41 / 90
第41話 妖精の姫です
しおりを挟む
そして迎えた公演初日。
開場時間まではだいぶ余裕があるので、マユミは『海猫亭』で一仕事してから会場に向かう事にした。
(私も負けないよ、ミーアちゃん)
ミーアをライバル視と言う程ではないが、彼女の存在はマユミにとっていい刺激になっていた・・・早朝練習にも気合が入る。
今日はマユミの二つしかないレパートリーのもう一つ、エレスナーデの本を原作にした恋愛物をやるつもりだが・・・
(そろそろ新しい話にも挑戦したいな・・・)
回数をこなして慣れてくるのは良いのだが・・・同時に緊張感も緩んでくるものだ・・・あまり同じ話ばかりやっているのも問題と言えた。
「物語・・・ですか?」
何か良い題材がないか、とりあえず今目の前にいたバートに尋ねてみることにした。
「うん、本になってるような物語でも良いし、口伝えに語られてきた伝承なんかでも構わないんだけど・・・出来れば女の人がメインで出てくるようなのがあると助かるかなって・・・」
「そうですね・・・この辺りの伝承で、海の乙女の話がありますが・・・」
(海の乙女・・・人魚姫的なやつかな・・・)
人魚姫と言えば、シンデレラと並んで有名な話だが・・・この世界だと人魚が普通に実在していそうという理由でマユミはやらないでいたのだ。
「それはどういうお話なんですか?」
「それはまだこの街が港街として発達する前、まだ海洋航路が確立される前の話だそうですが・・・」
歌の上手な一人の少女がいたという・・・
しかし、彼女は生まれつき身体が弱く、大勢の人の前で歌うなどとても出来る状態ではなかったらしい。
そんな彼女の支えだったのが幼馴染の青年の存在だ。
彼は漁師をしていたのだが、仕事の合間を縫って彼女のために薬草を届けたりしていたらしい。
そんな彼のためにだけ彼女は歌を歌っていたのだ。
だがそんな二人のささやかな日常は、長くは続かなかった・・・当時は戦乱の時代、当然この街にも戦火が及んだのだ。
(そういえばここは元々城塞都市だったって伯爵様が言ってたっけ・・・)
「そこで一般市民は船で遠方へ逃れる事になったのですが・・・病弱な彼女は船旅に耐えられないだろうと街に残ったのです」
「わかる・・・船酔いはしんどいもんね・・・」
この街に来るまでに船酔いで酷い目にあったマユミとしては彼女の気持ちがよくわかった。
自分自身が辛いというのももちろんだが、足手まといになってしまうのも精神的にきつかった。
おそらく彼女も・・・そう思うと、この少女には親近感が湧く・・・
当然、幼馴染の青年も街に残ろうと言うのだが、避難民には船を扱える者が少なく、彼の力が必要だったのだ。
私はここであなたが帰ってくるのを待ちます・・・そう言って彼を送り出した後、少女は一人岬に立ち歌い続けたという・・・その歌声が目印だと言わんばかりに。
それ以来、嵐などで船が迷った時に、どこからか歌声が聞こえてくるという・・・その歌声の方へ進めば、その船は無事に港へ帰ることが出来るらしい。
「・・・という言い伝えが、この辺りの船乗りを中心に語られています」
昔話と言うには微妙に過去の真実も含んでいそうな、少々意味深な話だった。
「良い話だけど・・・その船乗り相手に語るには厳しそうかな・・・」
「ああ、たしかに・・・この街の船乗りであれば誰もが知っている話でした、お役に立てず申し訳ありません」
「いやいや、他所では充分通用すると思うよ、あと私達みたいな観光客相手とかなら良いんじゃないかな」
この地では誰もが知る周知の物語でも、他所では珍しい物語となる。
それが吟遊詩人があちこち旅をする理由の一つでもあるのだろう・・・侯爵領へ帰った時にでもこの話をやろうと、しっかり書き留めておくマユミだった。
その後、予定通り『海猫亭』で一仕事を終えたマユミ達は、広場に作られた特設ステージへと向かった。
広場に半円状に作られた舞台を囲むように座席が設けられている。
銀貨2枚もしたチケットだけあってマユミ達の席は最前列だ。
いかにも大衆演劇といった感じで観劇しながらの飲み食いは問題ないようだ、あちこちに飲み物を売り歩いている者がいる。
座席の後ろの方には串焼き料理などの屋台も設置されていた。
舞台には幕や背景のようなものはなく、袖の方には出演者が控えるスペースがあるようだ。
おそらくミーアもそこにいるのだろう。
「舞台鑑賞とか久しぶりだから楽しみだな・・・」
「マユミ殿は何度か見たことがあるのですね」
「私達はこういうのは初めてだから楽しみだわ」
「そうなんだ」
この世界では舞台演劇もまだ珍しいのだろうか・・・あるいはオペラとかそういうのは別物扱いなのか。
マユミがそんな事を考えている間に、舞台では動きがあったようだ。
「誰か出てきました」
「あれは・・・この一座の主かしら?」
タキシード風の服を着た中年の男が舞台に上がる・・・どうやら開演の前に座長が挨拶をするようだ。
「えー、皆様、本日はよくお越しくださいました。一座を代表してお礼を申し上げます」
座長の挨拶に拍手で応える観客達・・・そこに「挨拶なんていいから早く始めろ」というヤジが混ざる。
「おやおや、これは申し訳ありません・・・皆様お待ちかねのご様子なので、さっそく開演と致しましょう・・・それでは、ごゆっくりお楽しみくださいませ」
そう言いながら座長が舞台から降りる・・・いよいよ開演するようだ。
「さぁ、今宵皆様がお目にかけるは今を遡る事数百年・・・激動の時代に翻弄された、一つの恋の物語でございます」
道化師の姿をした男が軽快に踊りながら舞台に現れる。
彼があらましを語る所から物語が始まるようだ。
「時の王ヴァルナード一世は武勇に長けた覇道の王、周辺諸国を次々と攻め落としていました」
王と思しき役の人物が袖から出てきた。
道化師は王を称える言葉を並べながら王の周りをぐるぐる回る。
「彼には息子が一人、第一王子ライルードは品行方正、次代の王として将来を期待された若者だ」
王の反対側から出てきたのは一人の若者・・・おそらく彼が主人公の王子なのだろう。
「我が息子ライルードよ、かの国を攻略するにあたりお前に兵を与える!別動隊を率いて森を抜け敵の背後を突くのだ!」
「はっ、必ずや父上のご期待に応えて見せましょう」
王は袖に下がり、王子が部下達と森を進む場面に切り替わる。
やはり道化が解説役としてついて回るようで舞台狭しと動き回っていた。
「王に命じられたまま森を進む王子・・・彼はそこで運命的な出会いをするのです!」
道化が大げさに語って注意をひきつけている、その隙に・・・舞台の隅で花が一つ、今まさに開こうとしていた。
「そこに・・・誰かいるのですか?」
その声に振り向いたのは舞台の上の王子だけではあるまい。
・・・客達もまたその少女に釘付けとなっていた。
「そう・・・彼女こそ森の妖精族の姫君、その名は・・・」
「ミーアちゃん・・・綺麗・・・」
思わずマユミはつぶやいた・・・
舞台の上の彼女はまさしく妖精・・・会場の誰もが、そう感じたのだった。
開場時間まではだいぶ余裕があるので、マユミは『海猫亭』で一仕事してから会場に向かう事にした。
(私も負けないよ、ミーアちゃん)
ミーアをライバル視と言う程ではないが、彼女の存在はマユミにとっていい刺激になっていた・・・早朝練習にも気合が入る。
今日はマユミの二つしかないレパートリーのもう一つ、エレスナーデの本を原作にした恋愛物をやるつもりだが・・・
(そろそろ新しい話にも挑戦したいな・・・)
回数をこなして慣れてくるのは良いのだが・・・同時に緊張感も緩んでくるものだ・・・あまり同じ話ばかりやっているのも問題と言えた。
「物語・・・ですか?」
何か良い題材がないか、とりあえず今目の前にいたバートに尋ねてみることにした。
「うん、本になってるような物語でも良いし、口伝えに語られてきた伝承なんかでも構わないんだけど・・・出来れば女の人がメインで出てくるようなのがあると助かるかなって・・・」
「そうですね・・・この辺りの伝承で、海の乙女の話がありますが・・・」
(海の乙女・・・人魚姫的なやつかな・・・)
人魚姫と言えば、シンデレラと並んで有名な話だが・・・この世界だと人魚が普通に実在していそうという理由でマユミはやらないでいたのだ。
「それはどういうお話なんですか?」
「それはまだこの街が港街として発達する前、まだ海洋航路が確立される前の話だそうですが・・・」
歌の上手な一人の少女がいたという・・・
しかし、彼女は生まれつき身体が弱く、大勢の人の前で歌うなどとても出来る状態ではなかったらしい。
そんな彼女の支えだったのが幼馴染の青年の存在だ。
彼は漁師をしていたのだが、仕事の合間を縫って彼女のために薬草を届けたりしていたらしい。
そんな彼のためにだけ彼女は歌を歌っていたのだ。
だがそんな二人のささやかな日常は、長くは続かなかった・・・当時は戦乱の時代、当然この街にも戦火が及んだのだ。
(そういえばここは元々城塞都市だったって伯爵様が言ってたっけ・・・)
「そこで一般市民は船で遠方へ逃れる事になったのですが・・・病弱な彼女は船旅に耐えられないだろうと街に残ったのです」
「わかる・・・船酔いはしんどいもんね・・・」
この街に来るまでに船酔いで酷い目にあったマユミとしては彼女の気持ちがよくわかった。
自分自身が辛いというのももちろんだが、足手まといになってしまうのも精神的にきつかった。
おそらく彼女も・・・そう思うと、この少女には親近感が湧く・・・
当然、幼馴染の青年も街に残ろうと言うのだが、避難民には船を扱える者が少なく、彼の力が必要だったのだ。
私はここであなたが帰ってくるのを待ちます・・・そう言って彼を送り出した後、少女は一人岬に立ち歌い続けたという・・・その歌声が目印だと言わんばかりに。
それ以来、嵐などで船が迷った時に、どこからか歌声が聞こえてくるという・・・その歌声の方へ進めば、その船は無事に港へ帰ることが出来るらしい。
「・・・という言い伝えが、この辺りの船乗りを中心に語られています」
昔話と言うには微妙に過去の真実も含んでいそうな、少々意味深な話だった。
「良い話だけど・・・その船乗り相手に語るには厳しそうかな・・・」
「ああ、たしかに・・・この街の船乗りであれば誰もが知っている話でした、お役に立てず申し訳ありません」
「いやいや、他所では充分通用すると思うよ、あと私達みたいな観光客相手とかなら良いんじゃないかな」
この地では誰もが知る周知の物語でも、他所では珍しい物語となる。
それが吟遊詩人があちこち旅をする理由の一つでもあるのだろう・・・侯爵領へ帰った時にでもこの話をやろうと、しっかり書き留めておくマユミだった。
その後、予定通り『海猫亭』で一仕事を終えたマユミ達は、広場に作られた特設ステージへと向かった。
広場に半円状に作られた舞台を囲むように座席が設けられている。
銀貨2枚もしたチケットだけあってマユミ達の席は最前列だ。
いかにも大衆演劇といった感じで観劇しながらの飲み食いは問題ないようだ、あちこちに飲み物を売り歩いている者がいる。
座席の後ろの方には串焼き料理などの屋台も設置されていた。
舞台には幕や背景のようなものはなく、袖の方には出演者が控えるスペースがあるようだ。
おそらくミーアもそこにいるのだろう。
「舞台鑑賞とか久しぶりだから楽しみだな・・・」
「マユミ殿は何度か見たことがあるのですね」
「私達はこういうのは初めてだから楽しみだわ」
「そうなんだ」
この世界では舞台演劇もまだ珍しいのだろうか・・・あるいはオペラとかそういうのは別物扱いなのか。
マユミがそんな事を考えている間に、舞台では動きがあったようだ。
「誰か出てきました」
「あれは・・・この一座の主かしら?」
タキシード風の服を着た中年の男が舞台に上がる・・・どうやら開演の前に座長が挨拶をするようだ。
「えー、皆様、本日はよくお越しくださいました。一座を代表してお礼を申し上げます」
座長の挨拶に拍手で応える観客達・・・そこに「挨拶なんていいから早く始めろ」というヤジが混ざる。
「おやおや、これは申し訳ありません・・・皆様お待ちかねのご様子なので、さっそく開演と致しましょう・・・それでは、ごゆっくりお楽しみくださいませ」
そう言いながら座長が舞台から降りる・・・いよいよ開演するようだ。
「さぁ、今宵皆様がお目にかけるは今を遡る事数百年・・・激動の時代に翻弄された、一つの恋の物語でございます」
道化師の姿をした男が軽快に踊りながら舞台に現れる。
彼があらましを語る所から物語が始まるようだ。
「時の王ヴァルナード一世は武勇に長けた覇道の王、周辺諸国を次々と攻め落としていました」
王と思しき役の人物が袖から出てきた。
道化師は王を称える言葉を並べながら王の周りをぐるぐる回る。
「彼には息子が一人、第一王子ライルードは品行方正、次代の王として将来を期待された若者だ」
王の反対側から出てきたのは一人の若者・・・おそらく彼が主人公の王子なのだろう。
「我が息子ライルードよ、かの国を攻略するにあたりお前に兵を与える!別動隊を率いて森を抜け敵の背後を突くのだ!」
「はっ、必ずや父上のご期待に応えて見せましょう」
王は袖に下がり、王子が部下達と森を進む場面に切り替わる。
やはり道化が解説役としてついて回るようで舞台狭しと動き回っていた。
「王に命じられたまま森を進む王子・・・彼はそこで運命的な出会いをするのです!」
道化が大げさに語って注意をひきつけている、その隙に・・・舞台の隅で花が一つ、今まさに開こうとしていた。
「そこに・・・誰かいるのですか?」
その声に振り向いたのは舞台の上の王子だけではあるまい。
・・・客達もまたその少女に釘付けとなっていた。
「そう・・・彼女こそ森の妖精族の姫君、その名は・・・」
「ミーアちゃん・・・綺麗・・・」
思わずマユミはつぶやいた・・・
舞台の上の彼女はまさしく妖精・・・会場の誰もが、そう感じたのだった。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
貴族令嬢、転生十秒で家出します。目指せ、おひとり様スローライフ
凜
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞にて奨励賞を頂きました。ありがとうございます!
貴族令嬢に転生したリルは、前世の記憶に混乱しつつも今世で恵まれていない環境なことに気が付き、突発で家出してしまう。
前世の社畜生活で疲れていたため、山奥で魔法の才能を生かしスローライフを目指すことにした。しかししょっぱなから魔物に襲われ、元王宮魔法士と出会ったり、はては皇子までやってきてと、なんだかスローライフとは違う毎日で……?
さようならの定型文~身勝手なあなたへ
宵森みなと
恋愛
「好きな女がいる。君とは“白い結婚”を——」
――それは、夢にまで見た結婚式の初夜。
額に誓いのキスを受けた“その夜”、彼はそう言った。
涙すら出なかった。
なぜなら私は、その直前に“前世の記憶”を思い出したから。
……よりによって、元・男の人生を。
夫には白い結婚宣言、恋も砕け、初夜で絶望と救済で、目覚めたのは皮肉にも、“現実”と“前世”の自分だった。
「さようなら」
だって、もう誰かに振り回されるなんて嫌。
慰謝料もらって悠々自適なシングルライフ。
別居、自立して、左団扇の人生送ってみせますわ。
だけど元・夫も、従兄も、世間も――私を放ってはくれないみたい?
「……何それ、私の人生、まだ波乱あるの?」
はい、あります。盛りだくさんで。
元・男、今・女。
“白い結婚からの離縁”から始まる、人生劇場ここに開幕。
-----『白い結婚の行方』シリーズ -----
『白い結婚の行方』の物語が始まる、前のお話です。
【完結】貧乏令嬢の野草による領地改革
うみの渚
ファンタジー
八歳の時に木から落ちて頭を打った衝撃で、前世の記憶が蘇った主人公。
優しい家族に恵まれたが、家はとても貧乏だった。
家族のためにと、前世の記憶を頼りに寂れた領地を皆に支えられて徐々に発展させていく。
主人公は、魔法・知識チートは持っていません。
加筆修正しました。
お手に取って頂けたら嬉しいです。
【完結】追放された子爵令嬢は実力で這い上がる〜家に帰ってこい?いえ、そんなのお断りです〜
Nekoyama
ファンタジー
魔法が優れた強い者が家督を継ぐ。そんな実力主義の子爵家の養女に入って4年、マリーナは魔法もマナーも勉学も頑張り、貴族令嬢にふさわしい教養を身に付けた。来年に魔法学園への入学をひかえ、期待に胸を膨らませていた矢先、家を追放されてしまう。放り出されたマリーナは怒りを胸に立ち上がり、幸せを掴んでいく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる