[完結]幼馴染みが失恋したところを狙い撃ちしようとするヒロインのラブコメ!

深山ナオ

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17 キャッチボール

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 祐一は雅人まさとを連れて公園にやってきた。二人以外に人はいない。
 ブランコくらいしか遊具は無いが、キャッチボールをするだけのスペースはある。
 梅雨入り前の空気はさっぱりしていて、軽い運動にはちょうどいい。
 祐一は左手にグローブを嵌め、雅人に問いかける。

「お前こういうの得意か?」
「やったことない。ドッジボールなら得意だけど」

 グローブを嵌めながら、雅人が答える。

「そうか」

 グローブを嵌め終えた雅人に、祐一がボールを軽くトスする――雅人はそれをしっかりグローブでキャッチした。
 三歩下がって雅人が投げ返してくる――祐一の胸の辺りにしっかりとコントロールされている。
 肩を慣らしながら、距離を取っていく。
 適当な距離まで開いてしばらくしてから。

「なあお前……綾香と話す時、緊張してるのか?」

 祐一は質問と共に白球を投げた。
 雅人のグラブを弾いて、後方に転がっていく。 

「え、えっと……」
「いや、俺に対しての返事はしっかりしてるのに、綾香に対しては口ごもるからさ」
「……」

 答えず、雅人はボールを取りに行く。
 拾い上げたところで、

「すごく緊張する……」

 と祐一に背を向けたまま口にした。

「それは年上の女の子に慣れてないからか?」
「うん……」
「なるほど。ちなみに、景村姉妹に対してはどうなんだ?」
「緊張する。けど、綾香さんに対してするのとは違う。えっと、何て言うのかな? 気まずい感じ……かな?」

 雅人も景村姉妹も、急に姉弟だって言われても、困るよな……。

「仲良くなれそうか?」

 ボールを持ってこっちに戻ってきた雅人に問いかける。 

「どうだろう……月夜ちゃんは歳は近いけど、ボクに対してはあんまり話しかけてこないし――月夜ちゃん、夜霧さんにべったりだし」

 曇った表情で雅人は答える。 

「それで、かげむ――夜霧さんの方は?」
「わかんない……。夜霧さん、話すの苦手みたいだし……。それに……」
「それに?」

 言いにくそうな雅人に祐一が続きを促すと、雅人は再び言葉を紡いだ。

「――それに、髪に隠れて表情が見えないから、ちょっと怖いかも」
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