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第43話 その少女の光と影です
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クスマール大森林・・・王国からは東の方角、大陸中央部に広がる広大な森林である。
王国内では森と言えば「始まりの地」グリュモールの森が有名だが、世界的には森と言えばこちらの大森林である。
この森にはグリュモールを始めとする他の森にはない大きな特徴があった・・・妖精族の存在である。
妖精族は太古の昔よりこの森で暮らしていると言われているが、その正確な情報は知られていない。
千年前の大賢者と親交があったと伝えられているが、それ以前に関する情報はなく彼らが一体何者なのかは謎に包まれている。
ただ、彼らは魔力に優れた種族であり、複数の属性の魔術を操るとされ、森を脅かした人間に容赦なく攻撃してくるという話が各地に伝わっていた。
とは言え、それらの大半は欲に駆られた愚かな支配者達の自業自得である。
実際、森に程近い集落では彼らと友好的に共存共栄の道を歩んでいる者が多く、種族の壁を乗り越えた恋に落ち、混血の子供が生まれてくる事もあった。
ミーアもまた、種族を超えた恋によってこの世に産み落とされた混血の子・・・半妖精である。
森の近くの小さな村で、猟師をしていた父と妖精族の母の間に彼女は生まれた。
その村では僅かながら妖精族と交流があり、両親が結ばれる事への風当たりは悪くなかったらしい。
やがて生まれたミーアは両親の愛情を受けてすくすくと育っていった。
混血ゆえの影響か、ミーアは生まれつき身体が強い方ではなかったが頭の良い子で、幼いながらも健気に両親を助けよく働いた。
村の悪ガキ共の親達からは「うちもミーアちゃんみたいな素直な子供が欲しかった」と羨ましがられた程だ。
しかし、そんな彼女を不幸が襲った・・・村に疫病が蔓延したのだ。
ミーアの母は妖精族に伝わる薬草を用いて村人達の治療に当たった、父もまた薬草を採るために森と村を往復する日々だ。
二人の尽力のおかげで多くの村人の命は救われたが・・・今度はその二人が病に倒れてしまう。
しかし二人と違って特に知識のない村人達には何もすることが出来ず・・・二人はそのまま帰らぬ人となったのだ。
一人残されたミーアだったが、村の恩人の子供という事もあって引き取り手には困らなかった。
元々村で評判の素直な良い子だ、彼女は新しい家族に温かく迎えられた。
しかし彼らは大きな見込み違いをしていた事に、すぐに気が付くのである。
それは彼女のひ弱さだった。
彼女の身体の弱さをよく理解していた両親とは違い、新しい両親は自分たちの子供の体力を基準にして、ミーアにあれこれと命じたのである。
ミーアの評価が「素直な良い子」から「どんくさい子」へと変わるのに、そう時間はかからなかった。
与えられた仕事を満足にこなせないミーアの姿は家族にとってストレスの元になっていった・・・それはやがて虐待と呼べるものに発展していくのだが・・・実子でない事、そして混血である事がそれに拍車をかけ、彼女に味方する者は誰もいなかったのである。
そんな折に旅の一座・・・椋鳥一座が村にやってきたのだった。
ミーアの整った容姿に将来性を感じた座長と、いい加減ミーアの面倒を見るのに嫌気が差してきた両親。
互いの利害は綺麗に一致し、ミーアは一座に買い取られる事になったのだ。
その金額は・・・わずが銀貨20枚。
しかし座長はそんな事実をおくびにも出さず「お前には金が掛かっている」と嘯いてミーアに自分の芝居を叩きこんだ。
果たして、ミーアに才能があったのは幸か不幸か・・・ミーアは教わった以上に芝居を上達させていったが、その幼い身に不釣り合いな演技力が彼らに評価される事はなかったのである。
一座が彼女に求めたのは「可愛い一座のマスコット」であって「演技派女優」ではなかったのだ。
ミーアの演技は片っ端から否定された、もっと愛嬌良くしろ、客に媚びろと彼らは言う・・・しかし彼女には自分に要求された演技が不自然に感じられて仕方なかった。
意味の分からない演技を嫌々演じる日々・・・一座の人間に隠れて一人で自由に練習する時だけが彼女にとっての安息の時間だった。
・・・そこに現れたのがマユミである。
彼女がやりたがっていた本来の演技を、初めて認めてくれた。
マユミとの掛け合い練習は、彼女がずっとやりたいと願っていた芝居そのものだった・・・ミーアはあの時、芝居をやっていて初めて楽しいと感じられたのだ。
今日はそのマユミが彼女の舞台を見に来てくれている。
・・・最前列の中央・・・そこにマユミの姿を見つけた時・・・彼女の中で何かが弾けた。
一座の望む芝居なんて知ったことではない、今はただ自分の全力の演技を見せたい、と・・・
予定とは違う彼女の演技に、相手役の男は戸惑っていた・・・だが始まってしまった舞台はもう止められない。
今は・・・今だけは、誰にも邪魔は出来ない・・・彼女こそがこの舞台の支配者だ。
・・・そして舞台は終幕を迎える。
道化が語る間に血糊のついたドレスを脱ぎ捨て、終わりの挨拶をすべく再び舞台に上がった彼女を、大勢の観客の拍手が迎えた。
そして、真っ直ぐに自分を見つめるマユミと目が合った・・・果たして彼女には自分の演技がどう見えただろうか・・・
舞台が終わった後・・・ここにもう用はないとばかりにそそくさと立ち去る者もいれば、しばらく席を立たず余韻に浸る者もいる。
急に全員が出ようとしても出口で渋滞が起きるので様子見する者もいれば、仲間同士で感想を語り合う者達もいた。
一座の団員達・・・特にまだ衣装を着た出演者はこの場に残った客達に声を掛けて回る・・・次回に向けた営業の時間だ。
主役である王子役の男などは、自ら動くまでもなく女性客に囲まれていた。
ミーアはこの時間が苦手だった・・・舞台上で相手役と演じるのと、見知らぬ客の相手をするのは別次元の代物だ。
だが一座のマスコット的存在として、ミーアの元には少なからず客が寄ってくる・・・ここで愛想を振りまけと座長はいつも言っているが、人見知りをするミーアには無理な話だ。
しかし今日は違った・・・マユミ達がいる・・・終幕後すぐに最前列の彼女達の元に行く彼女を阻める者は存在しなかった。
「マユミ・・・今日は・・・その・・・」
「ミーアちゃん、お疲れ様、すごく良かったよ」
「あ・・・ありがとう」
ありがとう、観に来てくれて・・・ミーアの感謝の言葉よりも早く、マユミ達が彼女の労を褒め称える。
「ええ、素晴らしかったわ・・・マユミと同じくらい」
「や、私じゃあんなに上手くできないよ!」
「本当に甲乙付け難いものがありました・・・マユミ殿が気にかけるのも納得です」
「もう二人とも、今日の主役はミーアちゃんなんだからね!」
「ふふっ、そうね・・・明日の分のチケットはもう買えるのかしら?ぜひまた今日と同じ席をお願いしたいのだけど」
「あ、はい・・・ちょっと待ってて・・・」
チケットを取ってくるのだろう・・・ミーアはそう言って舞台袖の方へ駆けていく。
慌ててその背中にマユミ達が声を掛けた。
「あ、私もお願いするよー!」
「では私の分も、お願いします」
「あら、ゲオルグの分は私が出そうと思ったのだけど・・・エプレでも誘ってみようかしら?」
「あ、それいいかも・・・でもお店の方は大丈夫かな・・・」
「そうね、お芝居が始まる時間までに一日分稼いでしまう、というのはどうかしら?」
どうやら明日のマユミ達の予定は決まったようだ。
明日のチケットを探しに舞台袖までやってきたミーア、その足取りは軽い。
マユミ達は彼女の演技を褒めてくれた・・・決してお世辞の類ではなく、心からの称賛である。
観客達のあの拍手も、自分を認めてくれたという事なのだろうか・・・そう思うと頬が緩む。
(チケット・・・どこにあるんだろう・・・)
これまで自分でチケットを売るという事がほとんどなかった彼女だ・・・しかし他の団員はみな客の相手をしているので邪魔は出来ない。
ミーアはうろ覚えの記憶から、それらしいところを探すが・・・なかなか見つからないでいた。
・・・チケットを探す事に夢中になっていたミーアは気付かなかった。
背後から彼女を見つめる人影に・・・その殺意とも言うべき黒い感情に・・・
ガタッ・・・彼女がその音に気付いた時にはもう手遅れだった。
舞台袖には舞台で使われた道具の数々が所狭しと置かれている・・・その中の兵士用の武具・・・十本はある槍の束が彼女目掛けて・・・
ガシャン!・・・その音に気付くことが出来た者がどれ程いただろうか・・・
「・・・!」
声にならぬ悲鳴を上げたミーア・・・彼女を物陰から見つめながら・・・その人物・・・ビレッタはほくそ笑んだ。
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この森にはグリュモールを始めとする他の森にはない大きな特徴があった・・・妖精族の存在である。
妖精族は太古の昔よりこの森で暮らしていると言われているが、その正確な情報は知られていない。
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ただ、彼らは魔力に優れた種族であり、複数の属性の魔術を操るとされ、森を脅かした人間に容赦なく攻撃してくるという話が各地に伝わっていた。
とは言え、それらの大半は欲に駆られた愚かな支配者達の自業自得である。
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ミーアもまた、種族を超えた恋によってこの世に産み落とされた混血の子・・・半妖精である。
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その村では僅かながら妖精族と交流があり、両親が結ばれる事への風当たりは悪くなかったらしい。
やがて生まれたミーアは両親の愛情を受けてすくすくと育っていった。
混血ゆえの影響か、ミーアは生まれつき身体が強い方ではなかったが頭の良い子で、幼いながらも健気に両親を助けよく働いた。
村の悪ガキ共の親達からは「うちもミーアちゃんみたいな素直な子供が欲しかった」と羨ましがられた程だ。
しかし、そんな彼女を不幸が襲った・・・村に疫病が蔓延したのだ。
ミーアの母は妖精族に伝わる薬草を用いて村人達の治療に当たった、父もまた薬草を採るために森と村を往復する日々だ。
二人の尽力のおかげで多くの村人の命は救われたが・・・今度はその二人が病に倒れてしまう。
しかし二人と違って特に知識のない村人達には何もすることが出来ず・・・二人はそのまま帰らぬ人となったのだ。
一人残されたミーアだったが、村の恩人の子供という事もあって引き取り手には困らなかった。
元々村で評判の素直な良い子だ、彼女は新しい家族に温かく迎えられた。
しかし彼らは大きな見込み違いをしていた事に、すぐに気が付くのである。
それは彼女のひ弱さだった。
彼女の身体の弱さをよく理解していた両親とは違い、新しい両親は自分たちの子供の体力を基準にして、ミーアにあれこれと命じたのである。
ミーアの評価が「素直な良い子」から「どんくさい子」へと変わるのに、そう時間はかからなかった。
与えられた仕事を満足にこなせないミーアの姿は家族にとってストレスの元になっていった・・・それはやがて虐待と呼べるものに発展していくのだが・・・実子でない事、そして混血である事がそれに拍車をかけ、彼女に味方する者は誰もいなかったのである。
そんな折に旅の一座・・・椋鳥一座が村にやってきたのだった。
ミーアの整った容姿に将来性を感じた座長と、いい加減ミーアの面倒を見るのに嫌気が差してきた両親。
互いの利害は綺麗に一致し、ミーアは一座に買い取られる事になったのだ。
その金額は・・・わずが銀貨20枚。
しかし座長はそんな事実をおくびにも出さず「お前には金が掛かっている」と嘯いてミーアに自分の芝居を叩きこんだ。
果たして、ミーアに才能があったのは幸か不幸か・・・ミーアは教わった以上に芝居を上達させていったが、その幼い身に不釣り合いな演技力が彼らに評価される事はなかったのである。
一座が彼女に求めたのは「可愛い一座のマスコット」であって「演技派女優」ではなかったのだ。
ミーアの演技は片っ端から否定された、もっと愛嬌良くしろ、客に媚びろと彼らは言う・・・しかし彼女には自分に要求された演技が不自然に感じられて仕方なかった。
意味の分からない演技を嫌々演じる日々・・・一座の人間に隠れて一人で自由に練習する時だけが彼女にとっての安息の時間だった。
・・・そこに現れたのがマユミである。
彼女がやりたがっていた本来の演技を、初めて認めてくれた。
マユミとの掛け合い練習は、彼女がずっとやりたいと願っていた芝居そのものだった・・・ミーアはあの時、芝居をやっていて初めて楽しいと感じられたのだ。
今日はそのマユミが彼女の舞台を見に来てくれている。
・・・最前列の中央・・・そこにマユミの姿を見つけた時・・・彼女の中で何かが弾けた。
一座の望む芝居なんて知ったことではない、今はただ自分の全力の演技を見せたい、と・・・
予定とは違う彼女の演技に、相手役の男は戸惑っていた・・・だが始まってしまった舞台はもう止められない。
今は・・・今だけは、誰にも邪魔は出来ない・・・彼女こそがこの舞台の支配者だ。
・・・そして舞台は終幕を迎える。
道化が語る間に血糊のついたドレスを脱ぎ捨て、終わりの挨拶をすべく再び舞台に上がった彼女を、大勢の観客の拍手が迎えた。
そして、真っ直ぐに自分を見つめるマユミと目が合った・・・果たして彼女には自分の演技がどう見えただろうか・・・
舞台が終わった後・・・ここにもう用はないとばかりにそそくさと立ち去る者もいれば、しばらく席を立たず余韻に浸る者もいる。
急に全員が出ようとしても出口で渋滞が起きるので様子見する者もいれば、仲間同士で感想を語り合う者達もいた。
一座の団員達・・・特にまだ衣装を着た出演者はこの場に残った客達に声を掛けて回る・・・次回に向けた営業の時間だ。
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ミーアはこの時間が苦手だった・・・舞台上で相手役と演じるのと、見知らぬ客の相手をするのは別次元の代物だ。
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しかし今日は違った・・・マユミ達がいる・・・終幕後すぐに最前列の彼女達の元に行く彼女を阻める者は存在しなかった。
「マユミ・・・今日は・・・その・・・」
「ミーアちゃん、お疲れ様、すごく良かったよ」
「あ・・・ありがとう」
ありがとう、観に来てくれて・・・ミーアの感謝の言葉よりも早く、マユミ達が彼女の労を褒め称える。
「ええ、素晴らしかったわ・・・マユミと同じくらい」
「や、私じゃあんなに上手くできないよ!」
「本当に甲乙付け難いものがありました・・・マユミ殿が気にかけるのも納得です」
「もう二人とも、今日の主役はミーアちゃんなんだからね!」
「ふふっ、そうね・・・明日の分のチケットはもう買えるのかしら?ぜひまた今日と同じ席をお願いしたいのだけど」
「あ、はい・・・ちょっと待ってて・・・」
チケットを取ってくるのだろう・・・ミーアはそう言って舞台袖の方へ駆けていく。
慌ててその背中にマユミ達が声を掛けた。
「あ、私もお願いするよー!」
「では私の分も、お願いします」
「あら、ゲオルグの分は私が出そうと思ったのだけど・・・エプレでも誘ってみようかしら?」
「あ、それいいかも・・・でもお店の方は大丈夫かな・・・」
「そうね、お芝居が始まる時間までに一日分稼いでしまう、というのはどうかしら?」
どうやら明日のマユミ達の予定は決まったようだ。
明日のチケットを探しに舞台袖までやってきたミーア、その足取りは軽い。
マユミ達は彼女の演技を褒めてくれた・・・決してお世辞の類ではなく、心からの称賛である。
観客達のあの拍手も、自分を認めてくれたという事なのだろうか・・・そう思うと頬が緩む。
(チケット・・・どこにあるんだろう・・・)
これまで自分でチケットを売るという事がほとんどなかった彼女だ・・・しかし他の団員はみな客の相手をしているので邪魔は出来ない。
ミーアはうろ覚えの記憶から、それらしいところを探すが・・・なかなか見つからないでいた。
・・・チケットを探す事に夢中になっていたミーアは気付かなかった。
背後から彼女を見つめる人影に・・・その殺意とも言うべき黒い感情に・・・
ガタッ・・・彼女がその音に気付いた時にはもう手遅れだった。
舞台袖には舞台で使われた道具の数々が所狭しと置かれている・・・その中の兵士用の武具・・・十本はある槍の束が彼女目掛けて・・・
ガシャン!・・・その音に気付くことが出来た者がどれ程いただろうか・・・
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