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第一章
瓦解
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真白が襲われる少し前、白馬も森へ到着していた。
既に大掛かりな捜索が始まっており、真白が飛び降りたとされる真下からテラスを見上げる。
随分思い切った事をしたと思いながら、この高さから怪我なく着地するのは難しいだろうと誰もが思うのに、周辺には人や動物がいた形跡はあるもののまだ見つかっていないのが不思議だった。
目玉商品の逃走に躍起になる周囲を他所に、先に発見されたと報告があった王李の行方を部下から聞く。
王李は一度森へ降りた後、今は部屋に戻っているが追跡者の殆どが死んだと。
「……は?」
報告内容に理解が追いつかず、聞き返した声を叱責されたと勘違いした相手が怯んだのが分かる。
違う、そうじゃないと断りを入れながら白馬は分かりやすく伝わる様に聞き返した。
「死んだ?」
「言葉通りでございます。王李の後を追った者たちが死にました」
知り得る限りの情報を伝えているのだろうが、納得できない。
「それは、王李に攻撃されて?追っ手に気づいて逆に襲われた?」
「いえ、違います。彼は何もしていません」
「何もしていない……」
頭を抱えて溜息をつくと、一部始終を見ていた者が両脇を抱えられ白馬の前に連れて来られた。
膝は震え、自力での歩行は無理なのは明白であり、目の焦点も合っていない。一体何にそんな怯えているのかが分からず、とりあえず報告を促す視線を両脇を支えているものに送ると、うなづいて支えられている者に耳打ちした。
震えて思うように動かせない唇を懸命に動かし、音にして発した言葉はにわかには信じられない内容だった。
「や、奴が、み、み、見た、見ただけで……倒れてって、それで……それ、で!死んだ。誰も、息してな、、あいつと目が、合っただけだ!」
ますます分からない。
白馬は、とりあえず休ませてやれと指示を出し下がらせた。
白椿から王李と姫椿については“手出しするな”と学園に来た当初から指示を受けている。
どんな関わりがあろうと興味ないが、見た目が白椿にそっくりな姫椿と対面した時に血縁者であろうことだけは知っている。
王李に関しては、至って普通の青年で特殊な能力とかそういった類の話は聞かされていない。
だが、その聞かされていない部分と何かしら関係があるのだろうと結論付けた時に真白が見つかったと報告が入った。
すぐに現場に向かおうとした時に、周辺の足跡を分析している者達の会話が聞こえ足を止める。
「何だこれ……蹄か?」
「そういや、白い馬を見たってやつがいたぞ」
「馬屋から逃げたやつか?」
「そこまでは……」
モヤっとした不安が静かに襲ってくるのを振り切る様に、白馬は歩き出した。
嫌な予感がする。
それは真白が発見された場所に近づく毎に膨れ上がり、揉めている声が段々とはっきり聞こえてきた所で確信に変わった。
視界の先に、霰もない姿を黒い上着で隠した真白と見覚えのある金髪の青年を捉えた時だった。
「てめぇも一緒に売り飛ばしてやる!!」
激昂した罵声に足を止め、どくん、と一際大きく心臓が跳ねるのを感じる。
ついに聞かれた、と思った。
足元から築き上げた物が崩れる音が聞こえるみたいだ。
困惑して青ざめている真白の表情に胸が締め付けられる。
「へっ。舐めた口聞きやがって……残念だったなぁ!!!お前らは終いだよ!!」
男が強気なまま自分の背後の茂みを顎で示すと、真白が不安そうに此方の茂みを伺っているのがわかった。
もう、幕引きだ。
嘘がバレた時の、あのどうしようもない感情に今から支配されるのだと思うと苦い気持ちになるが仕方ない。
そう。仕方ないんだと言い聞かせて一歩、また一歩と進む。
いつかバレてしまう事だった。
それが今になっただけ。
茂みから現れた白馬を見て予想した通りの反応をする真白を見て見ぬふりをしたまま、一人だけこの状況を楽しんで傍観している青年を睨む。
そして二度と口にする事はないだろうと思っていた名を呼んだ。
「綺羅」
真白の幼少期からの幼馴染でもあり、白椿と白馬の秘密を知ってしまったが故に巻き込まれた哀れな者。
静かに微笑むその顔は、全て曝け出してやると息巻いた悪魔にも見えた。
「な、何で“暗夜”総取締役補佐がここにっ!?」
茂みから現れた白馬を見て狼狽える男の声に、それ以上喋るなと視線だけで黙らせる。
「ち、ちくしょう……」
白馬に萎縮して罰が悪そうに小声で吐き捨てる男の言葉を聞き流しながら、綺羅の後ろからそっと顔を覗かせた真白と目が合った。
その頬は赤く腫れ上がり、ポンパドールの髪型も無惨に崩れ綺羅が掛けたであろう上着に隠された胸元が引き裂かれているのを見て、白馬は目を背けた。
目を逸らされた真白も、申し訳なさそうに俯く。
沈黙が痛い。
本当なら今すぐにでも駆け寄って真白が安心する様に抱きしめてやりたい。
守りたかった。嘘じゃない、本当だ。
あの時、雪乃と共にテラスまで付き添っていればこんな事にはならなかった。
真白をこんな目に合わせずに済んだ筈なのに、守れなかった。
後悔しても遅いと言わんばかりに真白の前に立つ綺羅が邪魔で忌々しい。
こんな状況を望んでいたんじゃない。
この朱の大会が終わった時に、俺は……俺は。
「あ、“暗夜”って……?」
真白が誰にともなく聞き返す声に冷や汗が止まらなくなった。
いつかこんな日が来るかもしれないと覚悟していた筈なのに、いざその時が来ると動揺を隠せない自分の弱さに気づきたくはなかった。
今から。
お前にだけは知られたくなかった真実を、明かさなければいけない。
白馬は覚悟を決め、ゆっくりと真白に答えた。
「俺だ」
「え?」
「俺と学園長の事だよ」
真白は頭の中が疑問で膨らむばかりだった。
一体、なんの話をしているの?
分からないのは私だけじゃないよね?と、願いに近い思いを込めて綺羅を見上げたが腕組みをしたまま白馬を見据える姿勢に、話についていけず取り残されているのは自分だけなのだと突きつけられているみたいだった。
でも。
駄目だ、頭でいくら考えようとしても思考が全く追いつかない。
頭痛すらしてきた頭を抑えながら、真白は力無く笑って誤魔化すことしかできなかった。
「……ごめん、よく、わからない」
泣き声に近い掠れた自分の声に、ますます情けなくなる。
そんな真白に助け舟を出したのは綺羅だった。
「暗夜は、人身売買を生業としている人達の総称だよ」
綺麗に整った顔から、サラリと出た恐ろしい単語。
「じ、人身売買……?」
まさか、と確認する様に白馬を見ると今度は目を逸らされなかった。
見つめ合う瞳が何よりも真実を物語っている様で、真白は必死に否定する。
「嘘よ。そんな」
泣き笑いの顔をしたまま見上げてくる真白に、綺羅は口を噤む。
冗談だと言ってほしいと潤む瞳が健気に訴え震える手でズボンの裾を掴まれた。
否定してあげたくても、できない。
真白が傷ついてしまうとわかっていても、嘘はつけなかった。
お前のせいだと恨みがましく白馬を睨んでも、白馬は此方を見ようとはせず丸投げを決め込んでいる。
「真白」
綺羅は、その場に膝をついて真白と向き合った。
ポロポロ溢れる涙は、綺羅の言う事を分かっているみたいで余計に苦しい。
どうかこれ以上、苦しまない様にと願いながら静かに告げた。
「僕は嘘をつかない」
沈痛な顔をする真白をこれ以上見てられなくて、隠す様に抱き締めた。
「う、嘘だぁ」
綺羅の腕の中、真白の嗚咽混じりの泣き声がまだ白馬を信じようとしてるのが分かって、聞いている白馬の胸も余計に苦しくさせた。
既に大掛かりな捜索が始まっており、真白が飛び降りたとされる真下からテラスを見上げる。
随分思い切った事をしたと思いながら、この高さから怪我なく着地するのは難しいだろうと誰もが思うのに、周辺には人や動物がいた形跡はあるもののまだ見つかっていないのが不思議だった。
目玉商品の逃走に躍起になる周囲を他所に、先に発見されたと報告があった王李の行方を部下から聞く。
王李は一度森へ降りた後、今は部屋に戻っているが追跡者の殆どが死んだと。
「……は?」
報告内容に理解が追いつかず、聞き返した声を叱責されたと勘違いした相手が怯んだのが分かる。
違う、そうじゃないと断りを入れながら白馬は分かりやすく伝わる様に聞き返した。
「死んだ?」
「言葉通りでございます。王李の後を追った者たちが死にました」
知り得る限りの情報を伝えているのだろうが、納得できない。
「それは、王李に攻撃されて?追っ手に気づいて逆に襲われた?」
「いえ、違います。彼は何もしていません」
「何もしていない……」
頭を抱えて溜息をつくと、一部始終を見ていた者が両脇を抱えられ白馬の前に連れて来られた。
膝は震え、自力での歩行は無理なのは明白であり、目の焦点も合っていない。一体何にそんな怯えているのかが分からず、とりあえず報告を促す視線を両脇を支えているものに送ると、うなづいて支えられている者に耳打ちした。
震えて思うように動かせない唇を懸命に動かし、音にして発した言葉はにわかには信じられない内容だった。
「や、奴が、み、み、見た、見ただけで……倒れてって、それで……それ、で!死んだ。誰も、息してな、、あいつと目が、合っただけだ!」
ますます分からない。
白馬は、とりあえず休ませてやれと指示を出し下がらせた。
白椿から王李と姫椿については“手出しするな”と学園に来た当初から指示を受けている。
どんな関わりがあろうと興味ないが、見た目が白椿にそっくりな姫椿と対面した時に血縁者であろうことだけは知っている。
王李に関しては、至って普通の青年で特殊な能力とかそういった類の話は聞かされていない。
だが、その聞かされていない部分と何かしら関係があるのだろうと結論付けた時に真白が見つかったと報告が入った。
すぐに現場に向かおうとした時に、周辺の足跡を分析している者達の会話が聞こえ足を止める。
「何だこれ……蹄か?」
「そういや、白い馬を見たってやつがいたぞ」
「馬屋から逃げたやつか?」
「そこまでは……」
モヤっとした不安が静かに襲ってくるのを振り切る様に、白馬は歩き出した。
嫌な予感がする。
それは真白が発見された場所に近づく毎に膨れ上がり、揉めている声が段々とはっきり聞こえてきた所で確信に変わった。
視界の先に、霰もない姿を黒い上着で隠した真白と見覚えのある金髪の青年を捉えた時だった。
「てめぇも一緒に売り飛ばしてやる!!」
激昂した罵声に足を止め、どくん、と一際大きく心臓が跳ねるのを感じる。
ついに聞かれた、と思った。
足元から築き上げた物が崩れる音が聞こえるみたいだ。
困惑して青ざめている真白の表情に胸が締め付けられる。
「へっ。舐めた口聞きやがって……残念だったなぁ!!!お前らは終いだよ!!」
男が強気なまま自分の背後の茂みを顎で示すと、真白が不安そうに此方の茂みを伺っているのがわかった。
もう、幕引きだ。
嘘がバレた時の、あのどうしようもない感情に今から支配されるのだと思うと苦い気持ちになるが仕方ない。
そう。仕方ないんだと言い聞かせて一歩、また一歩と進む。
いつかバレてしまう事だった。
それが今になっただけ。
茂みから現れた白馬を見て予想した通りの反応をする真白を見て見ぬふりをしたまま、一人だけこの状況を楽しんで傍観している青年を睨む。
そして二度と口にする事はないだろうと思っていた名を呼んだ。
「綺羅」
真白の幼少期からの幼馴染でもあり、白椿と白馬の秘密を知ってしまったが故に巻き込まれた哀れな者。
静かに微笑むその顔は、全て曝け出してやると息巻いた悪魔にも見えた。
「な、何で“暗夜”総取締役補佐がここにっ!?」
茂みから現れた白馬を見て狼狽える男の声に、それ以上喋るなと視線だけで黙らせる。
「ち、ちくしょう……」
白馬に萎縮して罰が悪そうに小声で吐き捨てる男の言葉を聞き流しながら、綺羅の後ろからそっと顔を覗かせた真白と目が合った。
その頬は赤く腫れ上がり、ポンパドールの髪型も無惨に崩れ綺羅が掛けたであろう上着に隠された胸元が引き裂かれているのを見て、白馬は目を背けた。
目を逸らされた真白も、申し訳なさそうに俯く。
沈黙が痛い。
本当なら今すぐにでも駆け寄って真白が安心する様に抱きしめてやりたい。
守りたかった。嘘じゃない、本当だ。
あの時、雪乃と共にテラスまで付き添っていればこんな事にはならなかった。
真白をこんな目に合わせずに済んだ筈なのに、守れなかった。
後悔しても遅いと言わんばかりに真白の前に立つ綺羅が邪魔で忌々しい。
こんな状況を望んでいたんじゃない。
この朱の大会が終わった時に、俺は……俺は。
「あ、“暗夜”って……?」
真白が誰にともなく聞き返す声に冷や汗が止まらなくなった。
いつかこんな日が来るかもしれないと覚悟していた筈なのに、いざその時が来ると動揺を隠せない自分の弱さに気づきたくはなかった。
今から。
お前にだけは知られたくなかった真実を、明かさなければいけない。
白馬は覚悟を決め、ゆっくりと真白に答えた。
「俺だ」
「え?」
「俺と学園長の事だよ」
真白は頭の中が疑問で膨らむばかりだった。
一体、なんの話をしているの?
分からないのは私だけじゃないよね?と、願いに近い思いを込めて綺羅を見上げたが腕組みをしたまま白馬を見据える姿勢に、話についていけず取り残されているのは自分だけなのだと突きつけられているみたいだった。
でも。
駄目だ、頭でいくら考えようとしても思考が全く追いつかない。
頭痛すらしてきた頭を抑えながら、真白は力無く笑って誤魔化すことしかできなかった。
「……ごめん、よく、わからない」
泣き声に近い掠れた自分の声に、ますます情けなくなる。
そんな真白に助け舟を出したのは綺羅だった。
「暗夜は、人身売買を生業としている人達の総称だよ」
綺麗に整った顔から、サラリと出た恐ろしい単語。
「じ、人身売買……?」
まさか、と確認する様に白馬を見ると今度は目を逸らされなかった。
見つめ合う瞳が何よりも真実を物語っている様で、真白は必死に否定する。
「嘘よ。そんな」
泣き笑いの顔をしたまま見上げてくる真白に、綺羅は口を噤む。
冗談だと言ってほしいと潤む瞳が健気に訴え震える手でズボンの裾を掴まれた。
否定してあげたくても、できない。
真白が傷ついてしまうとわかっていても、嘘はつけなかった。
お前のせいだと恨みがましく白馬を睨んでも、白馬は此方を見ようとはせず丸投げを決め込んでいる。
「真白」
綺羅は、その場に膝をついて真白と向き合った。
ポロポロ溢れる涙は、綺羅の言う事を分かっているみたいで余計に苦しい。
どうかこれ以上、苦しまない様にと願いながら静かに告げた。
「僕は嘘をつかない」
沈痛な顔をする真白をこれ以上見てられなくて、隠す様に抱き締めた。
「う、嘘だぁ」
綺羅の腕の中、真白の嗚咽混じりの泣き声がまだ白馬を信じようとしてるのが分かって、聞いている白馬の胸も余計に苦しくさせた。
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