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第2章
53話 きゃ〜! 小さい女の子だ〜!
しおりを挟む「きたきたきた~! テオの『降臨の腕輪』が反応してるよ!!」
テトラのはしゃいだ声が空に響き渡る。
青々とした空に響いたその声を聞くと、俺はいつだって穏やかな気持ちになれた。
ここは、俺たちが住んでいた村の近くにある山。
村に魔物が押し寄せてきていた騒動がひと段落した俺たちは、未だに村のそばに滞在していた。
『ふふっ。メテオーノールくん。ついに新しい眷属を作ることができるのね』
そう言ったのは、白龍の月光龍さんだ。
陽の光が彼女の体を薄く照らし、白銀色の龍の体が月光の輝きを宿している。
今の俺たちは、そんな月光龍さんの巣にお世話になっている。
山の頂上にある、広い部屋のような所だ。
この前、月光龍さんが咆哮を上げてくれたおかげで、この近隣の魔物たちは大人しくなった。
だけど、万が一ということもある。だから俺たちは彼女の巣に滞在させてもらいながら、村に異常が起こる気配がないかを見守っている所だった。
「ふんっ! ようやく別の眷属が出てくるってことなのね! つまり私にも後輩ができるってことなのね!」
と、妙にそわそわしながら、嬉しそうにしているのはコーネリスだ。
最初の眷属の彼女は、どうやら新しい眷属ができるのを密かに待っていてくれたみたいだった。
「べっ、別に待ってたわけじゃないんだからね。ただ、後輩ができたら、思いっきり可愛がってあげようと思っただけでーー」
「「あ、素直じゃないコーネリスちゃんだ」」
『ふふっ。この子は、元気で私、とっても好きだわ』
すかさずコーネリスを見て微笑む月光龍。
その月光龍の瞳は、まるで孫を見守るような瞳に見えた。
「おばあちゃん! 茶化さないで!」
と、月光龍のことをおばあちゃんと呼んだコーネリス。
そんな感じで、俺も、テトラも、コーネリスも、今はゆったりとした日々を送ることができていた。
そして、俺の腕にはめられている『降臨の腕輪』がつい先ほど反応した。
腕輪に嵌っている琥珀色の宝石。それが淡い光を放ち始め、その時が来たのを教えてくれる。
つまり、眷属を作ることができるのだ。
「ねえ、テオ。次の眷属は男の子がいい? 女の子がいい? それとも……アイリスさんみたいな綺麗なお姉さんがいい?」
「…………」
「じーーー」
……どうしてか、ここでアイリスさんの名前を出すテトラ。
「ふぅん。でもこの前、テオくんはアイリスさんとキスしてたもんね。このタイミングで腕輪が反応したのも、そういうのが関係してくるんじゃないのかな? テオくんは年上のお姉さんのアイリスさんとキスをしたから、眷属を作れるようになったんじゃないのかな」
「あ、あれは……ほ、本当にごめん……」
ジトッとした目で、聞いてくるテトラ。
俺は震える声で謝った……。
……この前、アイリスさんと色々あった後、俺は二人っきりの場所でテトラにこってりと絞られることになった。
でも、それは俺が悪かった。テトラがいながら、アイリスさんと唇を重ねてしまったのだから……。
「ご主人様って、年上のお姉さんが好みだったのね。……ふぅん」
『メテオノールくん。あなたもやっぱり男だったのね。年上が好きなのね』
「…………」
と、あの時はコーネリスと月光龍にも、そんな風に意味深な目で見られた……。
そしてそのあとは、テトラにまた絞られて、夜になると色んなものまでテトラに搾り取られることにもなった……。
「ねえ……テオ? 私、信じてるからね? テオの本命が私だって信じてるからね? この前のアイリスさんとのキスのことはもう許したけど、それだけは忘れないでよね? んちゅっ」
そう告げながら、テトラが改めて俺の唇にキスをしてくれる。
柔らかい感触。
俺はそんなテトラのことを感じながら、改めて誓った。
テトラがもっと安心できるように、頑張ろうと。
そのためにも、これからはスキルの時間だ。
眷属を作る。
できれば、小さい子。小さい子。
「「『じーーー』」」
年上のお姉さんが出てきたら、どうしよう……。
「「『じーーー』」」
でも……きっと大丈夫なはずだ。
俺はそう願いながら、自分の腕にある腕輪をそっと撫でた。
山の頂上。
月光龍の巣のそばに立って、魔石を代償にスキルを発動する
『「「おお……!」」』
次の瞬間、バチバチと翡翠色の光が生まれてきて、それが魔法陣の形になった。
青色の光が満ち、一際眩しく光り輝いた。
そして数秒後。
光が収まった頃には、俺たちの前に、一人の眷属が姿を現してくれていた。
「わたしを降臨させたのは……あなたたちです?」
「きゃ~~~! かわいいいいい~~! 小さい女の子だぁ~~!」
そこにいたのは、青色の髪をした幼い女の子で。
「く、くるしいです~……」
テトラはたまらないといった風に、その子を抱っこするのだった。
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