お前の好きは軽すぎる

ハリネズミ

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重すぎる男(1)

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 相模との約束の食事をする店を俺はなかなか決められないでいた。

 これまでも会社帰りにふたりで居酒屋で飲んだ事くらいはあるが、お詫びとお礼なのだから今回は少しいい店にしたかった。
 とはいえ、あまり気合の入った店もおかしいし、いつものように居酒屋では俺の気がすまない。

 ここ数日、家でも会社の休み時間もスマホで検索するが、なかなかいい店を見つける事が出来なかった。

 ふと、そういえばと思い出す人がいた。
 飲食店の情報に妙に詳しい人がいるのだ。
 急な接待の時などよく相談に乗ってもらっていた。
 庶務課の峰さんだ。
 つい最近相模が告白した相手だ。

 うーん相模と食事する店を訊いてもいいものかどうか……。

 しばらく考えてみたが、相模には峰さんから教えてもらったと言わなければいい、と結論を出す。

 そうと決まれば善は急げと庶務科へ向かった。


 庶務課に行く途中、給湯室から聞こえてきた会話にぎくりと足が止まる。

「相模君彼女いるのかな? 相模君って仕事も出来て優しくて素敵よね。こないだなんて落とした書類を拾ってくれて」

 ――え?

「うんうん。愛子可愛いんだし思い切って告白してみたら?」

「どうしよう。でも、当たって砕けろで告白しちゃおうかなぁ」

「そうしなよ。応援する。あ、休憩時間終わっちゃう。じゃああとで作戦練ろう?」

 そう言って一足先にひとりだけが戻って行った。

 残ったひとりは愛子と呼ばれた方で、まさに俺が店を相談しようとしていた相手、峰 愛子だった。

 ――――書類を拾ったのは相模の方で、峰さんは相模の事が好き?
 告白する?

 だってこないだ相模は峰さんに告白してフラれたんじゃないのか?

 混乱したまま俺は峰さんを呼び止め、ある提案をした。
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