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十番勝負
溺愛閻魔様
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※※※※※
シャッという短い音と共に、朝の光が瞼に届いた。
閻魔だ。
「ルナ、アサゲ……じゃなくて朝飯が出来たぞ……て、おい仁っ!なんでお前がルナのベッドで一緒に寝てんだよっ?」
「あー……?いってっ!殴んなっ」
部屋が騒がしくて寝ていられなくなり、私はゆっくりと寝返りを打つと枕元の時計を見た。
「……閻魔……まだ六時じゃん。私、今日は代休なんだけど……」
「今日から俺は涼馬と出張なんだ。明後日まで会えないんだから一緒に飯が食いたい。仁は帰れっ!」
「なんだよ、キレんなっ!」
うるさ……。
眼を擦りながら隣を見ると、閻魔に殴られたらしい仁がベッドの上で胡座をかき、ガシガシと自分の頭を掻きむしっていた。
「なんなのー?」
朝からギャアギャア騒がないでほしい……。
すると何故か閻魔は私をギラッと睨んだ。
「お前っ!なんで仁をベッドに入れるんだっ!おかしいだろ!」
……入ってきたの知らないし。
だってそれに仁とは幼い頃からしょっ中一緒に寝転がっていたし、何の違和感もない。
しかも仁は普通の人には見えない夢魔だし。
確かに姿形は赤髪のイケメンだけど、仁は人間の男性じゃないし親友だもん。
普通の人間には考えられないかも知れないけど、子供の時から超自然的なものが見えていた私には何の不思議もない。
こういう私だから……死者の審判してたような男を恋人にできるわけで……。
あー、だけど面倒くさいなー。
その時仁が閻魔を見上げて叫んだ。
「おい、閻魔っ。術使えねぇお前なんか俺は怖くねぇんだぜ?!ルナは俺の可愛い宝物なんだ。お前よりもずっと前から仲良しだしな!歴史が違うんだよ!」
……仲良しって……幼稚園児か。
「ちょっと、仁も閻魔も」
そこまで言った私の言葉を、閻魔の怒鳴り声がアッサリとかき消す。
「なんだとテメェ、もう一度言ってみろっ!」
怒りに満ちた閻魔が、仁に詰め寄る。……ああ、もう……。
私はハアと溜め息をついた後、仁の腕を掴んだ。
「……仁」
「ん?」
そのまま倒れるように仁にもたれると、彼の耳元に唇を寄せてヒソヒソ声で告げる。
「閻魔煩いから……そろそろ行って」
仁も私の耳に口を寄せた。
「ああ、分かった。コイツ、面倒くさいよな」
「まあね。じゃあまたね」
「了解」
仁が私にハグをした後、溶けるように消えた。
「なんだ今のは」
「……なに……?」
「なんで小声であんな風に話すんだ」
「それは……」
アンタが面倒臭いから、とはまさか言えないしなー……。
私がベッドの上にペタンと座り、イライラしている閻魔を見つめると、今度は何故か彼がポカンと口を開けた。
「…………」
「…………」
なんなんだ、意味の分からないこの間は。
……もういいや。すっかり眼が覚めちゃった。
今更だけど、
「……おはよ、閻魔」
私がそう言って立ち上がろうとした時、
「 わ、きゃあっ!」
急に閻魔がベッドに上がり、私の背中に腕を回した。
「な、なにっ?びっくりするじゃん!」
素早く押し倒された事に驚いて私がこう言うと、閻魔は至近距離からこちらを見つめて低い声を出した。
「……一緒に飯は、もういい」
「えっ、なんで?!っ……」
閻魔の、囁くような甘い声とそれ以上に甘いキス。
恥ずかしくて無意識にキュッとしがみつくと、閻魔が唇を離してクスッと笑った。
「ルナ」
「……ん」
「俺は、お前のためなら何でもしてやるしこの先もずっとお前を守っていく」
「……閻魔……」
ああ、なんて幸せなんだろう。
感動を隠せない私の前で、閻魔は更に続けた。
「三年間も辛い思いをさせて悪かった。これからはお前をめちゃくちゃ甘やかしてやるから。愛してる、ルナ」
幸せでたまらなくて、私は閻魔の首に両腕を絡めた。
「うん、閻魔。私も閻魔を愛してる。これからもずっと」
私がそう言うと閻魔はフウッと笑ってパジャマのボタンに手をかけると、長い指でその一つを外した。
「あ、の、閻魔?朝御飯じゃ……」
焦る私に閻魔が甘く囁く。
「煽ったお前が悪い。これからは何でも望みを聞いてやるから……」
閻魔は一旦そこで言葉を切ると、黒に近い紫色の瞳を甘やかに光らせて続けた。
「だから今は……俺の言いなりになれ」
……閻魔ったら……!
胸がキュンとして、もう何も言えなくなって、私は閻魔に抱き着いたままゆっくりと眼を閉じた。
ねぇ閻魔。
一緒に生きよう。ずっとふたりで。
開け放たれたカーテンから射し込む輝きが、私達を柔らかく照らしていた。
溺愛ENMA様
~end~
シャッという短い音と共に、朝の光が瞼に届いた。
閻魔だ。
「ルナ、アサゲ……じゃなくて朝飯が出来たぞ……て、おい仁っ!なんでお前がルナのベッドで一緒に寝てんだよっ?」
「あー……?いってっ!殴んなっ」
部屋が騒がしくて寝ていられなくなり、私はゆっくりと寝返りを打つと枕元の時計を見た。
「……閻魔……まだ六時じゃん。私、今日は代休なんだけど……」
「今日から俺は涼馬と出張なんだ。明後日まで会えないんだから一緒に飯が食いたい。仁は帰れっ!」
「なんだよ、キレんなっ!」
うるさ……。
眼を擦りながら隣を見ると、閻魔に殴られたらしい仁がベッドの上で胡座をかき、ガシガシと自分の頭を掻きむしっていた。
「なんなのー?」
朝からギャアギャア騒がないでほしい……。
すると何故か閻魔は私をギラッと睨んだ。
「お前っ!なんで仁をベッドに入れるんだっ!おかしいだろ!」
……入ってきたの知らないし。
だってそれに仁とは幼い頃からしょっ中一緒に寝転がっていたし、何の違和感もない。
しかも仁は普通の人には見えない夢魔だし。
確かに姿形は赤髪のイケメンだけど、仁は人間の男性じゃないし親友だもん。
普通の人間には考えられないかも知れないけど、子供の時から超自然的なものが見えていた私には何の不思議もない。
こういう私だから……死者の審判してたような男を恋人にできるわけで……。
あー、だけど面倒くさいなー。
その時仁が閻魔を見上げて叫んだ。
「おい、閻魔っ。術使えねぇお前なんか俺は怖くねぇんだぜ?!ルナは俺の可愛い宝物なんだ。お前よりもずっと前から仲良しだしな!歴史が違うんだよ!」
……仲良しって……幼稚園児か。
「ちょっと、仁も閻魔も」
そこまで言った私の言葉を、閻魔の怒鳴り声がアッサリとかき消す。
「なんだとテメェ、もう一度言ってみろっ!」
怒りに満ちた閻魔が、仁に詰め寄る。……ああ、もう……。
私はハアと溜め息をついた後、仁の腕を掴んだ。
「……仁」
「ん?」
そのまま倒れるように仁にもたれると、彼の耳元に唇を寄せてヒソヒソ声で告げる。
「閻魔煩いから……そろそろ行って」
仁も私の耳に口を寄せた。
「ああ、分かった。コイツ、面倒くさいよな」
「まあね。じゃあまたね」
「了解」
仁が私にハグをした後、溶けるように消えた。
「なんだ今のは」
「……なに……?」
「なんで小声であんな風に話すんだ」
「それは……」
アンタが面倒臭いから、とはまさか言えないしなー……。
私がベッドの上にペタンと座り、イライラしている閻魔を見つめると、今度は何故か彼がポカンと口を開けた。
「…………」
「…………」
なんなんだ、意味の分からないこの間は。
……もういいや。すっかり眼が覚めちゃった。
今更だけど、
「……おはよ、閻魔」
私がそう言って立ち上がろうとした時、
「 わ、きゃあっ!」
急に閻魔がベッドに上がり、私の背中に腕を回した。
「な、なにっ?びっくりするじゃん!」
素早く押し倒された事に驚いて私がこう言うと、閻魔は至近距離からこちらを見つめて低い声を出した。
「……一緒に飯は、もういい」
「えっ、なんで?!っ……」
閻魔の、囁くような甘い声とそれ以上に甘いキス。
恥ずかしくて無意識にキュッとしがみつくと、閻魔が唇を離してクスッと笑った。
「ルナ」
「……ん」
「俺は、お前のためなら何でもしてやるしこの先もずっとお前を守っていく」
「……閻魔……」
ああ、なんて幸せなんだろう。
感動を隠せない私の前で、閻魔は更に続けた。
「三年間も辛い思いをさせて悪かった。これからはお前をめちゃくちゃ甘やかしてやるから。愛してる、ルナ」
幸せでたまらなくて、私は閻魔の首に両腕を絡めた。
「うん、閻魔。私も閻魔を愛してる。これからもずっと」
私がそう言うと閻魔はフウッと笑ってパジャマのボタンに手をかけると、長い指でその一つを外した。
「あ、の、閻魔?朝御飯じゃ……」
焦る私に閻魔が甘く囁く。
「煽ったお前が悪い。これからは何でも望みを聞いてやるから……」
閻魔は一旦そこで言葉を切ると、黒に近い紫色の瞳を甘やかに光らせて続けた。
「だから今は……俺の言いなりになれ」
……閻魔ったら……!
胸がキュンとして、もう何も言えなくなって、私は閻魔に抱き着いたままゆっくりと眼を閉じた。
ねぇ閻魔。
一緒に生きよう。ずっとふたりで。
開け放たれたカーテンから射し込む輝きが、私達を柔らかく照らしていた。
溺愛ENMA様
~end~
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