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2:二人旅
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門の付近でも十分に活気があると思っていたが、どうやらあれは序の口だったようだ。
冒険者ギルドが近付くにつれ、やはりと言うべきか飲み食い処も増えていく。立ち食い・歩き食い出来るような手軽な店、仕事帰りの冒険者たちが馬鹿騒ぎ出来る店、単純な飲み会向きの小洒落た店に、街に住む人の外食向けの店と実に様々だ。
時間帯として遅すぎるわけではないからか、酒の取り扱いが無さそうな店には子供の姿もちらほら。
ベリーと手を繋ぎながら歩いているとどこからともなく視線を感じる。俺への視線もそれなりだが、殆どはベリーへ向いているかもしれない。多分魔眼は使っていない筈だ。顔の造形が整っているから人目を惹くのだと思う。
子供ではなく大人の姿を取っているから尚の事、秋波を送る女が多いんだろうな。
いや……もしかすると女だけでは無いかもしれないが……まあ今は良いか。
意識を通りへ戻すと、途端に鼻に迫る様々な匂い。
食欲を誘う旨そうな匂いもあれば、むせ返るような酒の匂いも。そのどちらもが混じりあっている店もあって、歩いていると段々と気分が悪くなる気がする。
思わず飲んだくれを睨め付けてしまうのを、どうにか剥がしてまた正面を見れば少し先に立派な建物があるのが目に入ってきた。地図に記載されていたギルドのマーク……盾と、交差する二本の剣の意匠の看板がある。どうやらあれが冒険者ギルドのようだ。
幸いと言うのか、匂いこそきつく感じたがどこも飲み始めと言う雰囲気で、よくわからないいちゃもんはつけられずにここまで来れた。
ぽつねんと、しかし遠目でも立派なギルド。
建物の周囲を囲い、そして通り抜けるように、ギルドを中心にして東西南北を区切るように住宅や店々へと伸びる道がある。
今からギルドの建物周りをぐるりと巡るつもりはないが、多分四方とも出入りできるようドアがあるのだろう。四方のうちの一方はギルド職員専用かもしれない。
一ヶ所だけではないかもしれない出入り口が有るのだとすれば、有意義なものだと思う。中の造りについては入ってないのでまだわからないが。
どこからでも入れて、どこからでも外へ出られる……東側から来て中で依頼を受けて北側に抜けることが出来る、であるならば有用だ。
道の真ん中に堂々と座すなりの、良心的な措置……などと考えて良いのかはわからんが。
建物を避けるように道が敷かれてる、と言う見た目だけの判断だ。周囲を巡っていないから、本当に四方にドアがあると確定されているわけではないし。
「入るか」
「うん」
ぼうっと建物を見ていても仕方がないので、入ろうと声を掛け合う。
重そうな見た目のドアだったが、ベリーが事も無げに開けたので見かけだけだったのだろう。
ざっと建物の中を見た感じ、予想通りと喜んで良いのか、俺たちがくぐったドアの他にも三ヶ所あって、うち一つはギルド職員たちがあくせく動くカウンターの背後にある。と言うことは関係者以外立ち入り禁止、と言う奴だろう。
ざっと建物に鑑定をかける。隣からも対象に俺を含めて鑑定する魔力が飛んできた。
……何で俺を入れたんだ。
門の付近でも十分に活気があると思っていたが、どうやらあれは序の口だったようだ。
冒険者ギルドが近付くにつれ、やはりと言うべきか飲み食い処も増えていく。立ち食い・歩き食い出来るような手軽な店、仕事帰りの冒険者たちが馬鹿騒ぎ出来る店、単純な飲み会向きの小洒落た店に、街に住む人の外食向けの店と実に様々だ。
時間帯として遅すぎるわけではないからか、酒の取り扱いが無さそうな店には子供の姿もちらほら。
ベリーと手を繋ぎながら歩いているとどこからともなく視線を感じる。俺への視線もそれなりだが、殆どはベリーへ向いているかもしれない。多分魔眼は使っていない筈だ。顔の造形が整っているから人目を惹くのだと思う。
子供ではなく大人の姿を取っているから尚の事、秋波を送る女が多いんだろうな。
いや……もしかすると女だけでは無いかもしれないが……まあ今は良いか。
意識を通りへ戻すと、途端に鼻に迫る様々な匂い。
食欲を誘う旨そうな匂いもあれば、むせ返るような酒の匂いも。そのどちらもが混じりあっている店もあって、歩いていると段々と気分が悪くなる気がする。
思わず飲んだくれを睨め付けてしまうのを、どうにか剥がしてまた正面を見れば少し先に立派な建物があるのが目に入ってきた。地図に記載されていたギルドのマーク……盾と、交差する二本の剣の意匠の看板がある。どうやらあれが冒険者ギルドのようだ。
幸いと言うのか、匂いこそきつく感じたがどこも飲み始めと言う雰囲気で、よくわからないいちゃもんはつけられずにここまで来れた。
ぽつねんと、しかし遠目でも立派なギルド。
建物の周囲を囲い、そして通り抜けるように、ギルドを中心にして東西南北を区切るように住宅や店々へと伸びる道がある。
今からギルドの建物周りをぐるりと巡るつもりはないが、多分四方とも出入りできるようドアがあるのだろう。四方のうちの一方はギルド職員専用かもしれない。
一ヶ所だけではないかもしれない出入り口が有るのだとすれば、有意義なものだと思う。中の造りについては入ってないのでまだわからないが。
どこからでも入れて、どこからでも外へ出られる……東側から来て中で依頼を受けて北側に抜けることが出来る、であるならば有用だ。
道の真ん中に堂々と座すなりの、良心的な措置……などと考えて良いのかはわからんが。
建物を避けるように道が敷かれてる、と言う見た目だけの判断だ。周囲を巡っていないから、本当に四方にドアがあると確定されているわけではないし。
「入るか」
「うん」
ぼうっと建物を見ていても仕方がないので、入ろうと声を掛け合う。
重そうな見た目のドアだったが、ベリーが事も無げに開けたので見かけだけだったのだろう。
ざっと建物の中を見た感じ、予想通りと喜んで良いのか、俺たちがくぐったドアの他にも三ヶ所あって、うち一つはギルド職員たちがあくせく動くカウンターの背後にある。と言うことは関係者以外立ち入り禁止、と言う奴だろう。
ざっと建物に鑑定をかける。隣からも対象に俺を含めて鑑定する魔力が飛んできた。
……何で俺を入れたんだ。
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