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第24話「この命が、愛の証」
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第24話「この命が、愛の証」
出産予定日より少し早く、私は突然の陣痛に見舞われた。
夕方、洗濯物を取り込もうとしたとき、腰が抜けるような痛みが来て──
私はケンヤくんに電話して、声も出せないまま病院に運ばれた。
「大丈夫、大丈夫……俺がそばにいるから」
病室でずっと私の手を握りながら、ケンヤくんは何度もそう繰り返してくれた。
痛みは波のように押し寄せてきて、そのたびに私は汗まみれになって息を吐いた。
泣きたいくらいだったけど、彼の手の温かさに支えられていた。
そして──
朝日が昇りかけた頃、私たちの赤ちゃんが生まれた。
「元気な女の子ですよ」
助産師さんがそう言った瞬間、私の中からこぼれ落ちるように涙があふれた。
ケンヤくんも泣いていた。
私の手をぎゅっと握って、「ありがとう、エリコさん……ほんとに、ありがとう」と何度も言っていた。
小さな命が、私たちの愛の証として、この世界に誕生した。
名前は「ミオ」と名付けた。
“未来へ流れる音”──そんな意味を込めて。
ふたりでたくさん考えて、いちばん自然に心に届いた名前だった。
小さなミオは、よく泣いて、よく笑って、よく眠る子だった。
私は初めての育児に戸惑いながらも、彼女の表情一つひとつに救われる日々だった。
ある夜、授乳のあと。
ケンヤくんが私の背中をそっとさすってくれて、ぽつりとつぶやいた。
「俺、幸せすぎて、怖いくらいだよ」
私は笑って、彼の肩にもたれた。
「私も。まさか自分に、こんな人生が待ってるなんて思わなかった」
「俺もだよ。エリコさんと出会って、好きになって……あのとき声をかけてなかったらって、今でもたまに考える」
「私、すごく不安だった。自分の年齢のことも、見た目のことも……でも、ケンヤくんが全部、包み込んでくれた」
「俺はただ、本当にエリコさんが好きだっただけだよ。今も、これからも、ずっと好きだよ」
その言葉に、私はもう一度恋をした。
日曜日。
公園でミオをベビーカーに乗せて散歩していると、ふと私たちの姿がガラスに映った。
ぽっちゃりとした私と、少し日焼けしたケンヤくん、そして小さな命。
まるで、ごく当たり前の家族みたいに見えた。
でも、ここに至るまでには、たくさんの不安や寂しさがあった。
出会いも、恋も、想いも──すべてが少し遅れてやってきた。
でも、だからこそこの幸せは、何倍も深く、強く、温かい。
私はもう、自分を恥じたりしない。
ケンヤくんが好きと言ってくれたこの体も、ぽやんとした笑い方も、全部、私というひとりの人間なのだから。
そしてそれを受け入れてくれた彼と、愛の結晶であるミオ。
この命こそが、私たちの“答え”なのだと思う。
その夜、ミオがすやすや眠ったあと、私たちはそっと抱き合った。
「大丈夫?……少し、触れてもいい?」
「うん……優しくね。前よりずっと、私、敏感になってるかも」
「それも、嬉しいよ」
彼のキスは、出会った頃よりもずっと深くて、包み込むようだった。
触れるたびに、私はひとりじゃないと実感する。
私たちは、大人になって、恋をして、命を授かった。
それは、奇跡のような日々の連なり。
そして今、私はしあわせです──心から、そう言える。
出産予定日より少し早く、私は突然の陣痛に見舞われた。
夕方、洗濯物を取り込もうとしたとき、腰が抜けるような痛みが来て──
私はケンヤくんに電話して、声も出せないまま病院に運ばれた。
「大丈夫、大丈夫……俺がそばにいるから」
病室でずっと私の手を握りながら、ケンヤくんは何度もそう繰り返してくれた。
痛みは波のように押し寄せてきて、そのたびに私は汗まみれになって息を吐いた。
泣きたいくらいだったけど、彼の手の温かさに支えられていた。
そして──
朝日が昇りかけた頃、私たちの赤ちゃんが生まれた。
「元気な女の子ですよ」
助産師さんがそう言った瞬間、私の中からこぼれ落ちるように涙があふれた。
ケンヤくんも泣いていた。
私の手をぎゅっと握って、「ありがとう、エリコさん……ほんとに、ありがとう」と何度も言っていた。
小さな命が、私たちの愛の証として、この世界に誕生した。
名前は「ミオ」と名付けた。
“未来へ流れる音”──そんな意味を込めて。
ふたりでたくさん考えて、いちばん自然に心に届いた名前だった。
小さなミオは、よく泣いて、よく笑って、よく眠る子だった。
私は初めての育児に戸惑いながらも、彼女の表情一つひとつに救われる日々だった。
ある夜、授乳のあと。
ケンヤくんが私の背中をそっとさすってくれて、ぽつりとつぶやいた。
「俺、幸せすぎて、怖いくらいだよ」
私は笑って、彼の肩にもたれた。
「私も。まさか自分に、こんな人生が待ってるなんて思わなかった」
「俺もだよ。エリコさんと出会って、好きになって……あのとき声をかけてなかったらって、今でもたまに考える」
「私、すごく不安だった。自分の年齢のことも、見た目のことも……でも、ケンヤくんが全部、包み込んでくれた」
「俺はただ、本当にエリコさんが好きだっただけだよ。今も、これからも、ずっと好きだよ」
その言葉に、私はもう一度恋をした。
日曜日。
公園でミオをベビーカーに乗せて散歩していると、ふと私たちの姿がガラスに映った。
ぽっちゃりとした私と、少し日焼けしたケンヤくん、そして小さな命。
まるで、ごく当たり前の家族みたいに見えた。
でも、ここに至るまでには、たくさんの不安や寂しさがあった。
出会いも、恋も、想いも──すべてが少し遅れてやってきた。
でも、だからこそこの幸せは、何倍も深く、強く、温かい。
私はもう、自分を恥じたりしない。
ケンヤくんが好きと言ってくれたこの体も、ぽやんとした笑い方も、全部、私というひとりの人間なのだから。
そしてそれを受け入れてくれた彼と、愛の結晶であるミオ。
この命こそが、私たちの“答え”なのだと思う。
その夜、ミオがすやすや眠ったあと、私たちはそっと抱き合った。
「大丈夫?……少し、触れてもいい?」
「うん……優しくね。前よりずっと、私、敏感になってるかも」
「それも、嬉しいよ」
彼のキスは、出会った頃よりもずっと深くて、包み込むようだった。
触れるたびに、私はひとりじゃないと実感する。
私たちは、大人になって、恋をして、命を授かった。
それは、奇跡のような日々の連なり。
そして今、私はしあわせです──心から、そう言える。
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