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5.二十日目
第9話
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マティアスの真顔の忠告に、俺は青い顔でコクコクと小刻みに頷く。
「腐り……落ちたくない……!」
「そうだ。大事なら、きちんと手入れをしろ」
「ボーボーいらない!」
「そうだ」
「ムダ毛、全部いらない!」
俺は宣言するように力強く、陰毛撲滅を叫んで右の拳を上げた。
――刹那。
俺の股間と脇に黒々と茂っていた縮れ毛と、マティアスの顔を覆っていた髭が、胸毛が、視界から消失した。
「!?」
「!?」
互いに互いの突如の変化に、声も出せずに目を丸くし合う。
「……ぅ、わぁ……超かっけぇ」
右手を上げたままの格好でようやく出た俺の声は、髭がなくなり初めて確認できた、マティアスの素顔に対する驚きの感想で、そのマティアスは、まだ声も出せずに俺を凝視したまま固まっている。
そこまで驚かせる変化が俺にも起きたのだろうかと、彼の視線の先にいる自分を確認した。
視界にあるのは右手を突き上げた格好のままの、露わになったツルツルの脇と、足の付け根で、ぷらん、とぶら下がる一本の茎。
地面を見ても、二人分の毛なんてどこにも落ちてなくて、まるで手品みたいにフッと音もなく消えてしまってる。
どこへ消えてしまったのかやっぱり理解できなくて、助言を求めるように再度マティアスを見たら、マティアスは俺の股間を凝視したまま、顔を真っ赤にしていた。
「なっ……、何その顔ぉっ」
髭がなくなり、表情も顔色もはっきり分かる。
だからマティアスの向けてくる視線に、急激に羞恥心が湧いて、俺は股間を手で隠してヘニャっとしゃがみ込んだ。
「こっち見るな! なんかやらしい顔してる!」
「ち、違うっ、俺はやらしくない! いきなりやらしい姿になったカイトの方が悪い」
「なっ、いきなりじゃないもんっ。さっきからずっとパンツ履いてなかったもん!」
「ボーボーがあっただろっ。あれがパンツみたいに目隠しになってて、それが突然……そんな濃いピンク色の性器を丸見えにしたら……興奮するだろ……」
やめてっ、恥ずかしそうにモニョモニョ言わないでっ。ほんとに俺が変態みたいじゃん!
「興……って、何言ってるの、馬鹿! ほらね、そんな風に見てる目だったもんっ。なんか男の顔してたもん! 馬鹿じゃないの、ちんちんなんて誰だって濃い色してる……」
そう言って今まで気にしたこともなかったマティアスの股間の棒に、初めて焦点を当ててしっかり見たら、血が通ってないんじゃないかってくらい白い。
「マ、マティアスの方こそソレ……大丈夫なの? よくよく見たら血色悪すぎじゃ……、ぁ……もしかして……、もう腐り落ちる寸前……」
既に自分のが取り返しつかないから、俺にこんなに真剣に伝えようとしてくれたのだろうか。なんて考えてたら怒られた。
「腐り落ちてたまるかっ。コレが普通だ」
堂々と見せつけてくるので、どうやらほんとに大丈夫そうだ。
痛みも痒みもなさそうな様子に、俺はハタと、人種の違いに気がついた。
「色白のちんちん……初めて見た」
なるほどふむふむ……。
泥と日焼けで気づかなかったが、例えるならマティアスは白人枠に分類される人なのだろう。
そんな日本人以外のちんちんを見るという、あまりない機会に好奇心を抑えられなかった俺も悪いが、勘違いしたマティアスもどうかと思う。
食い入るように見返した俺の直視する視線が、マティアスのマティアスを、ムクっと反応させてしまったのだ。
「ね、ねぇ……なんでちんちんどんどんおっきくなってんの?」
「うるさいっ。期待させる目を返すな! 遭難してから誰かの裸なんて初めて見たんだ。しかも……こんなやらしい色をしている身体を……」
「だからやらしい色じゃない!」
「ソレ、俺がそそり立てた時の色だぞ」
「そうなの!? それは勘違いしちゃうかもだけど、俺はそんな気分じゃないから、ね、とりあえず一旦落ち着いてもらえるかな!?」
「くっ……」
おお、理性総動員で頑張ってくれている。
再度、川へザブザブ入っていったマティアスの背中を見送って、俺は毛が消えてしまった股間と脇をじっくりと見る。
「ツルツルじゃん……」
なんだか、腕も脛も綺麗だし……。
「はっ! 髪の毛っ……は、ある……眉も! よかったぁ!」
理屈はよく分からないが、眉毛と髪さえあれば、あとは割と大丈夫な気がする。
「風通しも良くて、結構気持ちいいな」
股間の爽やかさが、生来の能天気を加速させ、俺は転生特典に気づくチャンスを見逃した。
望めば手に入る快適な生活とか、なんなら無人島脱出の方法に思考が至るのは、もう少し先の事となるのだ。
「腐り……落ちたくない……!」
「そうだ。大事なら、きちんと手入れをしろ」
「ボーボーいらない!」
「そうだ」
「ムダ毛、全部いらない!」
俺は宣言するように力強く、陰毛撲滅を叫んで右の拳を上げた。
――刹那。
俺の股間と脇に黒々と茂っていた縮れ毛と、マティアスの顔を覆っていた髭が、胸毛が、視界から消失した。
「!?」
「!?」
互いに互いの突如の変化に、声も出せずに目を丸くし合う。
「……ぅ、わぁ……超かっけぇ」
右手を上げたままの格好でようやく出た俺の声は、髭がなくなり初めて確認できた、マティアスの素顔に対する驚きの感想で、そのマティアスは、まだ声も出せずに俺を凝視したまま固まっている。
そこまで驚かせる変化が俺にも起きたのだろうかと、彼の視線の先にいる自分を確認した。
視界にあるのは右手を突き上げた格好のままの、露わになったツルツルの脇と、足の付け根で、ぷらん、とぶら下がる一本の茎。
地面を見ても、二人分の毛なんてどこにも落ちてなくて、まるで手品みたいにフッと音もなく消えてしまってる。
どこへ消えてしまったのかやっぱり理解できなくて、助言を求めるように再度マティアスを見たら、マティアスは俺の股間を凝視したまま、顔を真っ赤にしていた。
「なっ……、何その顔ぉっ」
髭がなくなり、表情も顔色もはっきり分かる。
だからマティアスの向けてくる視線に、急激に羞恥心が湧いて、俺は股間を手で隠してヘニャっとしゃがみ込んだ。
「こっち見るな! なんかやらしい顔してる!」
「ち、違うっ、俺はやらしくない! いきなりやらしい姿になったカイトの方が悪い」
「なっ、いきなりじゃないもんっ。さっきからずっとパンツ履いてなかったもん!」
「ボーボーがあっただろっ。あれがパンツみたいに目隠しになってて、それが突然……そんな濃いピンク色の性器を丸見えにしたら……興奮するだろ……」
やめてっ、恥ずかしそうにモニョモニョ言わないでっ。ほんとに俺が変態みたいじゃん!
「興……って、何言ってるの、馬鹿! ほらね、そんな風に見てる目だったもんっ。なんか男の顔してたもん! 馬鹿じゃないの、ちんちんなんて誰だって濃い色してる……」
そう言って今まで気にしたこともなかったマティアスの股間の棒に、初めて焦点を当ててしっかり見たら、血が通ってないんじゃないかってくらい白い。
「マ、マティアスの方こそソレ……大丈夫なの? よくよく見たら血色悪すぎじゃ……、ぁ……もしかして……、もう腐り落ちる寸前……」
既に自分のが取り返しつかないから、俺にこんなに真剣に伝えようとしてくれたのだろうか。なんて考えてたら怒られた。
「腐り落ちてたまるかっ。コレが普通だ」
堂々と見せつけてくるので、どうやらほんとに大丈夫そうだ。
痛みも痒みもなさそうな様子に、俺はハタと、人種の違いに気がついた。
「色白のちんちん……初めて見た」
なるほどふむふむ……。
泥と日焼けで気づかなかったが、例えるならマティアスは白人枠に分類される人なのだろう。
そんな日本人以外のちんちんを見るという、あまりない機会に好奇心を抑えられなかった俺も悪いが、勘違いしたマティアスもどうかと思う。
食い入るように見返した俺の直視する視線が、マティアスのマティアスを、ムクっと反応させてしまったのだ。
「ね、ねぇ……なんでちんちんどんどんおっきくなってんの?」
「うるさいっ。期待させる目を返すな! 遭難してから誰かの裸なんて初めて見たんだ。しかも……こんなやらしい色をしている身体を……」
「だからやらしい色じゃない!」
「ソレ、俺がそそり立てた時の色だぞ」
「そうなの!? それは勘違いしちゃうかもだけど、俺はそんな気分じゃないから、ね、とりあえず一旦落ち着いてもらえるかな!?」
「くっ……」
おお、理性総動員で頑張ってくれている。
再度、川へザブザブ入っていったマティアスの背中を見送って、俺は毛が消えてしまった股間と脇をじっくりと見る。
「ツルツルじゃん……」
なんだか、腕も脛も綺麗だし……。
「はっ! 髪の毛っ……は、ある……眉も! よかったぁ!」
理屈はよく分からないが、眉毛と髪さえあれば、あとは割と大丈夫な気がする。
「風通しも良くて、結構気持ちいいな」
股間の爽やかさが、生来の能天気を加速させ、俺は転生特典に気づくチャンスを見逃した。
望めば手に入る快適な生活とか、なんなら無人島脱出の方法に思考が至るのは、もう少し先の事となるのだ。
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