三国志~呂布奉先~異世界三国志は今宵もまかり通る

みなと劉

文字の大きさ
85 / 100

85話

しおりを挟む
それを見て驚きを隠せなかった王允は何度も読み返すと次第に顔色を青くしていく。
そんな様子を横目に見ていた董卓だったが、不意に立ち上がると部屋から出て行ってしまったのだが田豊は全く気付かなかったのである……。
呂布と高順が孫策のもとへ援軍に向かった頃、荊州の江陵では連合軍を相手に曹操と孫権が戦い続けていた。
当初、圧倒的に有利な状況だったのだが徐々に孫堅が曹操に敗北する事が多くなり戦いは長引いていた。
「おやっさん、良い様にやられ過ぎじゃないか?」
その余りにも格好悪い戦いに張遼は呆れた顔を見せるが、それも無理は無いと思っていた。
孫堅の武勇は疑うまでも無く秀でているものではあるが、それを見事に計略によって封殺されてしまっていたのである。
元々の兵力の差以上に苦戦する孫堅軍の様子を連日の様に見ていた曹操は何か対策を打たなくてはと考えた。
そんな状況の中、いつものように交渉役として使いに出された陸遜が帰還したかと思うと曹操の元へやって来た。
「今帰ったか!」
「はい、留守の間の様子はいかがでした?」
そう訊ねられた曹操は視線を逸らしながら苦笑いをしつつ答える。
「問題は無かったのだがな……」
その様子から陸遜は状況を察してそれ以上聞く事をやめた。
「では、交渉役としてまた行ってまいります」
そう言い残し曹操の前から去って行った陸遜は自らの居城へ戻って来たが、すぐに自ら兵を率いて江陵へ行く準備を始めた。
それからしばらくしてから準備を整えた孫策の陣中を訪ねた陸遜だったが、そこで呂布軍師と思わぬ人物と再会する事となる。
それは以前、董卓による天下三分の計の為に互いに手を組んだ事になった男であり、この時はまだ戦場に出て来る様な人物ではないと考えていたのだが、その男は呂布と何やら密談をしていた。
その男とは……。
「于吉殿では?」
その姿を見て陸遜は思わず大声を出してしまったのだが、その言葉に呂布も驚いた顔で振り返る。
そして于吉はと言うと困ったような表情を浮かべていた。
「これは陸遜殿ではありませんか、どうしてこのような場所に?ここは貴方のような御方の来られるところではありません」
そう言って拒否する様子を見せた。
それを聞いた呂布は勿論の事、陸遜も意外そうな表情を浮かべていた。
「于吉殿、それはどういう意味でしょうか?」
不思議に思った呂布が訊ねると于吉は頭を下げる。
「これは申し訳ありません」
そのやり取りを見ていた陸遜は悲しそうに表情を歪めると于吉に向かって言う。
「ご高説は聞きますが、今は我が主に対して無礼ではございませんか?」
すると于吉は顔を上げると毅然とした態度で言い放った。
「何を言っているのです?この者は董卓にとっての政敵、そもそも貴方も曹操から兵を借りて呂布殿に与したでは無いですか」
于吉の言葉に驚きを隠せなかった。
すると呂布は表情を変える事無く言う。
「確か私は陳宮殿が軍師を務められていると聞いていたのですが?」
その言葉に于吉は目を輝かせると嬉々として答えた。
「ああ、あの口ばかり達者の老害は私が人知れず始末いたしました」
そんな答えを聞いた陸遜と呂布は呆気に取られてしまった。
しかし、一番愕然とした表情を見せ、怒りを露にしていたのは他ならぬ于吉であった。
「何をそんなに驚いているのです?反逆者は潰すのが世の常では無いですか?」
そんな当たり前の事を聞いてもいないのに言ってくる于吉に対して呂布と陸遜は何も反論する事ができなかった……。
董卓にとって裏切り者と認定されてしまった陳宮のその後はあまり語られる事は無かった。
それは単に語る必要が無いと判断されたからであって、自らの命と引き換えに敵である呂布を守った英雄として語られる事となってしまう。
その後は陳宮を知る者とそうでない者達の間で評価が分かれてしまう原因になってしまうのだが、それでも彼の事は誰もが知っている名前の1つであった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜

KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞 ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。 諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。 そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。 捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。 腕には、守るべきメイドの少女。 眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。 ―――それは、ただの不運な落下のはずだった。 崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。 その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。 死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。 だが、その力の代償は、あまりにも大きい。 彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”―― つまり平和で自堕落な生活そのものだった。 これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、 守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、 いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。 ―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

盾の間違った使い方

KeyBow
ファンタジー
その日は快晴で、DIY日和だった。 まさかあんな形で日常が終わるだなんて、誰に想像できただろうか。 マンションの屋上から落ちてきた女子高生と、運が悪く――いや、悪すぎることに激突して、俺は死んだはずだった。 しかし、当たった次の瞬間。 気がつけば、今にも動き出しそうなドラゴンの骨の前にいた。 周囲は白骨死体だらけ。 慌てて武器になりそうなものを探すが、剣はすべて折れ曲がり、鎧は胸に大穴が空いたりひしゃげたりしている。 仏様から脱がすのは、物理的にも気持ち的にも無理だった。 ここは―― 多分、ボス部屋。 しかもこの部屋には入り口しかなく、本来ドラゴンを倒すために進んできた道を、逆進行するしかなかった。 与えられた能力は、現代日本の商品を異世界に取り寄せる 【異世界ショッピング】。 一見チートだが、完成された日用品も、人が口にできる食べ物も飲料水もない。買えるのは素材と道具、作業関連品、農作業関連の品や種、苗等だ。 魔物を倒して魔石をポイントに換えなければ、 水一滴すら買えない。 ダンジョン最奥スタートの、ハード・・・どころか鬼モードだった。 そんな中、盾だけが違った。 傷はあっても、バンドの残った盾はいくつも使えた。 両手に円盾、背中に大盾、そして両肩に装着したL字型とスパイク付きのそれは、俺をリアルザクに仕立てた。 盾で殴り 盾で守り 腹が減れば・・・盾で焼く。 フライパン代わりにし、竈の一部にし、用途は盛大に間違っているが、生きるためには、それが正解だった。 ボス部屋手前のセーフエリアを拠点に、俺はひとりダンジョンを生き延びていく。 ――そんなある日。 聞こえるはずのない女性の悲鳴が、ボス部屋から響いた。 盾のまちがった使い方から始まる異世界サバイバル、ここに開幕。 ​【AIの使用について】 本作は執筆補助ツールとして生成AIを使用しています。 主な用途は「誤字脱字のチェック」「表現の推敲」「壁打ち(アイデア出しの補助)」です。 ストーリー構成および本文の執筆は作者自身が行っております。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

処理中です...