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「エリアーヌ、よく来たわね」
舞踏会の当日、華やかな音楽が響き渡る大広間に足を踏み入れた瞬間、王妃さまから声をかけられた。私はドレスの裾を踏みそうになりながら、ぎこちなくお辞儀をする。
「王妃さま、本日は招いてくださりありがとうございます」
「形式的な挨拶はいいわ」
王妃さまの言葉に、周囲の貴族が静まり返るのを感じる。誰もが注目する中、私は震える手を必死に握りしめた。
「舞踏会を楽しむのは大切だけれど、もし何かあったら私のところへ来るといい。あなたは王太子の婚約者として特別な立場にあるのだから」
「……ありがとうございます」
それが王妃さまなりの優しさなのか、あるいは私を監視するつもりなのか。どちらにせよ、冷ややかなだけの人物ではないことはわかる。
「母上、エリアーヌをあまり脅かさないでよ」
後ろからエドワード殿下が割り込んでくる。彼はさっと私の手を取り、にこやかな笑みを浮かべた。
「エリアーヌ、今日のドレスとても素敵だね」
「そ、そうでしょうか。お母さまが選んでくれたんです」
淡いブルーを基調としたドレスに、繊細なレースが施されている。私には少し派手かもと思ったが、エドワード殿下はしきりに褒めてくれる。
「殿下、そんなにベタ褒めしなくても……」
「いいじゃないか。美しいものを美しいと言うのは当然さ」
そんな気軽な会話を交わしていると、遠くからマリアが鋭い視線を送ってきた。彼女のドレスは深いエメラルドグリーンで、堂々たる気品が漂っている。
「エリアーヌ、行くわよ」
小さく口の形でそう告げているように見える。いよいよ、私がわざと殿下を遠ざけるような振る舞いをして、マリアを押し上げる段取りに入るのだろう。
「殿下、私はちょっと……」
そう言いかけた瞬間、会場の端がざわついた。衛兵が走り回り、何かを探しているような様子だ。見ると、王妃さまも鋭い目つきで周囲を見回している。
「何かあったのか?」
エドワード殿下が衛兵に声をかけると、衛兵は緊張した面持ちで答える。
「どうも、不審者が紛れ込んだという通報がありまして、殿下と王妃さまへの危害を狙っている可能性があると」
「なんだって」
殿下は目を見開き、私の手をぎゅっと握った。まさか本当にトラブルが起こるなんて。
「エリアーヌ、離れないで。危ないかもしれない」
「で、でも私……」
私は王妃さまの言葉を思い出す。何かあれば私のところへ来いと。ただ、殿下は私をしっかりと守ろうとしてくれているようだ。
「母上、僕がエリアーヌを守ります。母上は安全な場所へ」
エドワード殿下は静かに王妃さまを促そうとするが、王妃さまは動かない。その瞳には迷いと、それから不屈の決意が滲んでいる。
「いいえ、私はここに残るわ。王妃として、民が集うこの場を放ってはおけない」
王妃さまの言葉に、殿下は少し言葉を失う。私もまた、その強い意志に圧倒されるばかりだ。
「危険かもしれません。どうするんですか」
つい声を漏らす私に、王妃さまが短く答える。
「私は王国を護る。それが私の務めよ」
その一言がやけに胸に響いた。彼女の冷たい表情の奥には、この国と民を守ろうとする強い決意があるのだと、改めて思い知らされたような気がする。
舞踏会の当日、華やかな音楽が響き渡る大広間に足を踏み入れた瞬間、王妃さまから声をかけられた。私はドレスの裾を踏みそうになりながら、ぎこちなくお辞儀をする。
「王妃さま、本日は招いてくださりありがとうございます」
「形式的な挨拶はいいわ」
王妃さまの言葉に、周囲の貴族が静まり返るのを感じる。誰もが注目する中、私は震える手を必死に握りしめた。
「舞踏会を楽しむのは大切だけれど、もし何かあったら私のところへ来るといい。あなたは王太子の婚約者として特別な立場にあるのだから」
「……ありがとうございます」
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「母上、エリアーヌをあまり脅かさないでよ」
後ろからエドワード殿下が割り込んでくる。彼はさっと私の手を取り、にこやかな笑みを浮かべた。
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淡いブルーを基調としたドレスに、繊細なレースが施されている。私には少し派手かもと思ったが、エドワード殿下はしきりに褒めてくれる。
「殿下、そんなにベタ褒めしなくても……」
「いいじゃないか。美しいものを美しいと言うのは当然さ」
そんな気軽な会話を交わしていると、遠くからマリアが鋭い視線を送ってきた。彼女のドレスは深いエメラルドグリーンで、堂々たる気品が漂っている。
「エリアーヌ、行くわよ」
小さく口の形でそう告げているように見える。いよいよ、私がわざと殿下を遠ざけるような振る舞いをして、マリアを押し上げる段取りに入るのだろう。
「殿下、私はちょっと……」
そう言いかけた瞬間、会場の端がざわついた。衛兵が走り回り、何かを探しているような様子だ。見ると、王妃さまも鋭い目つきで周囲を見回している。
「何かあったのか?」
エドワード殿下が衛兵に声をかけると、衛兵は緊張した面持ちで答える。
「どうも、不審者が紛れ込んだという通報がありまして、殿下と王妃さまへの危害を狙っている可能性があると」
「なんだって」
殿下は目を見開き、私の手をぎゅっと握った。まさか本当にトラブルが起こるなんて。
「エリアーヌ、離れないで。危ないかもしれない」
「で、でも私……」
私は王妃さまの言葉を思い出す。何かあれば私のところへ来いと。ただ、殿下は私をしっかりと守ろうとしてくれているようだ。
「母上、僕がエリアーヌを守ります。母上は安全な場所へ」
エドワード殿下は静かに王妃さまを促そうとするが、王妃さまは動かない。その瞳には迷いと、それから不屈の決意が滲んでいる。
「いいえ、私はここに残るわ。王妃として、民が集うこの場を放ってはおけない」
王妃さまの言葉に、殿下は少し言葉を失う。私もまた、その強い意志に圧倒されるばかりだ。
「危険かもしれません。どうするんですか」
つい声を漏らす私に、王妃さまが短く答える。
「私は王国を護る。それが私の務めよ」
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