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第3章 花壇と花畑
21話 植物系男子
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今日の僕たちは、花壇に行ってみることになっている。
この前、カレストラさんが言ってくれた花壇の手入れというのがどんなものなのかを見学して、手伝うためである。
だから朝日を浴びた後、朝食終えた僕たちは、城の外へと出ていた。
眩しい太陽が出迎えてくれる。息を吸えば、新鮮な空気も出迎えてくれる。
花の国に来てからは、なんだか体が軽いし、気分がずっとスッキリしている。
空気も新鮮で美味しいし、風に乗って花のいい香りが香ってくるから、この国は気持ちの良い場所だった。
「では、花壇までの案内は私がつとめさせていただきます」
城の入り口のところで、リーネさんが改めてそう言ってくれる。
「プラン様、アリアさん、私もご一緒できればよかったのですが、時間を作れそうになくてダメみたいです……」
見送りに来てくれたカレストラさんが目尻を下げて、肩を落とした。
カレストラさんは花の国をまとめている人だ。そして花の国は天候に左右されて、忙しくなったりもするらしい。
本当は今日のカレストラさんも花壇に来れる予定だったけど、急な仕事ができてしまったとのことだった。
「大丈夫ですよ。カレストラ様の分まで、私がプラン様とアリアさんを案内するので」
「でもぉ……」
「大丈夫です。私がきちんとプラン様と仲良くなっておきますので、どうぞ、カレストラ様はご安心ください」
「むっ、リーネのいじわるっ」
「「あっ、可愛いっ」」
頬を膨らませたカレストラさんを見て、アリアさんとリーネさんがくすりと微笑んでいた。
それから僕たちはカレストラさんに見送られて、歩いて城を出発する。
城の敷地内を出た後は、街の中を歩き始め、遠くに見える花壇を目指す。
この街のつくりは、国の中央に城が建っていて、それを囲むように街が出来上がっている。
街のつくりは普通の国とは変わらないものの、いろんな色に溢れていて、とにかく花の甘いいい匂い香りが漂ってきていた。
あと、そんな街の中を歩いていると、最初この国に来た時みたいに人だかりができ始めて……。
「見て! あれはプラン様よ!」
「やだ……! こんな近くで見れるなんて……!」
「プラン様、花壇に向かっておられるんじゃない……!」
「「「きゃ~~! プラン様~~~! おはよう~~~!」」」
どっと黄色い声援が湧き立った。
「プラン様、彼女たちに、是非、手を振ってあげてください」
「は、はい……」
リーネさんに頷き、手を振ってみる。
すると、
「「「きゃ~~~~! プラン様素敵~~~~~!」」」
「プランくん、とってもモテモテだ~~~!」
周りの少女たちが頬を赤く染めて、アリアさんまでも頬を赤く染めた。
「~~~~っ」
……やっぱりまだ慣れない。
顔が熱くなる……。
「「「きゃ~~~! プラン様ってば、また照れてる~~! 植物系男子~~~~!」」」
しょ、植物系男子……。
「直に慣れますよ。プラン様は少しずつでいいと思います」
「は、はい……」
リーネさんの言葉に僕は頷いた。
それからほどなくして、僕たちは花壇にたどり着いた。
「着きました」
目の前に広がっているのは、色とりどりの花が咲いている花壇だ。
イメージとしては、畑みたいに大きい場所だと思った方が近いかもしれない。
もちろん畑と違って、華やかさが前面に押し出されている。
土が耕されていて、等間隔で同じ種類の花が、色によって分けられて花びらを開いている。
「ここは、加工などにする際に使う花が植えられている花壇です。この国にはいくつか花壇がありますので、観賞用など、用途によって複数の花壇が別にあります」
「綺麗な花壇ですね……」
「うん! とっても綺麗に花が咲いてる!」
リーネさんの解説を聞きながら、僕とアリアさんは花壇に見とれていた。
とにかく綺麗な光景だった。一本一本丁寧に育てられているのが、花に疎い僕でも分かる。
花壇は住人全員で交代で手入れをすることになっているらしい。
毎日、一箇所につき10人ほどで作業をするとのことだった。
「この花壇を担当しているのは、ローズマリーという子です。……あ、来ましたね。あの子がローズマリーです」
リーネさんが指し示す。
そこにいたのは、青い髪をした一人の少女で、
「きゃ~~! 本当にプラン様が来てくれた~~~! 幸せ~~~!」
「むぐ……っ」
ああ、また甘い香りが……。
走ってきたローズマリーさんは、その勢いのまま僕をぎゅっと抱きしめてくれる。
そして彼女は抱きしめたまま、僕の顔に頬ずりもしてくれるのだった。
「プラン様、お待ちしておりました! うちの花壇にようこそ!」
この前、カレストラさんが言ってくれた花壇の手入れというのがどんなものなのかを見学して、手伝うためである。
だから朝日を浴びた後、朝食終えた僕たちは、城の外へと出ていた。
眩しい太陽が出迎えてくれる。息を吸えば、新鮮な空気も出迎えてくれる。
花の国に来てからは、なんだか体が軽いし、気分がずっとスッキリしている。
空気も新鮮で美味しいし、風に乗って花のいい香りが香ってくるから、この国は気持ちの良い場所だった。
「では、花壇までの案内は私がつとめさせていただきます」
城の入り口のところで、リーネさんが改めてそう言ってくれる。
「プラン様、アリアさん、私もご一緒できればよかったのですが、時間を作れそうになくてダメみたいです……」
見送りに来てくれたカレストラさんが目尻を下げて、肩を落とした。
カレストラさんは花の国をまとめている人だ。そして花の国は天候に左右されて、忙しくなったりもするらしい。
本当は今日のカレストラさんも花壇に来れる予定だったけど、急な仕事ができてしまったとのことだった。
「大丈夫ですよ。カレストラ様の分まで、私がプラン様とアリアさんを案内するので」
「でもぉ……」
「大丈夫です。私がきちんとプラン様と仲良くなっておきますので、どうぞ、カレストラ様はご安心ください」
「むっ、リーネのいじわるっ」
「「あっ、可愛いっ」」
頬を膨らませたカレストラさんを見て、アリアさんとリーネさんがくすりと微笑んでいた。
それから僕たちはカレストラさんに見送られて、歩いて城を出発する。
城の敷地内を出た後は、街の中を歩き始め、遠くに見える花壇を目指す。
この街のつくりは、国の中央に城が建っていて、それを囲むように街が出来上がっている。
街のつくりは普通の国とは変わらないものの、いろんな色に溢れていて、とにかく花の甘いいい匂い香りが漂ってきていた。
あと、そんな街の中を歩いていると、最初この国に来た時みたいに人だかりができ始めて……。
「見て! あれはプラン様よ!」
「やだ……! こんな近くで見れるなんて……!」
「プラン様、花壇に向かっておられるんじゃない……!」
「「「きゃ~~! プラン様~~~! おはよう~~~!」」」
どっと黄色い声援が湧き立った。
「プラン様、彼女たちに、是非、手を振ってあげてください」
「は、はい……」
リーネさんに頷き、手を振ってみる。
すると、
「「「きゃ~~~~! プラン様素敵~~~~~!」」」
「プランくん、とってもモテモテだ~~~!」
周りの少女たちが頬を赤く染めて、アリアさんまでも頬を赤く染めた。
「~~~~っ」
……やっぱりまだ慣れない。
顔が熱くなる……。
「「「きゃ~~~! プラン様ってば、また照れてる~~! 植物系男子~~~~!」」」
しょ、植物系男子……。
「直に慣れますよ。プラン様は少しずつでいいと思います」
「は、はい……」
リーネさんの言葉に僕は頷いた。
それからほどなくして、僕たちは花壇にたどり着いた。
「着きました」
目の前に広がっているのは、色とりどりの花が咲いている花壇だ。
イメージとしては、畑みたいに大きい場所だと思った方が近いかもしれない。
もちろん畑と違って、華やかさが前面に押し出されている。
土が耕されていて、等間隔で同じ種類の花が、色によって分けられて花びらを開いている。
「ここは、加工などにする際に使う花が植えられている花壇です。この国にはいくつか花壇がありますので、観賞用など、用途によって複数の花壇が別にあります」
「綺麗な花壇ですね……」
「うん! とっても綺麗に花が咲いてる!」
リーネさんの解説を聞きながら、僕とアリアさんは花壇に見とれていた。
とにかく綺麗な光景だった。一本一本丁寧に育てられているのが、花に疎い僕でも分かる。
花壇は住人全員で交代で手入れをすることになっているらしい。
毎日、一箇所につき10人ほどで作業をするとのことだった。
「この花壇を担当しているのは、ローズマリーという子です。……あ、来ましたね。あの子がローズマリーです」
リーネさんが指し示す。
そこにいたのは、青い髪をした一人の少女で、
「きゃ~~! 本当にプラン様が来てくれた~~~! 幸せ~~~!」
「むぐ……っ」
ああ、また甘い香りが……。
走ってきたローズマリーさんは、その勢いのまま僕をぎゅっと抱きしめてくれる。
そして彼女は抱きしめたまま、僕の顔に頬ずりもしてくれるのだった。
「プラン様、お待ちしておりました! うちの花壇にようこそ!」
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