異世界でラブコメしたりギルド登録したり別の人になったり!?

みなと劉

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25話

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そして、彼には学園長にどうしても伝えておきたいことがあった。それは昨日、彼が調査に行った時のことである。
アルフレッドはまず学園内を探索し始めた。
すると、ある場所で一人の男性教師と出会った。彼はアルフレッドを見ると挨拶をする。
「やぁ、アルフレッドくんじゃないか。久しぶりだな」
「えぇ、そうですね」
アルフレッドはその男のことをよく知っていた。なぜなら昔、同じ学園に通っていたからである。
そして彼はそのまま世間話をしていたのだが、しばらくして男が急に切り出してきた。
「最近、忙しいみたいだね」
その言葉を聞いたアルフレッドは驚く。
(もしかしてこいつ俺がスパイだということを知っているのか?)
アルフレッドはそう思いながらも笑顔を作り、
「まぁ、いろいろとあって大変ですよ」
と返事をした。
すると男はアルフレッドに近付き、声を潜めてこう言った。
「そういえば例のものはちゃんと渡したのか?」
「……はい、なんとか渡すことができました。しかしなぜあんなものを欲していたんですか?……いや、それよりもどうやって手に入れてきたのかを教えてください!」
アルフレッドはつい大きな声で言ってしまう。だが、彼は気にせずに続けた。
なぜなら彼はどうしてもその情報が知りたかったからだ。しかし男はアルフレッドの質問には答えない。その代わりにこんなことを伝えてくる。
「もしお前が欲しいなら、その秘密を教えてやってもいいぞ」
「本当ですか!?」
その言葉を聞き、アルフレッドは目を輝かせた。
「あぁ、その代わりお前が手に入れた情報を全て俺に教えるんだ。それが条件だがどうする?」
「わかりました。協力します!」
アルフレッドは迷いなく答える。
そして、それからは男の指示通りに動くことになった。
その結果、ミリアが言うように彼らは学園の制服を手に入れたのである。
もちろん制服を手に入れるだけならば、学園内の店に行っても問題はない。
しかしその場合、怪しまれて買えない可能性があった。そのためアルフレッドは別の方法を考えたのだ。
ちなみにアルフレッドは学園に知り合いがいないわけではなかったが、あえて連絡は取らなかった。その理由は、もしも自分がスパイであることがバレたら、この潜入捜査が終わってしまうからだという。
一方、ミリアは昨日アルフレッドから受け取った手紙を読んでいた。そこにはアルフレッドからの情報が記載されている。彼女はそこに書かれている内容を確認すると、思わず顔をしかめた。
「どうやらアルフレッドさん達は上手くやったようね」
そう言って彼女は小さく微笑む。
しかしすぐに表情を戻した。
「とりあえずこの内容をみんなにも伝える必要があるわね……」
彼女はそう呟く。すると、そこで部屋の扉が開いた。そこから一人の女性が入ってくる。
彼女はミリアの姉であるティナだった。彼女は学園長の秘書をしているのである。
彼女は部屋に入るなり、こう口を開いた。
「おはようございます。ティナさん」
「あら、ミリアさん。早いのね」
「はい、今日はちょっと用事がありまして。でもおかげでいい情報を入手できましたよ」
「それは良かったわね」
ティナは笑顔で話す。
すると、そこでミリアはこう聞いた。
「そういえば姉さん、さっきアルフレッドさんに会ったんだけど、あの人、何でここに来たんだろうね」
「うーん、多分だけど、学園内にスパイがいるってことに気付いたんじゃないかしら」
「やっぱりそうなんだ」
ミリアは大きくため息をつく。すると、ティナはそんな彼女を見て苦笑いを浮かべた。
「でも学園の中にいるなら、いずれバレることだから諦めた方がいいと思うけどね」
「そうなんだよね。はぁ~、どうしたらいいんだろ」
ミリアは頭を悩ませる。
すると、ティナは少し考えてから、こう提案をした。
「それならいっそスパイを見つけて仲間に引き入れればいいんじゃない?」
ミリアはそれを聞くと顔を上げた。そしてしばらく考え込む。
やがて彼女の中に浮かんできた疑問をぶつけた。
「ねぇ、もし仮に仲間になってくれたとして、その後は大丈夫なの? もし見つかった時に捕まったりしないかな」
「たぶん大丈夫だと思うよ。私達の仲間の中には元貴族とかもいるから、もし見つかっても守ってくれると思うし」
「そうなんだ。なら、よかった」
ミリアはほっと胸を撫で下ろす。
それを見たティナは笑みを浮かべた。そして、彼女はこう話す。
「じゃあ、私もできる限り協力するから何かあった時は私を頼ってね」
「ありがとう。その時はお願いします」
「えぇ、任せて」
そうして二人はお互いの顔を見合わせて笑顔になった。

***
それから数日後、学園では試験が行われていた。この国には様々な学科があるが、生徒は希望に応じて好きな科目を選ぶことができる。
しかし一部の学生は学園の方針により強制的に選択させられることがある。
例えば、戦闘が得意な者ならば魔法戦士科、治癒士を目指す者は回復術師科などという感じだ。もちろんその逆の場合もあり得る。
ちなみに今行われているのは魔法の実技試験であった。
そこでは一人の少年が的に向けて魔力弾を放っている。すると彼の周りには次々と小さな光球が出現していた。それはまるで空中に浮いているかのように見える。
(これは凄いな)
アルフレッドはその光景を見て驚いていた。
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