お前の好きは軽すぎる

ハリネズミ

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重すぎる男(2)

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 俺はきちんとお礼がしたいから、と会社帰りではなく土曜日に待ち合わせをする事にした。
 峰さんお薦めのピザがおいしい洒落た店。
 約束は土曜日十九時に店の中で。


*****

 今日は約束の土曜日。時刻は二十時ちょっと過ぎ。
 俺は自分の部屋で何をするでもなくベッドの上に横になり天井をただ見つめていた。

 俺が峰さんに提案したのは、俺との約束場所に峰さんに行ってもらう事だった。
 相模は峰さんの事が好きなのだから峰さんが相模の事を好きなのだと知ってしまったらふたりをとりもつのが一番のお礼になると思ったのだ。

 もうふたりは想いを打ち明けあい恋人同士になっただろうか?
 楽しく食事をして……それから――――。

 じわりと浮かび、零れていく涙。
 ぽろりぽろりと頬を伝い、落ちていきシーツを濡らす。


 好きだった。
 俺は相模の事が本当に好きだった。
 今思えば俺も相模にひと目惚れしていたのかもしれない。
 上司に新人だと紹介され目が合った瞬間、どくりと心臓が大きく鳴った。

 出会ってすぐの相模の突然の告白にあの時俺はどうしていいか分からなかっただけで、ちっとも嫌じゃなかったんだ。
 むしろ嬉しくて、だから間違えてしまった。


 出会ってすぐの告白に簡単にOKして軽い男だと思われたくなかった。
 俺なんかの事を好きだなんて、すぐに自分の間違いに気づくと思った。

 だから……俺は「そりゃどうも」なんて言って相模の告白を軽く流して、無かった事にしてしまったんだ。


 今更言ってみてもしょうがない事だ。
 今相模は峰さんの事が好きなんだから。
 相模が伸ばしてくれた手をスルーしてしまったんだから。

 俺は相模に文句を言う資格なんて最初から持っていなかったんだ。

 ――――。


*****

 トントン、トントン。とドアがノックされる。

 客?

 俺は袖口で乱暴に涙を拭ってドアを開けた。
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