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第三話
しおりを挟む友人・マガジンの落とした財布を探すのを諦めようとしていた一が、スマートフォンの画面に目をやると、ベリーから新たにメッセージが届いていた。
ベッドに横になりながらメッセージに目を通し、内容を理解した一は思わず飛び起きる。
〈ベリー:今回は、特別に探してあげよっか?〉
先程は無理だと言っていたのに、どういう風の吹きまわしだ? と一は思ったが、正直に言うと願ってもない申し出である。が、次に届いたベリーからのメッセージに、一はまたベッドに倒れ込んだ。
〈ベリー:ただし、料金は十万二千円になりますけど〉
「高っ! 他の便利屋に頼んだほうが安いんじゃ……いや、でももう散々断られたしな……」
ベッドの上であぐらをかき、頭を抱えながら、ブツブツ一人言をつぶやいている一は、はたからみたらかなり怪しかっただろうが、幸いこの部屋にいるのは、一と眠っているマガジンだけだ。
一から返事が来ないことに、料金のことで悩んでいると察したらしいベリーから、またメッセージが届く。
〈ベリー:あんたも手伝ってくれるなら、半額の五万一千円にしてあげてもいいけど〉
一は考えた。「半額か……」正直いろいろ痛いが、払えない額ではない。
なにより、財布を落とした後のマガジンの姿を思い出す。
マガジンは、ひどく落ち込んでいた。どれくらい落ち込んでいたかと言うと、財布を落とす前に買った、マガジンの大好きな漫画雑誌マガジンを、読まずに路上で雑誌などを売っている人に寄付してしまったのだ! 長い付き合いだがこんなマガジンは初めて見た。女の子にフラれたときも、マガジンを読んで立ち直っていたのに、だ。それほど大きな存在のマガジンを、人にあげてしまうなんて! これは、かなり落ち込んでいる証拠だ。
それになにより、一自身もせっかく神奈川まで遊びに来てくれたのに、最悪な思い出のまま地元に帰ってほしくなかった。
「よし! マガジンには悪いが、今日は一人で東京観光してもらおう!」
五万一千円は痛いが、マガジンのためだ! 見付からなくても、やらないで諦めるよりは、ずっといい! と、決意を固めた一は、ベリーに返事を送った。
〈金田一:やります!〉
ベリーからの返事はすぐに来た。
〈ベリー:見付からなくてもお金はもらうから〉
〈金田一:大丈夫です!〉
今度は、ベリーからの返事はすぐに返ってこなかった。
「あれー? ……うわっ……!」
一が首を傾げながらチャットルームのページを更新すると、一気に大量のメッセージが表示され、思わず驚いて大きな声をあげそうになり、反射的に手のひらで自分の口を抑える。その状態で目だけを動かし、画面の文字を追っていく。
〈ベリー:OK〉
〈ベリー:それじゃあ、さっそくいくつか質問してくから、手短に答えて〉
〈ベリー:財布を落とした場所〉
〈ベリー:財布の特徴〉
〈ベリー:あれば画像〉
〈ベリー:昨日の行動〉
〈ベリー:あんたの最寄駅〉
〈ベリー:友達の特徴〉
〈ベリー:…………〉
〈ベリー:……〉
「えっと、落としたのは秋葉原……うわ! ドンドン来るな」
目で文字を追いながらも、一は質問にも答えていかなければと思い、書き込もうとするが、やっているうちにまた次のメッセージがドンドン送られてくるので一は、一旦返すのを諦め、ベッドに横になりながら、メッセージを読んでいくことにした。
〈ベリー:質問、全部答えといて〉
〈ベリー:あと今日の九時に、秋葉原駅に来て〉
〈ベリー:これ私のLINE。登録しといて(ID:____)〉
〈ベリー:じゃ、また〉
ベリーからのメッセージの嵐が終わり、ようやく画面が静かになった。
「九時に秋葉原駅って……うわ! もう四時じゃん! 寝れっかな……」
──これってベリーと会って、一緒に探すってことだよな? ベリーって話し方からして女の人っぽいけど、どうなんだろう……。
「と! そんなことより、まずこれ全部答えねぇと……」
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