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《悟side》
富田と俺は高校時代、まあ同族、いわゆる陽キャという部類だったのだろう。
良くも悪くも目立った。
富田の話は俺が聞かなくても周りからの話で入ってくる。さほど興味も示してなかった。けれど、富田は違った。
俺の事を敵視していた。
容姿も、人望も、運動神経や学力など、確かに富田は良かったけれど俺ほどでは無かったらしい。常に比べられて俺に対して劣等感を抱いていた。俺としては知ったこっちゃないという感じだが、その様に飄々とした態度もあいつの神経を逆撫でする原因になったのだろう。
あいつは常に俺の粗を探していた。
出会う度にネチネチ嫌味を言われていたが、それとなく無視していた。
そんな時、俺は見つけてしまった。俺のオアシスである陸人を。
陸人と富田コンビはよく一緒にいたので俺も、毛色が違う感じだなと思っていたけれど、何となく目につく。何も無いところで転けたり、中庭で鳥にパンをあげてたり、体育のボールを自分で蹴ってそのボールにぶつかったりと、見る度はらはらさせるような感じだった。
いわゆる不思議くん。何となく目で追ってしまっていた。
富田との身長差もあり、小さい小動物のようにちょこまかついて歩く姿は可愛かった。
いいな。仲良くなりたいな。俺にもその笑顔向けて欲しいな。
そんな風に思うようになっていた。
ある日の登校時間、たまたま、本当にたまたま陸人が階段から降ってきた。俺はその真下にいて、陸人を怪我させてはいけないと下敷きになってカバーした。
幸いどっちも怪我はなかった。けれど俺は大怪我をおった。
こぼれ落ちそうな大きな瞳、赤ちゃんかよと思うほどのツヤツヤ唇、真っ白の肌、ほっそい腰。遠巻きに見てた時には感じなかった高揚感、幸福感。俺は思わず腰を引き寄せ、抱きしめてしまった。
「あ、あの、新島…くん?」
『あ…ああ。ごめん。階段から落ちてきたからびっくりして。怪我は無い?どこも痛くない?』
「うん、大丈夫!ありがとう~」
何となく腰を抱く手に力が入る。
まだ、離したくない。
すると後ろから、
「陸人!」
「仁くん!」
「何してんの?てかなんで新島が陸人と抱き合ってんの?」
「違うよ~、新島くんは僕が階段から落ちたところをキャッチしてくれたの、怪我もないよ!」
「は?お前また、怪我しそうになってんの?もうやめろよ、心配する」
「はは、仁くん母さんみたい笑それより早く教室いこ!新島くんもありがとう!」
俺の腕の中からするりと抜けて、富田と肩を並べて教室まで歩いていく。
俺はその後ろ姿を見続けるしか無かった。
そして自覚した。
俺、陸人が好きなんだ。
富田と俺は高校時代、まあ同族、いわゆる陽キャという部類だったのだろう。
良くも悪くも目立った。
富田の話は俺が聞かなくても周りからの話で入ってくる。さほど興味も示してなかった。けれど、富田は違った。
俺の事を敵視していた。
容姿も、人望も、運動神経や学力など、確かに富田は良かったけれど俺ほどでは無かったらしい。常に比べられて俺に対して劣等感を抱いていた。俺としては知ったこっちゃないという感じだが、その様に飄々とした態度もあいつの神経を逆撫でする原因になったのだろう。
あいつは常に俺の粗を探していた。
出会う度にネチネチ嫌味を言われていたが、それとなく無視していた。
そんな時、俺は見つけてしまった。俺のオアシスである陸人を。
陸人と富田コンビはよく一緒にいたので俺も、毛色が違う感じだなと思っていたけれど、何となく目につく。何も無いところで転けたり、中庭で鳥にパンをあげてたり、体育のボールを自分で蹴ってそのボールにぶつかったりと、見る度はらはらさせるような感じだった。
いわゆる不思議くん。何となく目で追ってしまっていた。
富田との身長差もあり、小さい小動物のようにちょこまかついて歩く姿は可愛かった。
いいな。仲良くなりたいな。俺にもその笑顔向けて欲しいな。
そんな風に思うようになっていた。
ある日の登校時間、たまたま、本当にたまたま陸人が階段から降ってきた。俺はその真下にいて、陸人を怪我させてはいけないと下敷きになってカバーした。
幸いどっちも怪我はなかった。けれど俺は大怪我をおった。
こぼれ落ちそうな大きな瞳、赤ちゃんかよと思うほどのツヤツヤ唇、真っ白の肌、ほっそい腰。遠巻きに見てた時には感じなかった高揚感、幸福感。俺は思わず腰を引き寄せ、抱きしめてしまった。
「あ、あの、新島…くん?」
『あ…ああ。ごめん。階段から落ちてきたからびっくりして。怪我は無い?どこも痛くない?』
「うん、大丈夫!ありがとう~」
何となく腰を抱く手に力が入る。
まだ、離したくない。
すると後ろから、
「陸人!」
「仁くん!」
「何してんの?てかなんで新島が陸人と抱き合ってんの?」
「違うよ~、新島くんは僕が階段から落ちたところをキャッチしてくれたの、怪我もないよ!」
「は?お前また、怪我しそうになってんの?もうやめろよ、心配する」
「はは、仁くん母さんみたい笑それより早く教室いこ!新島くんもありがとう!」
俺の腕の中からするりと抜けて、富田と肩を並べて教室まで歩いていく。
俺はその後ろ姿を見続けるしか無かった。
そして自覚した。
俺、陸人が好きなんだ。
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