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1:出逢いと別れ
21(冒頭グロ表現?有)
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「そんな……あぁ、ル、……ルシフゥウウウ!!!!」
「いやぁぁぁああああっっ!!!」
「…………」
俺は今、自分の死体にすがり付く家族たちを、なんとも言えない気持ちで見詰めている。
因みに、俺達は別に死んだ訳ではない。ベリーのスキルの一つ、魔眼・幻惑の効果を利用している。
頭を喰い千切られた富裕層と思われる子供の死体と、肩や脇腹を喰われ、顔を爪で抉られた従者と思わしき若い男の死体の近くに待機している。
とは言え、火と水属性を掛け合わせる方法で光の屈折を利用して、誰にも見付からないようにしてだが。
死体はどちらも顔の判別が出来ない状態だ。だが服装や装飾品で家を判別することが可能なようにちゃんと服も着せてある。本当の姿はどちらもゴブリンだ。
悪趣味だとは思ったが、「紙の縁切りなんて、きみの祖先のように「縁切りなどしていない」と言われたら押し通される可能性もあるよ」と言われてしまえば、成る程と考えてしまったのだ。
下級貴族ではないから、場合によっては強引な手法も取れる。まあ、家から離れてしまえば籍などどうでもよくなってくるかもしれないとは思うが。
ただ、やはり籍が有るままの場合。未成年のうちに何らかの証明が必要になったとき、旅先の俺→家→王家や専門機関→旅先の俺→提出先……などと言う遠回り極まりないやり取りをしなくてはならない。
俺は祖先ほど酷い扱いはされていなかったのだから、ある程度の体面として縁切りを拒否されてしまうのは予想が出来る話だ。
なんなら、ベリーと共に出ていくと話しても「まだ成人もしていないのに」と、家を出ることすら止められる可能性も……もしかするとあるのかもしれない。
今はまだ、成人してから出ていく心積もりと言うような濁した伝え方だったから、なにも言われてなかっただけのはず。
ならばいっそ死亡したことにして、気ままに二人旅をしようじゃないかと言われたら疼くものがあった。
心揺れて、結局この方法を強行したと言うわけだ。
ベリーの提案をじっくり考え決意してからは、策敵の仕方や魔物との実戦、連携などなどを中心にこなして過ごしていた。
森の中へ入って、周囲に魔力を放出しながら鑑定をする。薄い膜を、一定間隔で放つことで異常を見付けることが出来る。
この方法は敵だけではなくて、植物から鉱石まで、素材の位置も把握することが出来る。
やろうと思えばだが。全てを一度に知覚するとさすがに混乱するから、慣れるまでは策敵だけ、素材だけとわけて練習をした。
そして荷造り。旅費は錬金術で作るものになるだろう、と言うことで旅の定番のポーションになる素材や、質の良い鉱石などを中心に探して過ごしていた。
空間魔法もある程度育ててあるから、集めたものは問題なくしまっている。ベリーも覚えたいと言っていて、いつもとは逆に俺が教えるなどもした。
改めて魔法について考え、わかるように伝える。それが難しいことなのだと思うと愕然としたりもするが、互いに出来たときの喜びが大きくなることも知ると楽しくなってくる。
ゆくゆくはどこかのパーティーに入ったりもするのだろうかと考えたこともあったが、家では殆ど一人でいたために実感のわかない空想でしかなくて。
成る程、一人よりは二人が良いのかもしれない。とは言え一人に慣れてもいるから、大勢でなくて良いとも思う。
「いやぁぁぁああああっっ!!!」
「…………」
俺は今、自分の死体にすがり付く家族たちを、なんとも言えない気持ちで見詰めている。
因みに、俺達は別に死んだ訳ではない。ベリーのスキルの一つ、魔眼・幻惑の効果を利用している。
頭を喰い千切られた富裕層と思われる子供の死体と、肩や脇腹を喰われ、顔を爪で抉られた従者と思わしき若い男の死体の近くに待機している。
とは言え、火と水属性を掛け合わせる方法で光の屈折を利用して、誰にも見付からないようにしてだが。
死体はどちらも顔の判別が出来ない状態だ。だが服装や装飾品で家を判別することが可能なようにちゃんと服も着せてある。本当の姿はどちらもゴブリンだ。
悪趣味だとは思ったが、「紙の縁切りなんて、きみの祖先のように「縁切りなどしていない」と言われたら押し通される可能性もあるよ」と言われてしまえば、成る程と考えてしまったのだ。
下級貴族ではないから、場合によっては強引な手法も取れる。まあ、家から離れてしまえば籍などどうでもよくなってくるかもしれないとは思うが。
ただ、やはり籍が有るままの場合。未成年のうちに何らかの証明が必要になったとき、旅先の俺→家→王家や専門機関→旅先の俺→提出先……などと言う遠回り極まりないやり取りをしなくてはならない。
俺は祖先ほど酷い扱いはされていなかったのだから、ある程度の体面として縁切りを拒否されてしまうのは予想が出来る話だ。
なんなら、ベリーと共に出ていくと話しても「まだ成人もしていないのに」と、家を出ることすら止められる可能性も……もしかするとあるのかもしれない。
今はまだ、成人してから出ていく心積もりと言うような濁した伝え方だったから、なにも言われてなかっただけのはず。
ならばいっそ死亡したことにして、気ままに二人旅をしようじゃないかと言われたら疼くものがあった。
心揺れて、結局この方法を強行したと言うわけだ。
ベリーの提案をじっくり考え決意してからは、策敵の仕方や魔物との実戦、連携などなどを中心にこなして過ごしていた。
森の中へ入って、周囲に魔力を放出しながら鑑定をする。薄い膜を、一定間隔で放つことで異常を見付けることが出来る。
この方法は敵だけではなくて、植物から鉱石まで、素材の位置も把握することが出来る。
やろうと思えばだが。全てを一度に知覚するとさすがに混乱するから、慣れるまでは策敵だけ、素材だけとわけて練習をした。
そして荷造り。旅費は錬金術で作るものになるだろう、と言うことで旅の定番のポーションになる素材や、質の良い鉱石などを中心に探して過ごしていた。
空間魔法もある程度育ててあるから、集めたものは問題なくしまっている。ベリーも覚えたいと言っていて、いつもとは逆に俺が教えるなどもした。
改めて魔法について考え、わかるように伝える。それが難しいことなのだと思うと愕然としたりもするが、互いに出来たときの喜びが大きくなることも知ると楽しくなってくる。
ゆくゆくはどこかのパーティーに入ったりもするのだろうかと考えたこともあったが、家では殆ど一人でいたために実感のわかない空想でしかなくて。
成る程、一人よりは二人が良いのかもしれない。とは言え一人に慣れてもいるから、大勢でなくて良いとも思う。
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