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第5話「軽いはずの朝が、やけに重い」
第5話「軽いはずの朝が、やけに重い」
目覚ましが鳴る前に、目が覚めた。
平日の朝なんて、いつもはギリギリまで寝ているのに。
カーテン越しの薄い光を見ながら、昨夜――いや、正確には“今朝”のことを思い出していた。
バーで出会った女性。
名前を交換したばかりの、まだ「彼女」と呼ぶには早すぎる人。
軽い関係のつもりだった。
正直に言えば、最初はそれ以上の期待なんてなかった。
なのに。
ベッドの中で、彼女の寝顔を見た瞬間、
「もう少し、この時間が続けばいいのに」なんて思ってしまった自分がいる。
——やばいな。
こういう感情は、なるべく持たないようにしてきた。
期待すると、面倒になる。
踏み込みすぎると、傷つく。
だから今までは、朝になればさっさと身支度して、
連絡先を聞かれても曖昧に笑って終わらせてきた。
でも今回は違った。
彼女が「終わりですよね」と言ったとき、
胸の奥が、妙に締めつけられた。
自分から連絡先を聞いたのなんて、久しぶりだった。
いや、正確に言えば、“聞きたいと思った”のが久しぶりだった。
スマホを手に取る。
彼女とのトーク画面。
『無事、着きました?』
送信したのは、ただそれだけ。
気の利いた言葉なんて思いつかなかった。
少しして、返信が来る。
『はい。今、駅です』
たった一文なのに、肩の力が抜けた。
無事に帰れた、それだけで、なぜか安心する。
——何やってるんだ、俺。
軽い気持ちのはずだった。
一夜限り、の延長線上にある関係。
なのに、もう一度会えるかどうかを考えている。
仕事に向かう電車の中でも、彼女のことが頭から離れなかった。
昨夜の会話。
少し照れた笑い方。
不器用に触れてきた指先。
体の相性が良かった、だけじゃない。
それ以上に、“間”が合った気がした。
昼休み、同僚とコンビニに向かいながら、ふと思う。
——もし、また会うなら。
何をする?
食事?
それとも、また愚痴を言い合うだけ?
「……いや、考えすぎだろ」
誰に聞かせるでもなく、小さく呟く。
スマホが震えた。
彼女からだ。
『昨日のバー、雰囲気よかったですね』
その文を見て、自然と口角が上がった。
『ですよね。落ち着いてて』
即レスしている自分に気づいて、苦笑する。
少し間があって、次のメッセージ。
『また、行きます?』
その一文を見た瞬間、胸が跳ねた。
——向こうも、同じことを考えてる。
指が、少しだけ震える。
慎重になる理由なんて、特にないはずなのに。
『ぜひ。今度は、もう少し早い時間で』
送信。
既読がつく。
数秒後。
『嬉しいです』
短い言葉。
でも、その奥に、昨夜と同じ温度を感じた。
その日の仕事は、正直、あまり身が入らなかった。
集中しようとするたびに、彼女の笑顔が浮かぶ。
夜、帰宅してシャワーを浴びながら、思う。
——これ、軽い関係じゃないよな。
まだ、何も始まっていない。
名前を知って、連絡先を交換しただけ。
それなのに、
「次」があることを、当たり前のように想像している。
ベッドに横になり、スマホを手に取る。
『日程、また連絡しますね』
そう送ると、すぐに返ってきた。
『はい。楽しみにしてます』
画面を伏せて、天井を見つめる。
一夜限りのつもりだった。
でも、どうやら――
始まってしまったらしい。
目覚ましが鳴る前に、目が覚めた。
平日の朝なんて、いつもはギリギリまで寝ているのに。
カーテン越しの薄い光を見ながら、昨夜――いや、正確には“今朝”のことを思い出していた。
バーで出会った女性。
名前を交換したばかりの、まだ「彼女」と呼ぶには早すぎる人。
軽い関係のつもりだった。
正直に言えば、最初はそれ以上の期待なんてなかった。
なのに。
ベッドの中で、彼女の寝顔を見た瞬間、
「もう少し、この時間が続けばいいのに」なんて思ってしまった自分がいる。
——やばいな。
こういう感情は、なるべく持たないようにしてきた。
期待すると、面倒になる。
踏み込みすぎると、傷つく。
だから今までは、朝になればさっさと身支度して、
連絡先を聞かれても曖昧に笑って終わらせてきた。
でも今回は違った。
彼女が「終わりですよね」と言ったとき、
胸の奥が、妙に締めつけられた。
自分から連絡先を聞いたのなんて、久しぶりだった。
いや、正確に言えば、“聞きたいと思った”のが久しぶりだった。
スマホを手に取る。
彼女とのトーク画面。
『無事、着きました?』
送信したのは、ただそれだけ。
気の利いた言葉なんて思いつかなかった。
少しして、返信が来る。
『はい。今、駅です』
たった一文なのに、肩の力が抜けた。
無事に帰れた、それだけで、なぜか安心する。
——何やってるんだ、俺。
軽い気持ちのはずだった。
一夜限り、の延長線上にある関係。
なのに、もう一度会えるかどうかを考えている。
仕事に向かう電車の中でも、彼女のことが頭から離れなかった。
昨夜の会話。
少し照れた笑い方。
不器用に触れてきた指先。
体の相性が良かった、だけじゃない。
それ以上に、“間”が合った気がした。
昼休み、同僚とコンビニに向かいながら、ふと思う。
——もし、また会うなら。
何をする?
食事?
それとも、また愚痴を言い合うだけ?
「……いや、考えすぎだろ」
誰に聞かせるでもなく、小さく呟く。
スマホが震えた。
彼女からだ。
『昨日のバー、雰囲気よかったですね』
その文を見て、自然と口角が上がった。
『ですよね。落ち着いてて』
即レスしている自分に気づいて、苦笑する。
少し間があって、次のメッセージ。
『また、行きます?』
その一文を見た瞬間、胸が跳ねた。
——向こうも、同じことを考えてる。
指が、少しだけ震える。
慎重になる理由なんて、特にないはずなのに。
『ぜひ。今度は、もう少し早い時間で』
送信。
既読がつく。
数秒後。
『嬉しいです』
短い言葉。
でも、その奥に、昨夜と同じ温度を感じた。
その日の仕事は、正直、あまり身が入らなかった。
集中しようとするたびに、彼女の笑顔が浮かぶ。
夜、帰宅してシャワーを浴びながら、思う。
——これ、軽い関係じゃないよな。
まだ、何も始まっていない。
名前を知って、連絡先を交換しただけ。
それなのに、
「次」があることを、当たり前のように想像している。
ベッドに横になり、スマホを手に取る。
『日程、また連絡しますね』
そう送ると、すぐに返ってきた。
『はい。楽しみにしてます』
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一夜限りのつもりだった。
でも、どうやら――
始まってしまったらしい。
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