転生したらとんでもないトコロをイケメンにされた

餅月ぺたこ

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8.二十二日目

第15話

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  ロランの手を回避するために、マティアスに身体を掴まれ振り回される……が延々続きそうだったから、俺は仕方なくそのままをロランに伝える。 

「あ、あの……、っチョ……チョビ髭と青カビが生えたみたいな胸毛があっても、そいつは腰抜け野郎のままだ……って言ってた……」 

 ひぃぃぃ……。ビキってこめかみ引き攣ったよ! 笑顔のままだけど絶対ムカついてるよ! 

「あ、あの、ロラン? 俺が言った言葉じゃないの……分かってる……よね?」 

「あぁ……、分かってるよ。……じゃあ、僕の言葉も伝えてもらえるかな」 

「う、うん……」 

「きさまの不潔な剛毛がこの世から消えて、だから今日は空気がいつもよりマシなのか。ついでに臭いの原因の、そのふにゃチンも消えてたら良かったのにな」 

 完全に悪口じゃん……! 

 そろりと後ろを見ると、マティアスが通訳されるのを待っている。 

「えーっ……と」 

「そいつは何て言ったんだ……」 

 いや、もう何か察してるよね! 

 もう怒ってるよね! 

「マ……マティアスも毛が無くなってスッキリしたね……って」 

「そいつがそんな気遣った事を言うわけがない。カイト、ヤツが言ったとおりに、一言一句、そのままで伝えてくれ」 

「えぇ……」 

「ほら」 

「うぅ……。き、きさまの不潔な剛毛がこの世から消えて、だから今日は空気がいつもよりマシなのか。ついでに臭いの原因の、そのふにゃチンも消えてたら良かったのに……ねって俺が言ったんじゃないからっぐ、ぐるぢぃ……」 

 肩に回ってたマティアスの腕が、ミシミシと俺を締めてくる。 

「人のちんこをどうこういう前に、お前の粗チンは使った事があるのか、この童貞野郎」 

「デカいだけのちんぽなんて、ココじゃ正に無用の長物。あぁ、もしかしてふにゃふにゃでも長さだけは自慢だった?」 

「カイト、こいつは何ていったんだ!」 

「カイトっ、ヤツが言った事そのままで伝えて!」 

「表情もつけて!」 

「感情も乗せて!」 

「カイト!」 

「カイト!」 

 右、左、右、左、右、今度は左! 

「じゃあ、今日の晩飯の肉を用意できなきゃ、お前のちんこ咥えてやるよ!」 

 えっ、マティアスそんな約束していいの!?

「望むところだ! こっちも用意できなかったらお前のちんぽ咥えてやるよ!」 

 ロラン、そんなの望んで大丈夫!?

 なんかいつの間にか今晩の肉を狩れなかったら、相手のちんちんを咥える恐ろしい勝負になっていて、二人はそう言い捨てると、あっという間に、左右別々の方向へ別れて森へ消えてしまう。 

 ちんことちんぽの事しか話さないマッチョからやっと解放されて、静かな森に一人残されると、小鳥の囀りに癒された。 

「……。さ、焚き木でも拾って、キノコでも探すか」 

 あんな血眼な男が二人して頑張るなら、今晩はお腹いっぱいお肉が食べられるだろう。 

 呑気にそんな事を考えてシャツの袖を捲ると、俺は日中、たくさん枝を拾って、その後マティアスに教わった大っきい葉っぱを何枚も集めて蔓を結び、三人がゆったり座れる広さのゴザを編む。三人で焚き火の前でBBQができるように、俺は一生懸命準備に勤しんだ。 

 そうして日も暮れかかる頃。 

「ちなみに、カイトは肉を出せるのか?」 

「聞いておくけど、カイトはお肉を持ってるの?」 

 夕方に、虫除けの泥も落とし、妙に小ざっぱりと身綺麗な二人のマッチョが、葉っぱに包んだ、捌き終わった肉を両手に抱え、笑顔で俺に成果を聞いてくる。 

「え……、俺……キノコだけ……」 

 まさかとは思ったが、二人とも自分たちの言った事を俺に伝えさせておいて、勝手に俺と勝負していた。 

「さぁ!」 

「さぁ!」 

「カイト!」 

「カイト!」 

「ちん○咥えてもらおうか!」 

「いや、キミたち通訳いらないじゃん! 作戦も立てずに俺をハメるこの状況作るって、めちゃくちゃ意気投合してるよ!? 音がズレたの、ちんことちんぽの語尾くらいだし! 息ぴったりだよ!」 

 こいつら、ほんとに馬鹿じゃないの! 

「頑張ってきたのに!」 

「約束だから頑張れたのに!」 

「肉を捌いて、川で泥まで落としたんだぞ!」 

「ちんぽだって、綺麗に洗ってきた!」 

 知らねーよ!

「二人の勝負なんだから、俺を巻き込まないで。二人とも肉を持ってきたんだから、引き分けで仲良くご飯食べればいいじゃん」 

 俺は今、どっちの国の言葉で話してるんだ? 

 よく分からないけど、言葉が伝わったのか、気持ちが伝わったのか、二人ともが意気消沈で、ゴザの真ん中で座ってた俺に背中を向けて、左右の端と端で体育座りをしてしまった。 

 いつでも肉を焼ける準備ができている焚き火の、パチパチと枝が爆ぜる音と、久々にたくさんのお肉が並んだ豪華な食卓なのに、お通夜の会場みたいになっている。 
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