどういう事?」
「えっと…哲?何で怒って…?」
「いいから話して?何で一人でシようと思った?」
「センセーに相談して…」
「は?」
本日二度目の「は?」だ。
これは哲が本当に怒っている時に出る言葉だった。
「先生って誰?どの先生?渚、ちゃんと言って」
「――保健室の…オ、オレ哲と…哲とシたかったからっ。でも誰にも相談できなくてっだからセンセーに…っ」
「渚っ」
哲に名前を呼ばれその声に目をぎゅっとつぶる。
哲が怒ってる。
何でか分からない。
ものすごく怒ってる。
怖い――。
身体も恐怖に硬く強張る。

だけど、次の瞬間哲がぎゅっと抱きしめてきて、驚いて目を開くと哲の泣き顔がそこにはあって、胸が苦しくて、ズキズキと痛んだ。
「な…んで…」
「渚…お願いだからそんな顔他のヤツに見せないで?先生はたまたまいい人だったから何もなかったんだろうけど、何かされやしないかって心配で心配で死にそうになる」
「そんな顔…?」
「そんな劣情に濡れた顔……。俺以外に見せないで…?何かされなくても――他のヤツに見せたくない」
「劣……情――っ」
かっと赤くなる頬。
「俺たち二人の事だろう?他人になんて相談しないで?」
「――だって…哲、最近触れてくれない…キスだって……」
「―――あーもうっ!」
抱きしめたまま叫ぶ哲の声にびくりと震える。
「いや、違う。ごめん。渚ごめん。今のは自分に対してだから。あのさ、俺最後までできなくても大丈夫だって思ってた。渚には恰好いい事言ってたけど渚と深いキスなんてしちゃったら…渚の事襲っちゃいそうで…だから我慢してた。渚に必要以上に触らないのも同じ理由。そうじゃないと俺、渚が泣いてもやめてあげられない…。でも、渚を結局は追い詰めてたなんて…ごめん渚。俺、どうしたらいい?渚の事大事にしたいんだ。だけど自分の思うままにしちゃうと渚の事傷つけちゃうからさ、だから教えて?俺何したらいい?」
「哲…。オレばっかり我慢してるみたいに思ってごめん。センセーにこんな事相談してごめん。オレもこういう事話すの哲がいい。哲だけがいい。もう他の人に相談しない。それ、で、ね…。痛くないように自分でここに指入れようと、したんだけど…怖くて…できなくて……だからね…」
下着の上から蕾を指で指し示す。
恥ずかしいけど今日のオレは大胆だ。

「――分かった。渚、俺も覚悟を決める。渚も覚悟を決めてくれるか?」
「うん。オレ、哲ならいいよ。今日は痛くても頑張るから…だから、最後まで―――シて?」
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