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「やっぱり、私は王妃さまが怖い……けど」
翌朝、私は一人ベランダから庭を眺めながら呟いていた。母から聞いた話を思い返すたびに、胸がざわつく。あれほど怖かった王妃さまも、かつては一人の優しい女性であり、今も国を護るために自分を律しているのだと。
「そんな人を、私は……怖いからと言って拒絶して、嫌われる覚悟で婚約破棄しようとしている」
自分の意志を再確認すると、少しだけ視界が開けた気がする。逃げ腰であっても、私は私なりの覚悟を持っているということだ。
「おはよう、エリアーヌ」
そこにやってきたのはセス。幼馴染の彼が、騎士候補生の制服を身につけて立っていた。その穏やかな笑みは、いつ見ても安心感を与えてくれる。
「セス、こんな朝早くどうしたの」
「王宮の訓練がある前に、ちょっと寄ってみたんだ。王妃さまに直接掛け合ったって聞いたから、心配でさ」
「心配かけてごめんね。でも、私は大丈夫」
ぎこちなく微笑むと、セスは真剣な眼差しで私を見つめる。
「本当に大丈夫? 王太子殿下と王妃さまを相手にするって、相当なことだよ」
「うん。正直、めちゃくちゃ怖い。だけど、逃げるだけじゃダメだって気づいたから」
セスは少し意外そうに目を見開いた。
「エリアーヌがそんなことを言うなんて。変わったね」
「変わったのかな。私だって、自分がここまでできると思わなかったけど」
言いながら、自分でも不思議な感覚に包まれる。かつてはただ王妃さまの噂話におびえていた私が、今は直接国王陛下にまで掛け合おうとしているのだから。
「王妃さまも、実はすごく優しいところがあるんじゃないかって、お母さまから聞いたの。だから、私も少しだけ勇気が出てきたんだ」
「そっか」
セスは満足そうに微笑む。まるで成長を喜んでくれているようで、嬉しくなる。
「もしどうしてもダメなら、俺が君を連れ出すよ。王都から逃げる選択肢だってある」
「ふふ、心強いわ。ありがとう、セス」
二人で穏やかに笑い合った後、セスは「そろそろ行くよ」と王宮へ向かうために立ち去った。私はその背中を見送りながら、もう一度空を見上げる。
「ちょっとだけ前を向けた気がする」
王妃さまの恐怖はまだ消えてはいない。婚約破棄という大目標も、これから大きな障害にぶつかるだろう。それでも、一歩ずつ進もう。マリアやエドワード殿下、そして王妃さまとも、きっとまだ色々なことが起こるはずだ。
私はそう決意を胸に、今日も屋敷を出た。中途半端な逃げ腰ではもういられない。怖さを抱えながらでも前へ進む――そんな小さな決心を携えて。
翌朝、私は一人ベランダから庭を眺めながら呟いていた。母から聞いた話を思い返すたびに、胸がざわつく。あれほど怖かった王妃さまも、かつては一人の優しい女性であり、今も国を護るために自分を律しているのだと。
「そんな人を、私は……怖いからと言って拒絶して、嫌われる覚悟で婚約破棄しようとしている」
自分の意志を再確認すると、少しだけ視界が開けた気がする。逃げ腰であっても、私は私なりの覚悟を持っているということだ。
「おはよう、エリアーヌ」
そこにやってきたのはセス。幼馴染の彼が、騎士候補生の制服を身につけて立っていた。その穏やかな笑みは、いつ見ても安心感を与えてくれる。
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「心配かけてごめんね。でも、私は大丈夫」
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「本当に大丈夫? 王太子殿下と王妃さまを相手にするって、相当なことだよ」
「うん。正直、めちゃくちゃ怖い。だけど、逃げるだけじゃダメだって気づいたから」
セスは少し意外そうに目を見開いた。
「エリアーヌがそんなことを言うなんて。変わったね」
「変わったのかな。私だって、自分がここまでできると思わなかったけど」
言いながら、自分でも不思議な感覚に包まれる。かつてはただ王妃さまの噂話におびえていた私が、今は直接国王陛下にまで掛け合おうとしているのだから。
「王妃さまも、実はすごく優しいところがあるんじゃないかって、お母さまから聞いたの。だから、私も少しだけ勇気が出てきたんだ」
「そっか」
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「もしどうしてもダメなら、俺が君を連れ出すよ。王都から逃げる選択肢だってある」
「ふふ、心強いわ。ありがとう、セス」
二人で穏やかに笑い合った後、セスは「そろそろ行くよ」と王宮へ向かうために立ち去った。私はその背中を見送りながら、もう一度空を見上げる。
「ちょっとだけ前を向けた気がする」
王妃さまの恐怖はまだ消えてはいない。婚約破棄という大目標も、これから大きな障害にぶつかるだろう。それでも、一歩ずつ進もう。マリアやエドワード殿下、そして王妃さまとも、きっとまだ色々なことが起こるはずだ。
私はそう決意を胸に、今日も屋敷を出た。中途半端な逃げ腰ではもういられない。怖さを抱えながらでも前へ進む――そんな小さな決心を携えて。
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