リナ・セレネーレの物語

桜井あこ

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一年生

お友達

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それぞれの生徒が自由に移動する。
貴族の女子は、知り合いの貴族とコソコソ集まって、

「あらぁー? 平民が三人混じっていますわね」
「迷子にでもなったのかしら?」
「この教室は平民が少ないですものね。居心地が悪いでしょうに」

ホホホ・・・・・・と高笑いをしていた。
わざと聞こえるように言ってるだろ?この性悪貴族。
母には悪い言葉遣いをしてはいけませんなんて言われるけど、心の中では許してほしい。
まったく貴族は面倒臭いな。
内心チッと舌打ちをいていると、「セレネーレさん」と声をかけられた。

「はい?」

呼んだのは最初に自己紹介した子、確かーーラズベリーさん。

「何?」
「あなたって、平民・・・・・・よね?」

? いきなり何を聞くのやら。
いきなり失礼なことを聞いてごめんなさい。と彼女は謝った。

「そうですけど・・・・・・・」
「あ、ほんと?」

ラズベリーさんがさっきより笑う。

「わたしもなの。周りの子貴族ばっかりで私以外平民いないんじゃないかと思ったけど良かった~。あの、会ったばかりだから嫌かもしれないけど、良ければ一緒に行かない?」

・・・・・・へ?

「行くってどこを・・・・・・」
「施設案内とかあるでしょ? そのとき並んで行かなきゃいけないわけでもないから」

あ、そうなんだ。

「うん、全然いいよ。むしろ行きたい」
「そう? ありがとう。じゃあまたね」

彼女に手を振られたので、私も振り返した。
貴族のこと仲良くなるのは時間がかかりそうだけど、早速友達ができる予感がした。

○○○○○○○○○○

「ここが図書室、蔵書は一万冊を超える。本を借りることももちろんだか自習をできるぞ。消灯一時間前までな」

先生が図書室の入口に立ち私たちを振り返る。

「へえーそうなんだ。すごいねリナちゃん」
「ね。勉強するならここかな」

休み時間中に話すようになったリリーちゃん。
綺麗な容姿。美しさは命!なんて漫画とかでしか言わんやろと思うセリフを本当に言っていた貴族の女の子たちと並んでも、全く遜色ない。むしろ彼女の方が綺麗だと思う。
髪の毛だって特に何もしていないらしいけど、艶やかに光っていた。

「さて次はーー」

先生が移動する。ちゃんとついて行かなきゃ迷子になりそう。
こんな探検も楽しい。冒険みたいでワクワクしてきた。

○○○○○○○○○○

「最後はお待ちかね、寮決めた」

え、もうぜんぶ回ったんだ。早すぎる・・・・・・!

「部屋のメンバーは理由がない限り六年間そのままだ。男女と身分は分かれている。そして今からするのがーー」

「寮の組み分けだ」

貴族たちがざわつく。
何、組み分けってそんなに大事なことなの?

「組み分けは大事だぞ。その寮生と生活を共に過ごすんだからな。授業は最初のメンバーだが、ことあるごとに寮生とチームを組むからな」

ポカンとしている平民組に先生が説明してくれた。そんなことも知らないの? とクスクス笑ってくる貴族は無視。
そうなんだ。どんな寮があるんだろう。

「今から大広間に移動だ」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
投稿が遅れてすみません。最近ドタバタしておりました。
今回からリナと同じ平民のリリーが登場しましたね。
実は彼女、作者一番の思入れのあるキャラです。
今後、リリーのことも楽しみにしてくれたらなと思います。
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