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重すぎる男(3)
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そこに立っていたのは珍しく不機嫌な顔をした相模だった。
「――相模……。どうして……?」
「それはこっちのセリフです」
相模は不機嫌な顔のままずんずんと部屋に入って来た。
俺は突然の事で止める事もできなくて、相模の進入を許してしまう。
「約束しましたよね? 先輩とふたりっきりで食事できるの楽しみにしてたんですよ? なのに……どうして別の人が来るんですか? どうして俺を別の人に譲ったりするんですか? どうして? 先輩答えて? どうしてですか?」
相模の怖いぐらいの質問攻めにたじろぎ黙っていると、相模が俺の両腕を掴みぐいぐいと押していき、ソファーの上に押し倒される形で倒れてしまった。
「いくら俺に興味がなくてもこれはあんまりです。ひどすぎます」
そう言って俺の上に覆い被さったままくしゃりと顔を歪めた。
「相模?」
俺は名前を呼ぶ事しか出来なくて、相模の顔をじっと見つめた。
相模の顔が近づいてきて、あっと思った時には相模の口で乱暴に口を塞がれていた。
ぼろぼろと涙を溢しながら唇を貪られ、舌を割り入れられる。
口内を動き回る相模の舌。口の中が熱い。
こんな時だというのに相模がもたらす甘い痺れに下腹部が疼きをおぼえる。
「ん」
思わず漏れる甘い吐息。
俺を押さえつける力が強くて、相模の下から逃れる事が出来ない。
俺の気持ちなんかお構いなしに動き回る相模の舌。
こんな風に奪われてしまうのはキスの相手は相模なのに、怖いと感じる。
なんでこんな事に?
俺の瞳からも涙が溢れた。
それを見て相模は我に返ったのか、ばっと身体を離した。
「先輩……俺……すみませんでした」
俯きそう言うと相模は部屋を飛び出して行った。
ひとり残される俺。
追わなくちゃ。
相模を追いかけて話をしなくちゃ。
今度は逃げちゃダメだ。
キスの意味を相模に訊かなくちゃ。
震える身体に喝を入れ、相模の後を追った。
「――相模……。どうして……?」
「それはこっちのセリフです」
相模は不機嫌な顔のままずんずんと部屋に入って来た。
俺は突然の事で止める事もできなくて、相模の進入を許してしまう。
「約束しましたよね? 先輩とふたりっきりで食事できるの楽しみにしてたんですよ? なのに……どうして別の人が来るんですか? どうして俺を別の人に譲ったりするんですか? どうして? 先輩答えて? どうしてですか?」
相模の怖いぐらいの質問攻めにたじろぎ黙っていると、相模が俺の両腕を掴みぐいぐいと押していき、ソファーの上に押し倒される形で倒れてしまった。
「いくら俺に興味がなくてもこれはあんまりです。ひどすぎます」
そう言って俺の上に覆い被さったままくしゃりと顔を歪めた。
「相模?」
俺は名前を呼ぶ事しか出来なくて、相模の顔をじっと見つめた。
相模の顔が近づいてきて、あっと思った時には相模の口で乱暴に口を塞がれていた。
ぼろぼろと涙を溢しながら唇を貪られ、舌を割り入れられる。
口内を動き回る相模の舌。口の中が熱い。
こんな時だというのに相模がもたらす甘い痺れに下腹部が疼きをおぼえる。
「ん」
思わず漏れる甘い吐息。
俺を押さえつける力が強くて、相模の下から逃れる事が出来ない。
俺の気持ちなんかお構いなしに動き回る相模の舌。
こんな風に奪われてしまうのはキスの相手は相模なのに、怖いと感じる。
なんでこんな事に?
俺の瞳からも涙が溢れた。
それを見て相模は我に返ったのか、ばっと身体を離した。
「先輩……俺……すみませんでした」
俯きそう言うと相模は部屋を飛び出して行った。
ひとり残される俺。
追わなくちゃ。
相模を追いかけて話をしなくちゃ。
今度は逃げちゃダメだ。
キスの意味を相模に訊かなくちゃ。
震える身体に喝を入れ、相模の後を追った。
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