聖女と作る眷属のハーレム 〜人知れず村の生活を豊かにしていた少年は、いずれ全ての聖女たちから溺愛されることになるそうです〜

カミキリ虫

文字の大きさ
7 / 132
プロローグ

7話 秘められたスキル

しおりを挟む
 
「お二人とも、昨晩はお楽しみでしたね」

「「~~~~」」

 ……み、見抜かれている……。

「って、あら! いけない! 私ったら! 変なこと言ってごめんなさいね……! 二人とも。おほほっ!」

「「~~~~」」

 そう言いながら、アイリスさんは口に手を当てながら意味深に微笑んだ。



 必要なものをバッグに入れ、忘れ物がないか確認する。
 俺もバッグに魔石を詰めるだけ詰めて、旅支度を整えた。

 俺たちは村を出ることにした。
 元々、スキルが判明したらこの村を出る予定だったんだ。
 少し予定は変わってしまったけど、二人でこの村を出ることにする。

 あの日以来、テトラがその顔に暗い影を落とすことはもうなかった。
 旅の予定を決めている時のテトラは楽しそうに地図を広げ、「あそこに行きたい」とか「ここにも行きたいかも!」と行きたい場所の候補をあげてくれている。

 準備はすでに整っている。食料もわずかだけどある。
 その食料はパンだ。このパンは、アイリスさんが持ってきてくれたものだ。

 あの日以来、俺たちは家から出ていない。
 村の住人、神父様や教会の人が聖女になったテトラの様子を訪ねてくるけど、テトラは誰とも会いたがらない。だけど、アイリスさんだけは別なようで、ドアを開け、家の中に招いている。

『アイリスさんなら大丈夫だから』

 とテトラ。

『アイリスさんなら安心できるの』

 なんとなくだけど、それは俺も思った。
 それにアイリスさんは時間とかも考えてきてくれる。

 だからこそ、今もそのアイリスさんはうちを訪ねてきてくれていて、

「ほほう……。それじゃあついに今日、決行するのね」

 俺とテトラが隣り合って座っているテーブルを挟んで、アイリスさんが改めてそれを確認してくる。

「はい。アイリスさんにはいつもお世話になりました。アイリスさんのところで買うパンは美味しかったです」

「ありがと、テトラちゃん。今日もパンをどっさり持ってきたから、旅の食料に食べてね」

「やった……! アイリスさん、大好き……!」

 テトラがアイリスさんを抱きしめる。
 そんなテトラをアイリスさんが見守るように見ていた。

 アイリスさんは、テトラにとって姉のような存在でもあった。
 俺たちよりもいくつか年上のアイリスさんは、エプロン姿で、頭巾を被り、金色の髪をきっちりと整えている。

「二人は今まで頑張ってきたもんね。テオくんはテトラちゃんのために一生懸命に頑張ってきて、テトラちゃんもテオくんを支えてた。お互いに支えあってたから、テトラちゃんが聖女だって分かった時、心配だったのよ……」

「「アイリスさん……」」

 アイリスさんが瞳を揺らし、俺たちの頭に手を伸ばしてくれる。

「ごめんなさいね……。もっと私も色々してあげれたらよかったんだけど……結局、私にはパンをサービスしてあげることしかできなかったわ……」

「そんなことないですよ! アイリスさんにはいつもお世話になってました! パンも安く売ってくれてましたもん。ね、テオ」

「うん。アイリスさんには、よくしてもらってばかりでした」

 感謝してもし足りない。
 どれだけ元気付けられたことか。
 今もこうして気にかけてくれているし、初めて会った時もそうだった。

「……ありがと。でも、それは私の方も同じよ。テオくんが加工してくれる魔石には、いつも力をもらってたもん。この前だって、疲労回復の魔石をくれたし、私今までテオくんにもらった物は全部取ってるんだからね。ほんと、テオくんはいい子だし、本当は私がテオくんをお婿さんにもらってあげる予定だったけど……それは一旦お預けみたいね」

 そう言って微笑みながら、何かを悟ったように、俺とテトラを見るアイリスさん。

「それにしても、二人はすっかり大人になったみたいね。特にテオくん。……テオくん、ついに男を見せたのね……?」

「そうなんですよぉ~。うちのテオくんったら、ほんと、かっこよくてぇ~」

「あらあら、すっかり惚気ちゃって」

 アイリスさんが口に手を当てて、くすりと笑った。

 そして、その顔にはどこか寂しさのようなものも漂っていて、隣にいるテトラもそれを感じ取っているようだった。

「はぁ~あ、二人がいなくなると、寂しくなるわね……。でも、二人はこの村から出た方がいいのは本当だし、これからも二人でいるためにはもうそれしかないんだもんね」

「「はい」」

 何度も考えた。
 だけどもうこれしか思いつかなかった。

 俺たちの選択肢は二つだけ。
 村を出るか、死ぬか。

「それか、死んで村を出るか……」

「……テトラちゃん!?」

 物騒なテトラの言葉に、アイリスさんが驚く。
 だけど……それは冗談とかではなくて、一応本気ではあった。

 この数日の間、俺とテトラはどんな風に村を出るか悩んだ。
 そして出した答えは、あまりオススメのできないものだった。できればやりたくはない方法だ。

 それでも……だ。

「教会だけはいけないわ。テオくんも……テトラちゃんも、なんとなく気づいているのよね」

 それは小さな呟きだった。
 最後の方の言葉は、静かに部屋の中に溶けていった。

 それを打ち消すようにアイリスさんが「あっ」と言い、

「そういえば……テオくんのスキルはどうなったのかな?」

「あ、それなら、判明しました! テオ、自分で分かったんだよね!」

「うん。頭に浮かんできた」

「ほほう。それは、気になるわね……!」

「そうなんですよぉ~、ね、テオ。アイリスさんに見せてあげよう?」

「い、いや、いいよ。……見せるほどのものでもないし」

「「え~、見たいなぁ~、テオくん、ちょっとでいいから見せて~」」

 ぐいっと、身を寄せる二人。
 甘い香りがふわりと香る。
 ……こうなった二人は諦めることはない。

 だから俺は近くにあった魔石を手に持つと、少しだけ使うことにした。

「確かこうやって……」

 ポッ、と俺の手のひらに小さなふわふわした光が浮かび上がる。


「「きゃ~~~~! 可愛い~~~~~~!」」


 その光を見て、喜びの声を上げる二人。
 眩しいその光は、生き物に見えなくもない。

 これが俺に宿っていたスキル『召喚術師』。
 魔石を代償にスキルを発動できるという、まだ弱々しい力だった。



 ・【スキル】召喚術師 ☆

 一般的なスキル。魔力を使い、召喚魔法を発動することができる。
 そして、稀に派生で、魔力ではなく魔石を代償にスキルを発動できる者もいるものの、こちらは用途が難しいため、ハズレスキルに分類される。

 一定の条件をクリアすれば、覚醒可能。 
 使用者によって、その効果は大幅に変化する。
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

スキルハンター~ぼっち&ひきこもり生活を配信し続けたら、【開眼】してスキルの覚え方を習得しちゃった件~

名無し
ファンタジー
 主人公の時田カケルは、いつも同じダンジョンに一人でこもっていたため、《ひきこうもりハンター》と呼ばれていた。そんなカケルが動画の配信をしても当たり前のように登録者はほとんど集まらなかったが、彼は現状が楽だからと引きこもり続けていた。そんなある日、唯一見に来てくれていた視聴者がいなくなり、とうとう無の境地に達したカケル。そこで【開眼】という、スキルの覚え方がわかるというスキルを習得し、人生を大きく変えていくことになるのだった……。

最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)

みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。 在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。

追放された最強ヒーラーは、美少女令嬢たちとハーレム生活を送る ~公爵令嬢も義妹も幼馴染も俺のことを大好きらしいので一緒の風呂に入ります~

軽井広@北欧美少女 書籍化!
ファンタジー
白魔道師のクリスは、宮廷魔導師団の副団長として、王国の戦争での勝利に貢献してきた。だが、国王の非道な行いに批判的なクリスは、反逆の疑いをかけられ宮廷を追放されてしまう。 そんなクリスに与えられた国からの新たな命令は、逃亡した美少女公爵令嬢を捕らえ、処刑することだった。彼女は敵国との内通を疑われ、王太子との婚約を破棄されていた。だが、無実を訴える公爵令嬢のことを信じ、彼女を助けることに決めるクリス。 クリスは国のためではなく、自分のため、そして自分を頼る少女のために、自らの力を使うことにした。やがて、同じような境遇の少女たちを助け、クリスは彼女たちと暮らすことになる。 一方、クリスのいなくなった王国軍は、隣国との戦争に負けはじめた……。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...