80 / 90
第80話 魔王の攻略法です
しおりを挟む
「魔王の討伐・・・」
重苦しい雰囲気が漂う中・・・マユミが口を開く。
・・・ついにその時が来てしまった。
マユミは自らのしかかる重圧に震えを感じながら辺境伯を見据える。
神聖マユミ帝国は決してマユミ姫のファンクラブではない。
その建国の目的は、魔王の脅威に対抗する為に、英雄マユミを旗印に人類を一つに纏める事。
・・・その目的を果たした今、魔王との決戦は避けられぬ流れだった。
今の所まだ魔族達に動きは見られない・・・
だが魔王本人による襲撃があった以上、いつどこが襲撃されてもおかしくはない。
だからこそ各国は英雄マユミを頼ってその傘下に加わったのだ。
神出鬼没の魔族相手に人類が後手に回る必要ない。
このタイミングで討伐軍を起こすという辺境伯の判断は間違いではないだろう。
問題があるとすれば、それは・・・マユミはその疑問を口にした。
「あの・・・勝算はあるんですか?」
魔王の持つ強大な力・・・それをマユミはその目でしっかりと見ている。
あらゆる攻撃を受け付けない障壁、エレスナーデに重傷を負わせた闇の光線。
あの時の様子から、あれが魔王の全力だったとも考えにくい。
いくら最強の騎士達といえど、全く歯が立たないのではないか・・・
勝算もないまま騎士達にただ死んで来いなどと、マユミに命じられるわけがなかった。
「聞いていると思いますけど、この間の魔王の襲撃の時に私は何も・・・」
魔王に対抗できるような『力』はマユミにはない。
もしも『マユミが魔王を撃退した』という巷の噂を鵜呑みにしている場合は止めねばならない。
「そ、そうよ、あの魔王を倒すなんて無理に決まってるわ!
アンタは魔王を見た事もないから討伐だとか簡単に言えちゃうのよ!」
マユミのその発言を聞いて、ミズキが乗っかる。
魔王その人であるミズキにしても魔王討伐などたまったものではない。
なんとか諦めさせたい所だ。
「ミズキちゃん?!」
「マユミ陛下、彼女は?」
「あ、えーと彼女は・・・」
突然現れて会話に加わってきたミズキの事を辺境伯にどう説明するべきか返答に困るマユミ。
まずは自分と同じく異世界人である事から伝えるべきだろうか・・・
そう思って説明をしようとしたその時。
「彼女は例の襲撃の際に居合わせた民間人です」
「セルビウスか、久しいな」
「お久しぶりです、閣下」
セルビウスの口から襲撃の時の様子が語られる。
彼が魔王に一騎打ちを挑み、全く歯が立たなかった事を語る際はとても辛そうだった。
「あらゆる攻撃を通さぬ障壁か・・・厄介だな」
「はい、あれがある限りは我らが束になっても魔王には・・・」
「わかったでしょ、勝ち目なんてないのよ」
「ミズキちゃん、なんでそんな得意げに・・・」
「え・・・いや、私すごく怖かったし、あんな思いはもうたくさんと言うかその・・・」
やっぱりあの時の事はトラウマになっているのだろうか・・・
自分もあの魔王を前によく逃げ出さずにいられたものだと、我が事ながら改めて感心する。
「どうやら、この件については今しばらく保留にした方が良さそうだ」
何らかの対抗策もないまま魔王に挑むのは得策ではない。
辺境伯がそう判断したその時・・・
「お待ちください、私に考えがあります」
凛とした声が玉座の間に響いた。
「え・・・」
聞き覚えのあるその声にマユミが振り返る。
美しい光沢を放つ金髪、以前と比べやつれているが、気品の漂うその姿は・・・
「ナーデ!もう大丈夫なの?!」
この世界でのマユミの最初の友人・・・親友のエレスナーデだった。
「心配かけたわね、マユミ・・・」
自分はもう大丈夫だと笑顔を浮かべて歩み寄るエレスナーデだったが、その足取りはふらついていた。
やはりまだ完治したというわけではないらしい。
マユミは慌てて駆け寄ってその身体を支える。
「ありがとう、マユミもういいわ」
「ダメ、ナーデはすぐ無理するんだから・・・」
もういいと言ってもマユミはなかなか離さない。
やがて諦めたのか、エレスナーデは体重の半分をマユミに預けるのだった。
「それでエレスナーデ嬢、その考えというのを聞かせて貰えるか?」
落ち着いたのを見計らって辺境伯が尋ねる。
魔王に対抗できる秘策の一つもありそうな口ぶりだったが・・・
「はい、私もあの魔王と直接対峙して感じたのですが、魔王のあの力は有限だと思います」
「ほう・・・」
エレスナーデがその時の様子を語る。
あの時も、魔王の『力』は尽きかかっていたのではないか?
そして焦った魔王は残りの僅かな力で彼女を攻撃して撤退を計ったのではないか?と・・・
「魔王の力を多く使わせて消耗させれば、我らにも勝ち目がある、という事か・・・」
「おそらくは・・・魔術師や弓兵で遠距離から攻撃し続ければ尽きるのではないかと・・・」
(な、なんて恐ろしい事を・・・)
ミズキは戦慄した・・・単純だが有効な作戦だ。
そこまで対策されてしまうと、もう魔王の存在は脅しにならない。
かといってミズキ自ら魔王として戦う選択肢も危険すぎる。
ミズキはエレスナーデを睨んでいた。
・・・やはりこの人物は危険だ、彼女こそ魔王ミズキの天敵だったのかもしれない。
「ミズキちゃん?そんなこわい顔してどうしたの?」
「え・・・私そんな顔してたかな・・・あはは・・・」
「マユミ、この子は?」
エレスナーデに尋ねられて、マユミはようやくミズキについて説明を始める。
「この子はミズキちゃんっていうんだけど、実は私と同じで異世界の人なの」
「え・・・」
「なん・・・だと・・・」
マユミのその発言に、その場に居合わせた者達が驚愕の表情を浮かべた。
特に過去の英雄についての知識のある二人、辺境伯とエレスナーデの反応は顕著だ。
彼らの知る限り、異世界の英雄が二人現れたという前例はないのだ。
「ん・・・水樹ダイアナです、あっちでは作家をやってました・・・あ、原稿が・・・」
そんな彼らの反応を気にしてかミズキは自己紹介・・・落とした原稿にようやく気付いた。
慌てて紙を拾い集める・・・周囲からの視線に晒されて冷や汗が流れた。
「あ、ちなみに『英雄の力』みたいなのは無いです、ごめんなさい」
「そこも私と同じなんだ・・・」
「え・・・マユミ様、『力』ないの?」
「うん、何もないよ・・・たぶん」
「えええええええ」
今明かされた真実・・・これまで自分は何を恐れていたのか・・・
ミズキは力なくうなだれた。
重苦しい雰囲気が漂う中・・・マユミが口を開く。
・・・ついにその時が来てしまった。
マユミは自らのしかかる重圧に震えを感じながら辺境伯を見据える。
神聖マユミ帝国は決してマユミ姫のファンクラブではない。
その建国の目的は、魔王の脅威に対抗する為に、英雄マユミを旗印に人類を一つに纏める事。
・・・その目的を果たした今、魔王との決戦は避けられぬ流れだった。
今の所まだ魔族達に動きは見られない・・・
だが魔王本人による襲撃があった以上、いつどこが襲撃されてもおかしくはない。
だからこそ各国は英雄マユミを頼ってその傘下に加わったのだ。
神出鬼没の魔族相手に人類が後手に回る必要ない。
このタイミングで討伐軍を起こすという辺境伯の判断は間違いではないだろう。
問題があるとすれば、それは・・・マユミはその疑問を口にした。
「あの・・・勝算はあるんですか?」
魔王の持つ強大な力・・・それをマユミはその目でしっかりと見ている。
あらゆる攻撃を受け付けない障壁、エレスナーデに重傷を負わせた闇の光線。
あの時の様子から、あれが魔王の全力だったとも考えにくい。
いくら最強の騎士達といえど、全く歯が立たないのではないか・・・
勝算もないまま騎士達にただ死んで来いなどと、マユミに命じられるわけがなかった。
「聞いていると思いますけど、この間の魔王の襲撃の時に私は何も・・・」
魔王に対抗できるような『力』はマユミにはない。
もしも『マユミが魔王を撃退した』という巷の噂を鵜呑みにしている場合は止めねばならない。
「そ、そうよ、あの魔王を倒すなんて無理に決まってるわ!
アンタは魔王を見た事もないから討伐だとか簡単に言えちゃうのよ!」
マユミのその発言を聞いて、ミズキが乗っかる。
魔王その人であるミズキにしても魔王討伐などたまったものではない。
なんとか諦めさせたい所だ。
「ミズキちゃん?!」
「マユミ陛下、彼女は?」
「あ、えーと彼女は・・・」
突然現れて会話に加わってきたミズキの事を辺境伯にどう説明するべきか返答に困るマユミ。
まずは自分と同じく異世界人である事から伝えるべきだろうか・・・
そう思って説明をしようとしたその時。
「彼女は例の襲撃の際に居合わせた民間人です」
「セルビウスか、久しいな」
「お久しぶりです、閣下」
セルビウスの口から襲撃の時の様子が語られる。
彼が魔王に一騎打ちを挑み、全く歯が立たなかった事を語る際はとても辛そうだった。
「あらゆる攻撃を通さぬ障壁か・・・厄介だな」
「はい、あれがある限りは我らが束になっても魔王には・・・」
「わかったでしょ、勝ち目なんてないのよ」
「ミズキちゃん、なんでそんな得意げに・・・」
「え・・・いや、私すごく怖かったし、あんな思いはもうたくさんと言うかその・・・」
やっぱりあの時の事はトラウマになっているのだろうか・・・
自分もあの魔王を前によく逃げ出さずにいられたものだと、我が事ながら改めて感心する。
「どうやら、この件については今しばらく保留にした方が良さそうだ」
何らかの対抗策もないまま魔王に挑むのは得策ではない。
辺境伯がそう判断したその時・・・
「お待ちください、私に考えがあります」
凛とした声が玉座の間に響いた。
「え・・・」
聞き覚えのあるその声にマユミが振り返る。
美しい光沢を放つ金髪、以前と比べやつれているが、気品の漂うその姿は・・・
「ナーデ!もう大丈夫なの?!」
この世界でのマユミの最初の友人・・・親友のエレスナーデだった。
「心配かけたわね、マユミ・・・」
自分はもう大丈夫だと笑顔を浮かべて歩み寄るエレスナーデだったが、その足取りはふらついていた。
やはりまだ完治したというわけではないらしい。
マユミは慌てて駆け寄ってその身体を支える。
「ありがとう、マユミもういいわ」
「ダメ、ナーデはすぐ無理するんだから・・・」
もういいと言ってもマユミはなかなか離さない。
やがて諦めたのか、エレスナーデは体重の半分をマユミに預けるのだった。
「それでエレスナーデ嬢、その考えというのを聞かせて貰えるか?」
落ち着いたのを見計らって辺境伯が尋ねる。
魔王に対抗できる秘策の一つもありそうな口ぶりだったが・・・
「はい、私もあの魔王と直接対峙して感じたのですが、魔王のあの力は有限だと思います」
「ほう・・・」
エレスナーデがその時の様子を語る。
あの時も、魔王の『力』は尽きかかっていたのではないか?
そして焦った魔王は残りの僅かな力で彼女を攻撃して撤退を計ったのではないか?と・・・
「魔王の力を多く使わせて消耗させれば、我らにも勝ち目がある、という事か・・・」
「おそらくは・・・魔術師や弓兵で遠距離から攻撃し続ければ尽きるのではないかと・・・」
(な、なんて恐ろしい事を・・・)
ミズキは戦慄した・・・単純だが有効な作戦だ。
そこまで対策されてしまうと、もう魔王の存在は脅しにならない。
かといってミズキ自ら魔王として戦う選択肢も危険すぎる。
ミズキはエレスナーデを睨んでいた。
・・・やはりこの人物は危険だ、彼女こそ魔王ミズキの天敵だったのかもしれない。
「ミズキちゃん?そんなこわい顔してどうしたの?」
「え・・・私そんな顔してたかな・・・あはは・・・」
「マユミ、この子は?」
エレスナーデに尋ねられて、マユミはようやくミズキについて説明を始める。
「この子はミズキちゃんっていうんだけど、実は私と同じで異世界の人なの」
「え・・・」
「なん・・・だと・・・」
マユミのその発言に、その場に居合わせた者達が驚愕の表情を浮かべた。
特に過去の英雄についての知識のある二人、辺境伯とエレスナーデの反応は顕著だ。
彼らの知る限り、異世界の英雄が二人現れたという前例はないのだ。
「ん・・・水樹ダイアナです、あっちでは作家をやってました・・・あ、原稿が・・・」
そんな彼らの反応を気にしてかミズキは自己紹介・・・落とした原稿にようやく気付いた。
慌てて紙を拾い集める・・・周囲からの視線に晒されて冷や汗が流れた。
「あ、ちなみに『英雄の力』みたいなのは無いです、ごめんなさい」
「そこも私と同じなんだ・・・」
「え・・・マユミ様、『力』ないの?」
「うん、何もないよ・・・たぶん」
「えええええええ」
今明かされた真実・・・これまで自分は何を恐れていたのか・・・
ミズキは力なくうなだれた。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】貧乏令嬢の野草による領地改革
うみの渚
ファンタジー
八歳の時に木から落ちて頭を打った衝撃で、前世の記憶が蘇った主人公。
優しい家族に恵まれたが、家はとても貧乏だった。
家族のためにと、前世の記憶を頼りに寂れた領地を皆に支えられて徐々に発展させていく。
主人公は、魔法・知識チートは持っていません。
加筆修正しました。
お手に取って頂けたら嬉しいです。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
そのご寵愛、理由が分かりません
秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。
幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに——
「君との婚約はなかったことに」
卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り!
え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー!
領地に帰ってスローライフしよう!
そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて——
「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」
……は???
お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!?
刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり——
気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。
でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……?
夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー!
理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。
※毎朝6時、夕方18時更新!
※他のサイトにも掲載しています。
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
貴族令嬢、転生十秒で家出します。目指せ、おひとり様スローライフ
凜
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞にて奨励賞を頂きました。ありがとうございます!
貴族令嬢に転生したリルは、前世の記憶に混乱しつつも今世で恵まれていない環境なことに気が付き、突発で家出してしまう。
前世の社畜生活で疲れていたため、山奥で魔法の才能を生かしスローライフを目指すことにした。しかししょっぱなから魔物に襲われ、元王宮魔法士と出会ったり、はては皇子までやってきてと、なんだかスローライフとは違う毎日で……?
さようならの定型文~身勝手なあなたへ
宵森みなと
恋愛
「好きな女がいる。君とは“白い結婚”を——」
――それは、夢にまで見た結婚式の初夜。
額に誓いのキスを受けた“その夜”、彼はそう言った。
涙すら出なかった。
なぜなら私は、その直前に“前世の記憶”を思い出したから。
……よりによって、元・男の人生を。
夫には白い結婚宣言、恋も砕け、初夜で絶望と救済で、目覚めたのは皮肉にも、“現実”と“前世”の自分だった。
「さようなら」
だって、もう誰かに振り回されるなんて嫌。
慰謝料もらって悠々自適なシングルライフ。
別居、自立して、左団扇の人生送ってみせますわ。
だけど元・夫も、従兄も、世間も――私を放ってはくれないみたい?
「……何それ、私の人生、まだ波乱あるの?」
はい、あります。盛りだくさんで。
元・男、今・女。
“白い結婚からの離縁”から始まる、人生劇場ここに開幕。
-----『白い結婚の行方』シリーズ -----
『白い結婚の行方』の物語が始まる、前のお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる