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第二章 ポポとのほほん旅立ち
第29話: イマーシュと悪夢
しおりを挟む夜更け、静まり返った宿屋の一室。フィオは柔らかな布団に包まれ、隣のベッドで寝息を立てるイマーシュを感じながら、穏やかな眠りについていた。
しかし、深夜になると、隣から微かなうなり声が聞こえてきた。
「うっ……うぅ……!」
フィオはその声に目を覚まし、目をこする。「イマーシュ……?」暗闇の中、イマーシュのベッドに目を向けると、彼がうなされているのが見えた。
「やめろ……くそっ……!」
短く途切れる言葉とともに、額には汗が滲んでいる。フィオは慌てて彼のそばへ駆け寄った。
「イマーシュ、大丈夫?悪い夢を見てるの?」フィオは心配そうに彼の肩を軽く揺さぶった。
すると、イマーシュの瞳がぱっと開き、荒い息を吐きながら上体を起こした。目は焦点が定まらず、しばらく何かを追うように宙を見つめている。
「……夢、か。」彼は自分の顔を手で覆い、大きく息を吐き出した。
「怖い夢を見たの?」フィオが心配そうに尋ねると、イマーシュは首を横に振り、しばらく沈黙した後、小さく呟いた。「……昔のことだ。」
「昔のこと?」
イマーシュは迷うように視線を泳がせたが、やがて覚悟を決めたように語り始めた。「俺がまだ若かった頃、剣士として旅をしていた時だ。ある村を魔物の襲撃から守ろうとして……仲間を失った。」
「仲間を……?」
「俺が力不足だったせいで、守れなかったんだ。」イマーシュは拳を強く握りしめ、悔しさを噛み締めるように語った。「そいつらの顔が、今でも夢に出てくる。まるで、俺を責めるようにな。」
フィオは黙ってイマーシュの話を聞いていたが、やがて静かにその手に触れた。「それでも、イマーシュはその時全力を尽くしたんでしょ?だったら、責める必要なんてないよ。」
イマーシュは驚いたようにフィオを見つめ、少しだけ目を細めた。「……お前は、強いな。」
「強いんじゃなくて、イマーシュがそう思わせてくれるんだよ。」フィオは微笑みながら答えた。「今はもう一人じゃないよ。私もポポも一緒にいるから。」
イマーシュは苦笑しながら小さく頷いた。「……そうだな。ありがとう、フィオ。」
その後、二人はしばらく言葉を交わし、静かな夜が再び訪れた。イマーシュの表情は少しだけ穏やかになり、彼の悪夢もいつしか静かに消え去っていた。
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