42 / 90
第42話 フィリア物語です
しおりを挟む
舞台の上の妖精・・・草花をイメージした緑のドレスを身に纏ったミーアはまさしく森の姫君だった。
アップになった髪型によって尖った耳が見えやすくなっていた・・・なかなかに演出が細かい。
「おお、なんと美しい・・・森には妖精が住むと聞いていたが、貴方がその妖精なのか」
「そう、私は妖精族の姫フィーリア、あなたは人間ね・・・今すぐ森から立ち去りなさい」
姫の美しさの心奪われる王子、しかし姫は毅然とした態度で王子達に森からの退去を促す。
その大人びた美しい声がまた彼女の存在感を増していた。
(やっぱり声に力があるなぁ・・・)
舞台においても声は重要だ・・・マユミ達のいる最前列ともなれば役者の表情まではっきりと見えるが、後ろの席になればなるほど見えにくくなる・・・立ち見の最後列ともなれば顔もなにもわからない。
そこを声が補うのだ・・・ミーアの美しい声はそれだけで美しい姫であることが伝わってくる。
(でも、こっちの人たちは視力が良いみたいだから見えてるかも知れないけど・・・)
その点で現代人の視力そのままのマユミとしては最前列は正解だった。
もしも立ち見だったら声以外よくわからない、なんてことになりかねない。
物語は進む・・・妖精の姫の要請に従い、森を出た王子達はそのせいで敵軍への奇襲に失敗、多くの部下を失い自身もまた重傷を負ってしまう。
そして敵に追われ逃げ続けるうちに森の中に迷い込み・・・そこで再び姫と出会うのだった。
「そうか・・・逃げ続けるうちにまたこの森に・・・くぅっ・・・」
「まぁ、酷い怪我だわ・・・いったい何があったのです」
重傷を負って倒れた王子の姿に責任を感じた姫は王子を森に匿い、その傷が治るまで甲斐甲斐しく世話をした。
・・・そしていつしか二人は恋に落ちるのである。
静かな森の中、二人の幸せな時間が過ぎていく・・・しかし・・・
「馬鹿な・・・我が息子が敗れた・・・だと」
「はっ、殿下率いる部隊は森で妖精族に阻まれた為に敵の背後を突くことが叶わず、敵軍の攻撃を受け壊走・・・殿下の生死も不明とのことであります」
「おのれ・・・なにが森の妖精か!あの森を焼き払え、敵軍もろともうち滅ぼしてくれるわ!」
激怒した国王は大軍を集め、その半数を敵軍に、残りの半数を連れて自ら森への焼き討ちを敢行する。
「ああ・・・森が・・・」
「私が父上を説得して止めさせる、それまでフィーリアは安全な所に隠れているんだ」
そう言って駆けていく王子・・・しかし入れ替わるように現れた兵士達によってフィーリアは捕えられてしまうのだった。
王子の説得もむなしく森は焼け落ち、捕えられたフィーリアは塔に幽閉されてしまう。
彼は父王に彼女の解放を願ったが、それが聞き入れられることはなかった。
彼に許されたのは幽閉されたフィーリアに面会に行くことだけだった。
「すまないフィーリア、私のせいでこんなことに・・・」
「ライルード様・・・どうかご自分を責めないで・・・こうして会いに来てくれるだけでも私は・・・」
二人が逢瀬を繰り返すその間も国王による侵略は続いていた。
国王の軍は負け知らずで多くの国が併合されていったが・・・力によって支配された人々の間では徐々に不満が高まっていった。
戦に明け暮れる暴君を討つべし・・・反国王派とも言うべき派閥が密かに広がっていく・・・そして・・・
「殿下、王を打つ事が出来るのはあなたを置いて他にありませぬ」
「どうか民の為にお立ちください」
「諸君らの気持ちはわかるが、私に父を討つなど・・・」
いかに民を苦しめる暴君と言えど実の父親・・・果たして自分に父殺しが出来るのか・・・迷う彼の耳に囁く者がいた。
王子に募る諸侯に混ざった道化の男が王子に近寄り、耳元で囁くような素振りで語る。
「そういえば・・・王の命で塔に捕らわれている姫君がいると聞きましたが・・・もしも王を討つべく殿下が立たれれば・・・かの姫君も救い出す事が出来るのではありますまいか?」
「・・・」
迷った末に王子は決意する・・・愛しい姫の為に父を・・・暴君をこの手で討つと・・・
「フィーリア、助けに来た、ここを出るんだ」
「ですがライルード様・・・あなたはどうなされるおつもりですか?」
王子の気配から何かを感じ取った彼女が尋ねる。
「父を・・・国王を討つ事にした・・・多くの民がそれを望んでいる」
「いけません、父親を自らの手で殺めるなど・・・」
「父は多くの罪を重ねてきた暴君だ・・・それにこのままではフィーリアが・・・」
「やはり私のせい、なのですね・・・」
「それは違・・・」
「お願いです・・・私などの為にあなたが傷つくところをもう見たくないのです」
「すまない、もう決めたんだ・・・私は父を、王を討つ・・・そして貴女を妻に迎えると」
「!」
「私と共に来てくれないか?」
「・・・ですが私は人間では・・・」
「構わない・・・フィーリア、愛してる」
「はい・・・私も愛しています・・・」
王子が彼女を抱き締める・・・そして口付けを交わす二人・・・客席から歓声が上がった。
しかし話はまだ終わらない。
ライルード王子による反乱は多くの支持を集め日増しにその規模を拡大していく。
かつてはその武で名を馳せた国王だったが、次第に追い詰められていくにつれ、その心を狂気に囚われていく・・・
「森の妖精・・・息子を惑わす悪魔よ・・・」
彼の憎しみの対象は自らに刃を向ける息子ではなく、フィーリアへと向かったのだった。
そして迎えた決戦の時、フィーリアは王子の傍らを離れたくないと戦場に付き添っていた。
「我が父よ、もはやこれ以上の犠牲を出す事はない、今この手でその罪を断ち切って見せる」
「良いだろう我が息子よ、この父を超える事が出来るものならば、やって見せるがいい」
フィーリアが見守る中、父と子の一騎打ちが始まった。
殺陣のような技術とは違い、実戦さながらに剣を打ち合わせる二人に観客が息を飲む。
互角の戦いを繰り広げる二人だが、次第に国王の動きが鈍くなり、その剣が弾かれた・・・そして・・・
「父よ、これで終わりだ!」
「くぅ・・・させるかあっ!」
最後の足掻きとばかりに短剣を投げるも、それは王子に当たることなく・・・
「でやあああああっ!」
「ぐああああああ!」
王子が振り下ろした剣によって、暴君は絶命するのだった。
「やったぞフィーリア、これで私達は・・・フィーリア?!」
見ると、フィーリアが胸を押さえてうずくまっている・・・その手元には血のついた短剣。
先程、王が投げた短剣だ・・・彼はその最期にフィーリアを狙って投げたのだった。
駆け寄った王子の腕の中・・・緑のドレスが赤く染まっていく・・・
「ライルード・・・さま・・・」
「ああ・・・フィーリア・・・私は・・・」
「どうか・・・ご自分を責めないで・・・あなたはきっと・・・良き王に・・・」
「なるとも!良き王に・・・だからフィーリア、ずっと傍に・・・」
「大丈夫・・・私はよ・・せい・・・森に・・・帰るだけ・・・森と共にあな・・・を・・・」
「フィーリア?!うわああああああああ!」
力なく崩れ落ちるフィーリア・・・王子はその亡骸を抱きかかえ、ゆっくりと歩いていく・・・
やがて舞台袖へと二人が消えると、道化が現れ物語を締めくくる。
「その後王位に就いたライルード一世は善政を敷いて戦に疲弊した国を立て直した、と伝えられております・・・彼はまさしく良き王となったのです」
ここまでくると観客たちは私語もなく、その話を静かに聞き入っていた。
そんな中、マユミは冷静に彼の技量を値踏みしていた・・・
(この人、良く動けるし、芝居も上手いけど・・・ちょっと声量が足りないかな・・・)
・・・声に対しては少々厳しいマユミだった。
確かに最前列のマユミ達が聞いている分にはちょうどいいが、後ろの方では少し聞き取りにくいかも知れない・・・観客が静かにしている理由もその声を聞き逃したくないからかも知れない。
「・・・妖精の姫フィーリアの亡骸は彼によって手厚く葬られました・・・その地は後に彼女の名前を取ってフィリアと名付けられ、街となり、森の妖精族と友好的な関係を築いて栄えたと言われております」
(フィリア・・・そういえばそんな街もあったわね・・・)
エレスナーデは王国の東の方にそんな名前の街がある事を思い出していた。
この物語はその街の伝承がベースなのだろうか・・・
「以上を持ちまして、フィリア物語・・・これにて終演となります」
そう言って道化が一礼すると、舞台袖から出演者たちが現れ、整列した。
もちろんフィーリア役のミーアもいる・・・彼女は王子役の男性と共に先頭で一礼した。
「「「ありがとうございました!」」」
精一杯役を演じきった彼らに、割れんばかりの拍手が鳴り響く・・・
こうして彼ら椋鳥一座の初日公演は幕を閉じたのであった。
アップになった髪型によって尖った耳が見えやすくなっていた・・・なかなかに演出が細かい。
「おお、なんと美しい・・・森には妖精が住むと聞いていたが、貴方がその妖精なのか」
「そう、私は妖精族の姫フィーリア、あなたは人間ね・・・今すぐ森から立ち去りなさい」
姫の美しさの心奪われる王子、しかし姫は毅然とした態度で王子達に森からの退去を促す。
その大人びた美しい声がまた彼女の存在感を増していた。
(やっぱり声に力があるなぁ・・・)
舞台においても声は重要だ・・・マユミ達のいる最前列ともなれば役者の表情まではっきりと見えるが、後ろの席になればなるほど見えにくくなる・・・立ち見の最後列ともなれば顔もなにもわからない。
そこを声が補うのだ・・・ミーアの美しい声はそれだけで美しい姫であることが伝わってくる。
(でも、こっちの人たちは視力が良いみたいだから見えてるかも知れないけど・・・)
その点で現代人の視力そのままのマユミとしては最前列は正解だった。
もしも立ち見だったら声以外よくわからない、なんてことになりかねない。
物語は進む・・・妖精の姫の要請に従い、森を出た王子達はそのせいで敵軍への奇襲に失敗、多くの部下を失い自身もまた重傷を負ってしまう。
そして敵に追われ逃げ続けるうちに森の中に迷い込み・・・そこで再び姫と出会うのだった。
「そうか・・・逃げ続けるうちにまたこの森に・・・くぅっ・・・」
「まぁ、酷い怪我だわ・・・いったい何があったのです」
重傷を負って倒れた王子の姿に責任を感じた姫は王子を森に匿い、その傷が治るまで甲斐甲斐しく世話をした。
・・・そしていつしか二人は恋に落ちるのである。
静かな森の中、二人の幸せな時間が過ぎていく・・・しかし・・・
「馬鹿な・・・我が息子が敗れた・・・だと」
「はっ、殿下率いる部隊は森で妖精族に阻まれた為に敵の背後を突くことが叶わず、敵軍の攻撃を受け壊走・・・殿下の生死も不明とのことであります」
「おのれ・・・なにが森の妖精か!あの森を焼き払え、敵軍もろともうち滅ぼしてくれるわ!」
激怒した国王は大軍を集め、その半数を敵軍に、残りの半数を連れて自ら森への焼き討ちを敢行する。
「ああ・・・森が・・・」
「私が父上を説得して止めさせる、それまでフィーリアは安全な所に隠れているんだ」
そう言って駆けていく王子・・・しかし入れ替わるように現れた兵士達によってフィーリアは捕えられてしまうのだった。
王子の説得もむなしく森は焼け落ち、捕えられたフィーリアは塔に幽閉されてしまう。
彼は父王に彼女の解放を願ったが、それが聞き入れられることはなかった。
彼に許されたのは幽閉されたフィーリアに面会に行くことだけだった。
「すまないフィーリア、私のせいでこんなことに・・・」
「ライルード様・・・どうかご自分を責めないで・・・こうして会いに来てくれるだけでも私は・・・」
二人が逢瀬を繰り返すその間も国王による侵略は続いていた。
国王の軍は負け知らずで多くの国が併合されていったが・・・力によって支配された人々の間では徐々に不満が高まっていった。
戦に明け暮れる暴君を討つべし・・・反国王派とも言うべき派閥が密かに広がっていく・・・そして・・・
「殿下、王を打つ事が出来るのはあなたを置いて他にありませぬ」
「どうか民の為にお立ちください」
「諸君らの気持ちはわかるが、私に父を討つなど・・・」
いかに民を苦しめる暴君と言えど実の父親・・・果たして自分に父殺しが出来るのか・・・迷う彼の耳に囁く者がいた。
王子に募る諸侯に混ざった道化の男が王子に近寄り、耳元で囁くような素振りで語る。
「そういえば・・・王の命で塔に捕らわれている姫君がいると聞きましたが・・・もしも王を討つべく殿下が立たれれば・・・かの姫君も救い出す事が出来るのではありますまいか?」
「・・・」
迷った末に王子は決意する・・・愛しい姫の為に父を・・・暴君をこの手で討つと・・・
「フィーリア、助けに来た、ここを出るんだ」
「ですがライルード様・・・あなたはどうなされるおつもりですか?」
王子の気配から何かを感じ取った彼女が尋ねる。
「父を・・・国王を討つ事にした・・・多くの民がそれを望んでいる」
「いけません、父親を自らの手で殺めるなど・・・」
「父は多くの罪を重ねてきた暴君だ・・・それにこのままではフィーリアが・・・」
「やはり私のせい、なのですね・・・」
「それは違・・・」
「お願いです・・・私などの為にあなたが傷つくところをもう見たくないのです」
「すまない、もう決めたんだ・・・私は父を、王を討つ・・・そして貴女を妻に迎えると」
「!」
「私と共に来てくれないか?」
「・・・ですが私は人間では・・・」
「構わない・・・フィーリア、愛してる」
「はい・・・私も愛しています・・・」
王子が彼女を抱き締める・・・そして口付けを交わす二人・・・客席から歓声が上がった。
しかし話はまだ終わらない。
ライルード王子による反乱は多くの支持を集め日増しにその規模を拡大していく。
かつてはその武で名を馳せた国王だったが、次第に追い詰められていくにつれ、その心を狂気に囚われていく・・・
「森の妖精・・・息子を惑わす悪魔よ・・・」
彼の憎しみの対象は自らに刃を向ける息子ではなく、フィーリアへと向かったのだった。
そして迎えた決戦の時、フィーリアは王子の傍らを離れたくないと戦場に付き添っていた。
「我が父よ、もはやこれ以上の犠牲を出す事はない、今この手でその罪を断ち切って見せる」
「良いだろう我が息子よ、この父を超える事が出来るものならば、やって見せるがいい」
フィーリアが見守る中、父と子の一騎打ちが始まった。
殺陣のような技術とは違い、実戦さながらに剣を打ち合わせる二人に観客が息を飲む。
互角の戦いを繰り広げる二人だが、次第に国王の動きが鈍くなり、その剣が弾かれた・・・そして・・・
「父よ、これで終わりだ!」
「くぅ・・・させるかあっ!」
最後の足掻きとばかりに短剣を投げるも、それは王子に当たることなく・・・
「でやあああああっ!」
「ぐああああああ!」
王子が振り下ろした剣によって、暴君は絶命するのだった。
「やったぞフィーリア、これで私達は・・・フィーリア?!」
見ると、フィーリアが胸を押さえてうずくまっている・・・その手元には血のついた短剣。
先程、王が投げた短剣だ・・・彼はその最期にフィーリアを狙って投げたのだった。
駆け寄った王子の腕の中・・・緑のドレスが赤く染まっていく・・・
「ライルード・・・さま・・・」
「ああ・・・フィーリア・・・私は・・・」
「どうか・・・ご自分を責めないで・・・あなたはきっと・・・良き王に・・・」
「なるとも!良き王に・・・だからフィーリア、ずっと傍に・・・」
「大丈夫・・・私はよ・・せい・・・森に・・・帰るだけ・・・森と共にあな・・・を・・・」
「フィーリア?!うわああああああああ!」
力なく崩れ落ちるフィーリア・・・王子はその亡骸を抱きかかえ、ゆっくりと歩いていく・・・
やがて舞台袖へと二人が消えると、道化が現れ物語を締めくくる。
「その後王位に就いたライルード一世は善政を敷いて戦に疲弊した国を立て直した、と伝えられております・・・彼はまさしく良き王となったのです」
ここまでくると観客たちは私語もなく、その話を静かに聞き入っていた。
そんな中、マユミは冷静に彼の技量を値踏みしていた・・・
(この人、良く動けるし、芝居も上手いけど・・・ちょっと声量が足りないかな・・・)
・・・声に対しては少々厳しいマユミだった。
確かに最前列のマユミ達が聞いている分にはちょうどいいが、後ろの方では少し聞き取りにくいかも知れない・・・観客が静かにしている理由もその声を聞き逃したくないからかも知れない。
「・・・妖精の姫フィーリアの亡骸は彼によって手厚く葬られました・・・その地は後に彼女の名前を取ってフィリアと名付けられ、街となり、森の妖精族と友好的な関係を築いて栄えたと言われております」
(フィリア・・・そういえばそんな街もあったわね・・・)
エレスナーデは王国の東の方にそんな名前の街がある事を思い出していた。
この物語はその街の伝承がベースなのだろうか・・・
「以上を持ちまして、フィリア物語・・・これにて終演となります」
そう言って道化が一礼すると、舞台袖から出演者たちが現れ、整列した。
もちろんフィーリア役のミーアもいる・・・彼女は王子役の男性と共に先頭で一礼した。
「「「ありがとうございました!」」」
精一杯役を演じきった彼らに、割れんばかりの拍手が鳴り響く・・・
こうして彼ら椋鳥一座の初日公演は幕を閉じたのであった。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
貴族令嬢、転生十秒で家出します。目指せ、おひとり様スローライフ
凜
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞にて奨励賞を頂きました。ありがとうございます!
貴族令嬢に転生したリルは、前世の記憶に混乱しつつも今世で恵まれていない環境なことに気が付き、突発で家出してしまう。
前世の社畜生活で疲れていたため、山奥で魔法の才能を生かしスローライフを目指すことにした。しかししょっぱなから魔物に襲われ、元王宮魔法士と出会ったり、はては皇子までやってきてと、なんだかスローライフとは違う毎日で……?
さようならの定型文~身勝手なあなたへ
宵森みなと
恋愛
「好きな女がいる。君とは“白い結婚”を——」
――それは、夢にまで見た結婚式の初夜。
額に誓いのキスを受けた“その夜”、彼はそう言った。
涙すら出なかった。
なぜなら私は、その直前に“前世の記憶”を思い出したから。
……よりによって、元・男の人生を。
夫には白い結婚宣言、恋も砕け、初夜で絶望と救済で、目覚めたのは皮肉にも、“現実”と“前世”の自分だった。
「さようなら」
だって、もう誰かに振り回されるなんて嫌。
慰謝料もらって悠々自適なシングルライフ。
別居、自立して、左団扇の人生送ってみせますわ。
だけど元・夫も、従兄も、世間も――私を放ってはくれないみたい?
「……何それ、私の人生、まだ波乱あるの?」
はい、あります。盛りだくさんで。
元・男、今・女。
“白い結婚からの離縁”から始まる、人生劇場ここに開幕。
-----『白い結婚の行方』シリーズ -----
『白い結婚の行方』の物語が始まる、前のお話です。
【完結】貧乏令嬢の野草による領地改革
うみの渚
ファンタジー
八歳の時に木から落ちて頭を打った衝撃で、前世の記憶が蘇った主人公。
優しい家族に恵まれたが、家はとても貧乏だった。
家族のためにと、前世の記憶を頼りに寂れた領地を皆に支えられて徐々に発展させていく。
主人公は、魔法・知識チートは持っていません。
加筆修正しました。
お手に取って頂けたら嬉しいです。
【完結】追放された子爵令嬢は実力で這い上がる〜家に帰ってこい?いえ、そんなのお断りです〜
Nekoyama
ファンタジー
魔法が優れた強い者が家督を継ぐ。そんな実力主義の子爵家の養女に入って4年、マリーナは魔法もマナーも勉学も頑張り、貴族令嬢にふさわしい教養を身に付けた。来年に魔法学園への入学をひかえ、期待に胸を膨らませていた矢先、家を追放されてしまう。放り出されたマリーナは怒りを胸に立ち上がり、幸せを掴んでいく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる