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慰み者2
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上下の唇の間を舌でなぞられ、反射的に歯を噛みしめる。
「ん……っ」
「はは、そう簡単には許さない?」
唇が離されたことにほっとしたが、それだけでは済まなかった。再び男が顔を近づけてきた。赤い舌先が視界に入る。
ぬるりと唇に舌が這ったかと思えばすぐにかすかな痛みを感じ、ミレイユは肩を強張らせた。唇を噛まれたのだ。
「い、っ」
悲鳴が漏れた時にできた隙間に、爪の先を差し込まれる。すぐに歯列を押し分けるようにして指が入ってきた。
「噛むなよ」
舌を押さえられた状態では、答えようもない。口内の指は、ミレイユの舌の表面をくすぐりながら奥まで入り込んでくる。
息苦しさに喉を鳴らすと、くるりと指の向きの上下が返り、上顎の裏を指の腹が撫でた。
「んんっ」
ミレイユの口から小さく声が漏れると、男は機嫌が良さそうに目を細めた。警戒心が騒ぐ。
かぎ爪のように曲げた指の背が舌を圧迫する。指先が上顎の溝に触れると、ミレイユはびくっと背を反らした。
「あー、才能ありそうだな」
何を言いたいかわからない。ただ、今の動きを繰り返されると、鼻に抜けるような声が零れてしまう。ぞわぞわした感覚に身体が勝手に動いて、シーツが乱れる。
口の中に溜まった唾液を飲み下したいのに、指が邪魔をしてうまくいかない。
「やっ」
得体の知れない感覚に攫われそうで、目に涙が浮かんだ。溢れた唾液が口の端から零れ落ちる。首筋まで伝うその雫を、待ち構えていたように男の舌が舐め取った。
「ひ、やめ……」
身体をよじるものの、腰を押さえつけられていて、逃れられない。もう片方の手は、ミレイユの舌をもてあそんでいた。口内をいじられると、意思とは逆に身体から力が抜けてしまう。
その間に男はミレイユの素肌を暴いていった。
嫌悪を感じるべきなのに、唇や指先で素肌に触れられると、頭がぼうっと霞んでしまう。
いつの間にか、男の指が下肢に伸びていた。太ももをゆっくり撫で上げられ、反射的に足を閉じる。
「無駄だ」
膝を左右に割り開かれ、その間に男の腰が入り込む。ペチコートの裾が大きくまくれ、露出した脚に這う手のひらは熱い。片手はいまだミレイユの口内を蹂躙している。
男はミレイユの片足を押さえ込んだまま、その付け根にしっかりと腰を重ね、軽く揺らしてくる。
交接を思わせる動きに、羞恥と屈辱で目の奥が熱くなった。
「これくらいの経験はあるんだろう?」
問いを向けられ、必死で首を振る。
「嘘つけ。フォール伯爵令嬢は男狂いと噂になってる」
それこそ虚言だ。この数年、ミレイユは男性と知り合う機会すらなかった。
「心配しなくても、俺は淫らな女は好きだ」
耳元に艶めいた囁きが落とされた。耳に、口内に、そして肌に刻まれる感覚は確かに暴力のはずなのに、ひどく甘い。
屈服させるための手段は苦痛だけではないと言った彼の言葉の意味を、一晩かけて思い知らされた。
抵抗できないのは、仕返しが恐ろしいから。生存本能がそうさせる。必死にそう思い込もうとしている自分に気づき、ミレイユは自己嫌悪に陥った。
「ん……っ」
「はは、そう簡単には許さない?」
唇が離されたことにほっとしたが、それだけでは済まなかった。再び男が顔を近づけてきた。赤い舌先が視界に入る。
ぬるりと唇に舌が這ったかと思えばすぐにかすかな痛みを感じ、ミレイユは肩を強張らせた。唇を噛まれたのだ。
「い、っ」
悲鳴が漏れた時にできた隙間に、爪の先を差し込まれる。すぐに歯列を押し分けるようにして指が入ってきた。
「噛むなよ」
舌を押さえられた状態では、答えようもない。口内の指は、ミレイユの舌の表面をくすぐりながら奥まで入り込んでくる。
息苦しさに喉を鳴らすと、くるりと指の向きの上下が返り、上顎の裏を指の腹が撫でた。
「んんっ」
ミレイユの口から小さく声が漏れると、男は機嫌が良さそうに目を細めた。警戒心が騒ぐ。
かぎ爪のように曲げた指の背が舌を圧迫する。指先が上顎の溝に触れると、ミレイユはびくっと背を反らした。
「あー、才能ありそうだな」
何を言いたいかわからない。ただ、今の動きを繰り返されると、鼻に抜けるような声が零れてしまう。ぞわぞわした感覚に身体が勝手に動いて、シーツが乱れる。
口の中に溜まった唾液を飲み下したいのに、指が邪魔をしてうまくいかない。
「やっ」
得体の知れない感覚に攫われそうで、目に涙が浮かんだ。溢れた唾液が口の端から零れ落ちる。首筋まで伝うその雫を、待ち構えていたように男の舌が舐め取った。
「ひ、やめ……」
身体をよじるものの、腰を押さえつけられていて、逃れられない。もう片方の手は、ミレイユの舌をもてあそんでいた。口内をいじられると、意思とは逆に身体から力が抜けてしまう。
その間に男はミレイユの素肌を暴いていった。
嫌悪を感じるべきなのに、唇や指先で素肌に触れられると、頭がぼうっと霞んでしまう。
いつの間にか、男の指が下肢に伸びていた。太ももをゆっくり撫で上げられ、反射的に足を閉じる。
「無駄だ」
膝を左右に割り開かれ、その間に男の腰が入り込む。ペチコートの裾が大きくまくれ、露出した脚に這う手のひらは熱い。片手はいまだミレイユの口内を蹂躙している。
男はミレイユの片足を押さえ込んだまま、その付け根にしっかりと腰を重ね、軽く揺らしてくる。
交接を思わせる動きに、羞恥と屈辱で目の奥が熱くなった。
「これくらいの経験はあるんだろう?」
問いを向けられ、必死で首を振る。
「嘘つけ。フォール伯爵令嬢は男狂いと噂になってる」
それこそ虚言だ。この数年、ミレイユは男性と知り合う機会すらなかった。
「心配しなくても、俺は淫らな女は好きだ」
耳元に艶めいた囁きが落とされた。耳に、口内に、そして肌に刻まれる感覚は確かに暴力のはずなのに、ひどく甘い。
屈服させるための手段は苦痛だけではないと言った彼の言葉の意味を、一晩かけて思い知らされた。
抵抗できないのは、仕返しが恐ろしいから。生存本能がそうさせる。必死にそう思い込もうとしている自分に気づき、ミレイユは自己嫌悪に陥った。
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